このサイトでは、 環境経済学 の参考文献が多いです。 そのため、参考文献のためのページも作りました。
環境経済学の本はたくさん出版されていますが、 日本語の本は、ほとんどが 外部性の内部化 を問題解決の中心に据えています。
エコロジー経済学を調べようとしたのですが、日本語の文献では、断片的な内容しかわからず、 まとまった本がありませんでした。 そこで、筆者は 「Environmental Economics(環境経済学)」、 「Ecological Economics(エコロジー経済学)」、 「Biodiversity Economics(生物多様性経済学)」、というキーワードで英語の本も探しました。 英語の本は、ほとんどが国立国会図書館で見ています。 「Environmental Economics for Non-Economists (非経済学者のための環境経済学)」だけが、 東京都立中央図書館で見つけたものです。
筆者の見た文献が、たまたまそうだっただけかもしれませんが、 海外の環境経済学は、日本で論じられている環境経済学よりも、内容がすっきりしているようです。
「Ecological Economics : エコロジカル エコノミクス」の「Ecological」は、直訳すると、 「エコロジー的な」、「エコロジカルな」、「生態学的な」となります。 しかし、このサイトは「Ecological Economics」を「エコロジー経済学」と訳しています。 世間一般でも、「エコロジー経済学」と訳すのが主流のようです。
筆者がなんとなく重きを置いている本には、◎を付けています。
「改訂版・私たちの環境学」
上智大学エコ・テキスト作成グループ 著 駿河台出版社 2000
環境学
の本です。
環境経済学も書かれていて、コンパクトにいろいろなアプローチが書いてありました。
「環境の経済理論」 佐和隆光・植田和弘 編 岩波書店 2002
「外部性を貨幣で内部化すれば、環境問題は解決する。」、とする説の不備を指摘しつつ、
諸説を解説しています。
エントロピーとエコロジーの経済学の成立過程についての解説もあります。
「環境経済学」植田和弘・落合仁司・北畠佳房・寺西俊一 著 有斐閣 1991
第1部で、物質代謝論・環境資源論・外部不経済論・社会的費用・経済体制論の各アプローチを解説し、
それらの課題や、今後の方向性を解説しています。
第2部が環境と政策で、GNPを指標にすることや、プロジェクトの評価方法があります。
「環境経済学」 岡敏弘 著 岩波書店 2006
新古典派環境経済学・マルクス派環境経済学・エントロピー経済学・その他を俯瞰し、
統合してよりよいものを作ろうとしている本。
それぞれの学派の解説があり、その後に
環境リスク
・
生態系
・
地球温暖化の問題に切り込んでいます
「環境と人間の経済学」 桂木健次・藤田暁男・ 増田信彦・ 山田國廣 編著 ミネルヴァ書房 2005
この本は「論」に固執していないです。
客観性・具体性・現実性のある本です。
経済と環境の統合勘定(尺度はNNW)・
資源・政策・
ISO14000シリーズ
・
環境会計
・
廃棄物
・リサイクル・
環境リスク
・NPOが出てきます。
経済系と生態系の融合 は、「 エコロジー経済学 」をタイトルにしている本でよく出てきます。
◎「Environmental Economics for Non-Economists (非経済学者のための環境経済学)」
John Asafu-Adjaye 著 World Scientific 2000
第1部では、
熱力学
と環境の関係から始まります。
エクセルギーが紹介されています。
その後に、市場の原理の説明から外部性の問題に触れます。
第2部は、
環境評価(CVM等)
・
費用便益分析・費用効率分析・多基準分析
・影響分析・ステークホルダー分析となっていて、
分析の道具がいろいろあります。
感受性とリスクを、分析のロバスト性の確認に使っているところが特徴です。
第3部は、
人口・資源の枯渇・貧困・ジェンダー・公衆衛生・取引・持続可能性の諸問題です。
エコロジー経済学らしい話は、冒頭の熱力学の解説と、第3部の持続可能性の話です。
持続可能性の測り方として、
EDP(Environmentally adjusted net domestic product)・
ENI(Environmentally adjusted national income)・
HDI(Human Development Index)が出てきます。
◎「Ecological Economics and Sustainable Development : Theory, Methods and Applications(エコロジー経済学と持続可能な成長 : 理論、方法、応用)」
Jeroen C.J.M. van den Bergh 著 Edward Elger 1996
持続可能な発展の定義についての議論があります。
シナリオベースの
システムダイナミクス
的なシミュレーションの話が多いです。
その他には、多基準分析もあります。
尺度を使った話がいろいろありました。
ケーススタディが5つあり、オランダ、オーストラリア、ギリシャが舞台になっています。
「THE ECONOMICS OF THE ENVIRONMENT AND NATURAL RESOURCES(環境と自然資源についての経済学)」
R. QUENTIN GRAFTON 他 著 Blackwell 2004
大学の教科書として作られた本です。
冒頭で
システムダイナミクス
的な考え方を丁寧に書いています。
カオス
も含んでいました。
環境評価の理論がけっこう書いてあるのですが、よくわかりませんでした。
「ESI(Environmental Sustainability Index:環境持続性指標)とGDPに相関がある」とか、
環境クズネッツ曲線
の話もあります。
この本は、環境問題への対応を、
「トレードオフ」と「選択」の問題に集約したいようです。
◎「エコロジカルな経済学」 倉阪秀史 著 筑摩書房 2003
宇宙船地球号の考え方から始まります。
ミクロ経済学の基本も説明している本です。
従来の経済学は、「ごみの発生を考えない経済学」とし、
ごみを考える生産の理論や、購買の理論を解説しています。
環境問題を、時間軸・空間軸・社会軸で分類することや、
原因と結果だけでなく、その間のプロセスを見ることによる政策の決め方を解説しています。
政策や環境経営への提言に力が入っています。
「ECONOMICS AND THE ENVIRONMENT (経済学と環境)」 Eban S. Goodstein 著 WILEY 2008
4つの大きな疑問と、小見出しによる小さな疑問の設定によって、
読者が抱く疑問に答えるような形になっています。
読みやすい本です。表紙の白熊の写真もいいです。
米国で法規制が作られるステップも書いてあり、法規制の作られ方を学べる本にもなっています。
法規制を作るに当たってのコストの考え方を、いろいろ述べています。
隠れたコストとして、規制による生産への影響や、雇用問題、独占企業の発生を挙げたりしています。
社会の問題や、科学技術の発達も考慮した内容です。
化学物質汚染の規制等もありますが、大きなテーマは地球温暖化問題です。
尺度として、NNW(Net National Welfare)を紹介しています。
NNW = 総生産量 - 成長のコスト - 価値の下落(Depreciation)
です。
「The origins of ecological economics: the bioeconomics of Georgescu-Roegen(エコロジー経済学の起源 : ジョージェスク−レーゲンの生物経済学)」
Kozo Mayumi 著 Routledge 2001
ジョージェスク−レーゲン氏の業績に、他の研究者の研究を補う形で、眞弓浩三氏がまとめた本です。
自然科学との融合のアプローチにとって、まさに「起源」と言っても良さそうな内容です。
また、
資源物理学
にとっても「起源」になっています。
「Leontiefのダイナミックモデルの拡張版」、
「無限のリサイクルが不可能であることの考察」、
「効率は、(出力/入力)と、(出力/時間)の2種類)ある。」のような、具体的な話もあります。
また、ものの見方や考え方も述べられていて、
「社会科学のモデルは、モデルではなく直喩(simile:直接的な比喩)」、
「サブナチュラルのモデルは、時間依存性がないので、失敗する。」といった、
「モデルとは何か」を論じている部分が印象的でした。
この本は、
情報理論
と
熱力学
の関係についても述べています。
単にエントロピーの式が同じということだけではないです。
筆者の読解が正しければ、
「情報を物理的に扱う場合には、エネルギーが必要なので、そういう観点では、
情報と熱力学はつながっている。」という点も書かれているようでした。
さらに、その他にも何かメッセージがあるような感じもしました。
◎「Modelling in Ecological Economics (エコロジー経済学のモデル)」
John Proops 編 Edward elger 2004
7つの数理モデルについて、順に解説しています。
「エコ・エコノミーを考える」 福原克也 著 時事通信社 2008
農業に関係する食糧不足・水問題・森林枯渇の諸問題と、それらの解決策を論じた内容が多いです。
尺度として、GPIと、エコロジカルフットプリントが出て来ます。
「適正な価格を付けましょう」というスタンスです。
静脈産業の充実を提言しています。
「環境学の技法」 石弘之 編 東京大学出版会 2002
環境学
の研究方法の本です。
第4章がエコロジー経済学になっていて、
「エマジー(emergy)」という尺度が紹介されています。
ある財を生み出すために必要なエネルギーの総量とのことです。
その「財」自身には含まれていないエネルギーを考慮しています。
「エコノミーとエコロジー 広義の経済学への道 新装版」 玉野井芳郎 著 みすず書房 2002
初版は1978年に出ています。筆者が読んだのは新装版なので、
2002という数字になっていますが、内容は変わっていないようです。
つまり、エコロジー経済学の初期の頃の本です。
著者の論文集になっています。
自然科学の知見も考慮しつつ、学問としての経済学を考察しています。
現実の問題を解決するというスタンスとは異なるように思いました。
「エコロジー経済学 原理と応用」
ハーマン・E・デイリー、ジョシュア・ファーレイ 著 佐藤正弘 訳 NTT出版 2014
資源・ミクロ経済学・マクロ経済学・貿易・政策、という構成です。
日本語版への序文で、日本が20年間経済成長がない事について、
経済学者や政治学者は憂慮しているが、日本は繁栄していない訳ではないので、
日本の現状は、「経済成長がなくても反映できることの証明」としています。
「ECOLOGY AND ECONOMICS : An Approach to Sustainable Development (エコロジーと経済学 : 持続可能な成長へのアプローチ)」
Ramprasad Sengupta 著 OXFORD 2001
一般論の合間に、インドの話が例として出てきます。
この本は、環境経済学の本というより、
環境学
の本だと思います。
いろいろな事が書かれていますが、うまく整理されています。
生態系
・物質の循環・人口・資源の有限性を解説した後で、
尺度を提示して、それを元にした管理を提言しています。
この本の尺度は、名前が本の中に書かれていないようです。
「エコロジーの経済理論」 鷲田豊明 著 日本評論社 1994
哲学的な考察と数理的なアプローチによる
生態系
の解説に、かなりのページが使われています。
この本の
シミュレーション
は、
システムダイナミクス
そのものか、それに近いものです。
わからなかったのが、
ある場所で「剰余のみの私有化を認める。」としながら、
別の場所で「剰余は自然に返す。」としている点です。
筆者の理解不足でしょうが、矛盾を抱えているように読み取れました。
この本の主張をまとめると、
「微生物も含めたあらゆる生物と、農業や工業による物質利用の分配を誰かが決め、
その人が決めた通りに生きて行きましょう。」、になると思います。
「弱者のための『エントロピー経済学』入門」 槌田敦 著 ほたる出版 2007
環境の話もありますが、この本は環境問題も含めた社会問題全般を対象にしています。
現代経済学は強者(富者)のための学問としています。
生命や社会の活動をエンジンに例えています。
砂漠を「エントロピー最大の状態」とするのは、興味深い表現です。
中間部分は、科学技術・貿易・原子力・国債を社会問題の原因とするような社会論が展開されます。
失業問題が出てきます。
「環境学事始め」 川村晃生 編著 慶應義塾大学出版会 1999
エントロピーを経済学に持ち込む話があります。
「孤立系では、自滅する。持続するには開放系に。」というのが中心的な理論です。
「エクセルギーと経済の関係に関する考察」 福田研二 著 九州大学工学研究院環境システム科学研究センター 2001〜2004
(一)から(四)の4分冊になっています。
(一)、(二)が労働、農業、資本、価値、生態系、等を
エクセルギー
をキーワードに解説しています。
(三)、(四)が経済変動の話を歴史的な視点で解説しています。
筆者がなんとか理解できたのは、
「著者はエクセルギーと経済の話をしているが、特に環境問題を意識していない点」と、
「経済活動をエクセルギーの概念を使って説明しようとしている点」だけです。
著者の論理展開や考察の主旨は、わかりませんでした。
「環境の産業連関分析」 吉岡完治・大平純彦・早見均・鷲津明由・松橋隆治 著
日本評論社 2003
環境のための産業連関分析の専門書です。
各部門の生産活動1単位あたりの労働投入量を使うと、例えば、消費が増えることによる、各部門の雇用量の変化の分析ができる。
CO2の分析の考え方も、この分析方法と同じで、各部門の生産活動1単位あたりのCO2排出量を使う。
環境の産業連関分析は、表を拡張して、CO2、NOx、水質汚濁、廃棄物、などの項目を追加する。
追加する時は、各部門の活動によって、それぞれがどのくらい発生するのかを推計する。
未来の技術の評価を、現在の技術の連関表から計算する時は、現在の技術を使って、未来の技術を作ることを考慮しながら推計する。
産業連関分析は、複雑な関係を網羅的・統合的に扱おうとする方法ですが、
原料の変化や分岐に伴う環境影響を分析する方法として、この本では、
LCA
も紹介しています。
「産業連関分析入門」 宮沢健一 編 日本経済新聞社 2002
9ページを使って、公害の産業連関分析をする時の方法や注意が書かれています。
公害防止の活動は、単に何かを増減させる活動ではなく、代替案を採用していく活動になることから、こうした活動が考慮されている線形モデルが必要。
「Frontiers of environmental input-output analysis
」 Shigemi Kagawa , Routledge 2012
I/O分析は、一般的には、静的な状態の分析です。
しかし、この本では構造変化の分析も入っていて、動的な現象も扱っています。
「環境経済の理論と実践 ― エコロジーのための意思決定」 西村一彦 著 オーム社 2003
工学出身の著者が、工学者を想定して書いています。
数学の本かと思うほど、定義や数式が書かれています。
「外部性の数量効果」と同じ第6章に、
LCA
が載っていて、
積み上げ法・産業連関法・ハイブリッド法が書かれています。
「経済戦略のためのモデル分析入門」 藤田康範 著 慶應義塾大学出版会 2011
最初の章が別格で、物事を俯瞰して見る(全体的に見る)ための方法になっています。
MECEを考えて、ターゲットの反対の事や、周辺の事も考えます。
うまく考えられると、散布図のような形で、まとめられます。
他の章がモデル分析です。
「物事の増減の関係を数式で表す。
→最適化問題として解いて、最適値を求めたり、ある値が動いた時の解の方向性を見る」、
と言った使い方をします。
この本は、政策や、SWOT分析などに、モデル分析を使っています。
ひとつの章が環境政策の分析で、二酸化炭素の排出量や、環境税を扱っています。
経済性の尺度 の使い方や注意点が、比較的詳しく書いてある本は、3冊見ています。
「『環境と福祉』の統合 持続可能な福祉社会の実現に向けて」 広井良典 編 有斐閣 2008
環境と福祉の関係や、両者を統合する視点についての本です。
環境税の用途が福祉に使われている国の紹介もあります。
エコロジー経済学が入っていて、各種の尺度や、それらの
相関
についての解説があります。
扱われている尺度は、
エコロジカルフットプリント(Ecological Footprint・EF)、
生物生産力(Biocapacity・BC)、
人間開発指数(Human Development Index・HDI)、
生命の惑星指数(Living Planet Index・LPI)、です。
「Sustainable Development Indicators in Ecological Economics(エコロジー経済学における持続可能な成長の尺度)」
Philip Lawn 編 Edward Elgar 2006
様々な尺度を解説している本です。
エコロジカルフットプリント、グリーンGDP、Material Flows indicators、
ESI(Environmental Sustainability Index)、
ISEW(Index of Sustainable Economic Welfare)
GPI(Genuine Progress Indicator)、
GSI(Genuine Savings Index)、
CPI(Consumption Pressure Index)、
LPI(Living Planet Index)、
CEPI(Composite Environmental Performance Index)、
CSDI(Composite Sustainable Development Index)、です。
「サステナブル・ライフスタイルナビゲーション―ユビキタス技術による持続可能消費の最前線」 高岡美佳 編著 日科技連 2007
ユビキタス技術の評価方法として、「社会うるおい指標」を提唱しています。
環境性や経済性等を、総合的に判断するそうです。
◎「Ecological Economics : An Introduction (エコロジー経済学 : 導入編)」
Mick Common and Sigrid Stagl 著 Cambridge University Press 2005
自然科学・人類の歴史・経済学の概観がイントロになっています。
いろいろな事が書いてある本ですが、産業連関分析と意思決定の話は、
個人的に興味深かったです。
エネルギーの流れ
の解析もありました。
この本はGDPやGNPの分析の話に力が入っていました。
意思決定は、不完全な情報で決めていくものとし、予防原則を述べています。
不完全さの要素として、
Risk(リスク)・Ambiguity(あいまいさ)・Uncertainty(不明確さ)・Ignorance(無知)を挙げています。
「THE FUTURE OF ENVIRONMENT : Ecological Economics and Technological Change(環境の未来 : エコロジー経済学と技術開発)」
Faye Duchin and Clenn-Marie Lance 著 OXFORD UNIVERSITY PRESS 1994
産業連関分析(Input-Output Model)
や
システムダイナミクス
的な未来予測をします。
解析対象はGDPです。
外部性を環境問題の原因とする説明は、 外部性の内部化 に解決策を求めるアプローチ以外の本でも出てきます。 ここに分類しているのは、内部化を解決策の中心に据えている本です。
「環境経済学入門」 石橋春男・島田千秋・山本慶子 著 泉文堂 2005
外部不経済の内部化による管理について、この本の対策案は環境税と補助金制度です。
「環境資源経済学入門」 小林弘明・廣政幸生・岩本博幸 著 泉文堂 2007
「環境問題というものは、そもそもあるのか?過剰に心配しているだけではないのか?」
、と言う方がいることの紹介から始めています。
天然資源の話の割合が大きいです。
環境問題の本ですが、国際的な貧困や人口の問題も含めています。
「環境経済学入門」 バリー C フィールド 著 秋田次郎・猪瀬秀博・藤井秀昭 訳 日本評論社 2002
「費用を見積もって、一番効率的な方法を選びましょう」という主旨のようです。
「環境経済学」 細田衛士・横山彰 著 有斐閣 2007
環境問題を経済学がどう解きほぐすか、の本だそうです。
「環境経済研究:環境と経済の統合に向けて」 天野明弘 著 有斐閣 2003
政策にかなりのページが割かれています。
筆者には難しい本でした。
「はじめての環境経済学」 細田衛士・大沼あゆみ・赤尾健一 訳 東洋経済新報社 2005
「Environmental Economics : An Introduction (環境経済学 : 導入)」
Barry C. Field and Martha K. Field 著 Mc Graw-Hill Irwin 2006
便益(ベネフィット)や費用(コスト)の考え方を述べて、
費用便益分析の説明をします。
効率の話も入っています。
その後に政策の分析に続きます。
見通しの良い説明なので、丁寧に通読したいと思っている本です。
「"Environmental & natural resource economics」
Tom Tietenberg, Lynne Lewis ,Pearson Education 2012.
とてもカラフルで教育的な本です。
ミクロからマクロまで、体系的にまとまっています。
「"Energy, natural resources and environmental economics」
Endre Bjorndal , Springer 2010
論文集です。
分類としては、「石油と天然ガス」、「電気と規制」、「物流」があります。
「環境経済学概論 -エコロジーと新しい経営戦略-」 後藤公彦 著 朝倉書店 1998
炭素税・熱帯雨林育成補助金・排出権、等による内部化の話もありますが、
この本の特徴は煙草が扱われていることで、煙草関係にページが割かれています。
煙草の費用便益評価や健康被害の話が出てきます。
煙草の話とも関係しますが、
疫学
を健康被害による社会的費用の算出に活用しようとしている点も、この本の特徴です。
「環境評価入門」 鷲田豊明 著 勁草書房 1999
環境経済学のための環境評価の本ですが、
LCA
も扱っています。
"The economics of biodiversity and ecosystem services"
: Shunsuke Managi, Routledge 2013
北海道の環境評価が入っている辺りが、日本人としては興味深いところです。
幸福のモデルの評価もあります。
「生物多様性保全の経済学」 大沼あゆみ 著 有斐閣 2014
保全の根拠として、生態中心主義と人間中心主義を示していたりして、ひとつの考え方に偏らない感じです。
実際に政策の事例を数多く紹介しています。
「The Economics of Biodiversity Conservation(生物多様性保存の経済学)」
Stephen Polasky 編 ASHGATE 2002
論文集です。引用が詳しいです。
ざっと見た感じでは、土地や生物種に対する価値評価が中心のようです。
「ノアの方舟問題(Noah's Ark Problem)」というモデルが出てきます。
これは、予算の都合で、保存できる種が限られている中で、
どうやって生物多様性を最大化するかという問題です。
(筆者には、ノアの方舟問題を仮定する時点で、そもそも不可解です。)
「Biodiversity Economics(生物多様性経済学)」
Andreas Kontoleon, Unai Pascual and Timothy Swanson 編 CAMBRIDGE 2007
生物多様性の損失の原因として、生息地の消失、貿易、過剰消費の3点を挙げています。
その後で、CVM等による多様性を評価する方法を述べ、保全の政策、ケーススタディと続きます。
「離散数学「ものを分ける理論」 問題解決のアルゴリズムをつくる」 徳田雄洋 著 講談社 2018
この本が扱っている「問題」というのは、ようかんやケーキを題材を複数の人が公平に分けるための問題でした。
(「分ければ分かる」と言われることがありますが、データ分析では、適切な分類をすることで、原因の特定や、対策の立案につなげようとします。
タイトルを見て、そういった内容の本かと思ったのですが、違いました。
なお、筆者はこの本のような理論があることは知らなかったので、これはこれで参考になりました。
ようかんやケーキではなく、エネルギーや食料などの分配問題に応用できそうです。)
「地球経済入門 人新世時代の世界をとらえる」 妹尾裕彦・田中綾一・田島陽一 編 法律文化社 2021
貿易、通貨、為替の仕組みやルールを説明しつつ、途上国や米国、中国、EUで起こっていることを見ています。
物事の見方を示しつつ、それによって起こるばらつきの問題を示している感じでした。
「選択しないという選択 ビッグデータで変わる「自由」のかたち」 キャス・サンスティーン 著 勁草書房 2017
インターネット上のサービスでは、チェックボックスなどを使って、
どれを利用するのかは利用者が選択できるようになっています。
その社会的な意味や、問題点を解説した本です。
デフォルトとして選択された状態から、利用者が選択内容を選び直す仕組みになっている事について、
特に注目しています。
インターネット上での選択が一般的になったのは、21世紀に入った頃からなので、この本のテーマは、昔はなかったものです。
環境経済学
には、問題や課題の解決に向けて、様々な方法論がありますが、この本の内容もそのひとつになると思いました。
「環境と効率の経済分析 包括的生産性アプローチによる最適水準の推計」 馬奈木俊介 著 日本経済新聞出版社 2013
農林水産業や工業での、取り組みについて、効率や成果を評価しています。
「環境経済学 新版」 宮本憲一 著 岩波書店 2007
環境経済学を実学としてとらえていると思います。
研究スタイルはフィールドワークが中心のようです。
「数理生態学」 日本生物物理学会/シリーズ・ニューバイオフィジックス刊行委員会 編 共立出版 1997
数理生態学
の本です。
漁業の話を中心にして、資源の持続のために実際に採用されているしくみについて、
「生物資源管理と経済学」のところでいくつか紹介しています。
このしくみは、
コモンズの悲劇
を避けるための、現実的な答えの一例です。
最大持続可能生産量(MSY)が紹介されています。
「エコロジー経済学 −生体系の管理と再生戦略」 福岡克也 著 有斐閣 1998
この本では、
「エコロジー経済学 = エコロジー(生態学)的な経済学」ではなく、
「エコロジー経済学 = エコロジーの保全と管理のための経済学」のようです。
生態系(特に森林)の環境保全と管理の本です。
「環境経営入門」 岡本眞一 編著 日科技連 2007
「環境と経済」という章で、
外部性の内部化
を簡単に解説しています。
その他の内容は、
環境経営
についてです。
筆者は、 環境 関係の資料を探す中で、 環境経済学 を知りました。 環境経済学を勉強し始めてから、一般的な経済学の本を手に取っています。
「理工系のための経済学・ファイナンス理論」 縄田和満 著 東洋経済新報社 2003
数学的な基礎のある人のための入門書になっています。
最初から数式ばかりです。
いろいろなことが少しずつ書いてあり、
期待効用理論
や、プロジェクトの評価、ブラウン運動、等もあります。
環境経済学で重要な、「市場の失敗」もあります。
「初めてでも読み解ける!「経済指標」の見方&読み方決定版」 坂田豊光 著 すばる舎 2010
日本と米国の経済指標が中心で、ヨーロッパも少し紹介されています。
製造業と個人の動きを見るための指標が多いような感じです。
それぞれの指標が、いつ公表されているかも重視しています。
「概説社会経済学」 角田修一 著 文理閣 2011
・原理原則からアプローチした社会経済学の本、と言えそうです。
・「社会経済学」は、「political ecomomics」の訳。
「政治経済学」と訳されることもあるが、政治よりもさらに広く、社会全体に関わる。
・社会経済学は、古典派経済学を出発点として、マルクスによって確立した。
現在は、非新古典派(非主流派)経済学の総称が、社会経済学になっている。
・社会経済学は、資本性経済を論じている。
「入門社会経済学 資本主義を理解する」 宇仁宏幸 他 著 ナカニシヤ出版 2010
・実際の社会現象から社会経済学にアプローチしている本、と言えそうです。
・新古典派経済学では、個人の個々の利潤追求が、経済全体の整合性を持っていると考えている。
レギュラシオン理論では、個人の行動と、経済全体の整合性の間には、「制度」が必要と考えている。
(これは、
中間システム
の話と似ています。)
順路 次は まちづくり