環境経済学 は、GDP(GNPも)に対してあまり良い印象を持っていません。 「GDPの増加は、環境の悪化を考えていない。」、 「GDPはヒトの豊かさや幸福の指標にならない。」とういうのが理由です。
環境経済学には、 持続可能性や、生物多様性の尺度が必要です。 単純にGDPに修正項を加えた「グリーンGDP」なるものもありますし、 もっと違う発想のものもあります。
尚、このサイトの他の場所でも似たようなことを書いていますが、 ひとつの尺度を絶対視するようなスタンスは、 その尺度で表現できない事を見落として失敗する危険があります。 2つ以上の尺度を、相関性や相補性に配慮しながら使っていくことが大切です。
GDPとエネルギー消費量には、 相関性 があるそうです。 だとすると、 「GDPを増やすには、エネルギーを浪費する政策にすれば良い。」、 「エネルギー源を化石燃料に頼っていると、GDPを増やせば増やすほど、人類の未来が危なくなる。」、 等々、立場や考え方によって、いろいろな理論が生まれます。 こういうのが相関性の怖さです。 何にせよ、GDPとエネルギー消費量の相関というのは、重大な話と言えそうです。
環境経済学としてGDPやGNPの分析をしている研究者がいらっしゃいますが、 上記の相関の話以外はポイントがよくわからないでいます。 肝心なところを、筆者が読み落としているのかもしれません。
効率は、(出力/入力)と、(出力/時間)の大きく分けて2種類があります。 この値が大きければ、「高効率」です。 経済の尺度というより、電気製品や冷暖房機器の性能としてお馴染みですが、 環境経済学の文献でも登場します。
(出力/時間)の方は、「能率」と呼ばれることもあります。
下表は、環境経済学で登場する尺度を、いくつかの 参考文献 から拾ってきたものです。 筆者はそれぞれの具体的な計算方法には、踏み込んでいません。 文献に和名があれば、それを載せました。 和名がわからないものは、直訳を付けています。
通称 or 略称 | 英名 or 和名 or 直訳 or 補足 |
BC |
Biocapacity 生物生産力 |
CEPI |
Composite Environmental Performance Index 混合環境性能指標 |
CPI |
Consumption Pressure Index 消費圧力指標 |
CSDI |
Composite Sustainable Development Index 混合持続化可能開発指標 |
EDP |
Environmentally adjusted net domestic product 環境調整済み国内純生産 |
EF |
Ecological Footprint エコロジカルフットプリント(足跡) |
ENI |
Environmentally adjusted national income 環境調整済み国民所得 |
ESI |
Environmental Sustainability Index 環境持続性指標 |
GDP |
Gross Domestic Product 国内総生産 |
GNP |
Gross Natnional Product 国民総生産 |
GPI |
Genuine Progress Indicator 真の発展指標 |
GSI |
Genuine Savings Index 真の節約指標 |
HDI |
Human Development Index 人間開発指数 |
ISEW |
Index of Sustainable Economic Welfare 持続可能な経済的厚生の指標 |
LPI |
Living Planet Index 生命の惑星指数 |
MFI |
Material Flows Indicators マテリアルフロー指標 |
MSY |
Maximum Sustainable Yield 最大持続可能生産量 |
NNW |
Net National Welfare 純国民福祉 NNW = 総生産量 - 成長のコスト - 価値の下落 Depreciation |
エクセルギー | Exergy |
エネルギー | Energy |
エマジー |
Emergy ある財を生み出すために必要なエネルギーの総量 |
エントロピー | Entropy |
グリーンGDP | GDPを補正したものの総称 |
社会うるおい指標 | 環境性や経済性等を、総合的に判断 |
順路 次は 経済性のデータ解析
環境経済学の参考文献は多いため、 環境経済学の本のページ にまとめてあります。