というのが、会社です。 簡単なようですが、これらのうちの片方しか考えていなかったり、 これらのことをする理由を忘れている経営論があります。
例えば、 環境学 ・ 品質学 ・ リスク学 の中での経営論では、お金のことを忘れていることがあります。 また、お金の運用を中心にした経営論では、顧客のことを忘れていることが多いようです。
企業活動が原因になっている社会問題や環境問題は後を絶ちませんが、 企業は、私たちが生きていくための収入を得る場所でもあります。 これからの経営学では、目先のお金儲けの話ではなく、 その企業と人類と地球の持続的な発展につながるお金儲けの話が重要になっています。
「コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える」 冨山和彦 著 文藝春秋 2020
デジタルトランスフォーメーション(DX)
と似た言葉の、コーポレート・トランスフォーメーション(CX)がタイトルになっています。
いわゆる日本型企業の特徴を、5ページくらいに渡って箇条書きでまとめています。
そして、それの対案として、これからの特徴となるべきことを「憲法」という呼び方でまとめています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)
の一般的な解説では、デジタル技術は、業務の効率化の方法や、ビジネスモデルの重要な構成要素になっています。
著者は、デジタル技術を現状分析(見える化)の方法として、捉えていらっしゃいました。
「企業再生コンサルが明かす経営分析実践の手法」 澤田和明 著 秀和システム 2012
存続が困難になった企業に対して、コンサルタントとして再生の道筋をつける立場の方の手法がまとまっています。
いわゆる「経営分析」の解説書では、決算書の分析だけが書かれているものが多いですが、
この本の場合は、決算書の分析は1つの章の分量になっています。
第1章 経営分析総論
第2章 決算書分析
第3章 現状分析:営業部門の収益力、現業部門のコスト構造、固定費(勘定科目ごとに妥当性や変化)、組織・人事面、会議制度、教育制度
第4章 社風分析
第5章 社外インタビュー
第6章 改善プログラム:財務、組織、事業、意識の4つの観点から改善
第7章 自力経営への転換:戦略の検討
第8章 戦略実現に向けての行動計画:マネジメントやモニタリングの仕組みの設定
「日本の人事を科学する 因果推論に基づくデータ活用」 大湾秀雄 著 日本経済新聞出版社 2017
入社の前後の評価や、中間管理職に対してのその部下と上司の評価は、相関がありそうなのに、実際はないそうです。
この本は、統計学の分野で当然のように考えられていることと、実際のギャップに注目して、
それをヒントにしながら分析を進め、これからの人事のあり方を提案しています。
「図解基本ビジネス分析ツール50」 グロービス 著 ダイヤモンド社 2016
この本で扱われている方法には、大きく分けて、汎用的なものと、ビジネスの分析に特有なものがあります。
汎用的な分析方法として、定性的なものと、定量的なものがあります。定性的なものは、因果関係などの概念の分析で、定量的なものは、統計学関係です。
ビジネスの分析には、顧客、企業価値、会計の分析方法があります。
なお、この本では、因子分析がマーケティングの章に入っていたりします。
上記のような分類ではなく、著者の視点でビジネス分析のツールが似たもの同士で章を作る形でまとまっています。
「ビジネスで使いこなす「定量・定性分析」大全」 中村力 著 日本実業出版社 2019
定量分析には、大局的に見えない、過去の話になる、という短所があり、
定性分析には、客観性が足りない、という短所があるため、相補的な使い方をする。
定量分析は、経営指標の計算や、回帰分析、確率、期待値の計算。
リアルオプションや、ゲーム理論を使ったシナリオに基づく計算。
定性分析は、論理思考、創造的思考、システム思考の3種類。
論理思考は、MECE、ロジックツリー、SWOT分析などのフレームワーク。
創造的思考は、ブレーンストーミングや、マインドマップ。
「ビジネスデータアナリティクス・ガイド」 IIBA日本支部『ビジネスデータアナリティクス・ガイドv1』翻訳プロジェクト 翻訳 IIBA日本支部 2022
課題の設定から、結果の活用までの流れの説明の後に、分析の方法を個別に説明しています。
全体的に、抽象度が高い感じです。
「経営者に贈る5つの質問」 P.F.ドラッカー 著 ダイヤモンド社 2009
「われわれのミッションは何か」、
「われわれの顧客は誰か」、
「顧客にとっての価値は何か」、
「われわれの成果は何か」、
「われわれの計画は何か」、
の5つ質問について、自己分析すべきとしています。
非営利団体のマネジメントが念頭にあります。
非営利団体でも、「マネジメント」や「顧客」といった、営利団体で馴染みのある言葉を使っているところが、
ミソのようです。
「基本経営学」 中原秀登 著 新世社 2004
現在の経営について、いろいろ書いてありますが現状説明に留めている感じです。
「なぜ、そのような形になっているのか?」を考え行くのが次の段階だと思います。
「現代経営学 三訂版」 植田栄二・寺石雅英 著 同文舘 2010
経営学の方法として、@「あるべき姿の追求」、A「目的達成方法の追求」、
B「企業を客観的に説明」、C「企業の抱える問題の解決方法の追求」、の4点を挙げています。
「MOTの経営学」 松島克守 著 日経BP社 2004
MOTとは、Management on Technologyの略です。
「日本経済の活性化には、イノベーションの産業化が必要」としています。
「ビジネスモデルを作り、ビジネスモデルを基にした経営を進めよう。」というスタンスです。
「経営学原理」 村田和彦 著 中央経済社 2006
経営を研究している本ではなく、経営学を研究している本です。
「クラスター組織の経営学」 二神恭一・日置弘一郎 編著 中央経済社 2008
特定の産業が特定の地域に集積している状態を、「クラスター組織」と言っています。
・小品種大量生産の時代には、自社の製品の部品も自社で作る「内製」が強みを持っていたが、
多品種少量生産の時代に合わなくなって来ている。
今は、設備の相互利用や共有をし、そういった関係の中で自社の強みを出すのが良い。
・アパレル産業では、大企業は、素材の生産や、製品の企画しかせず、最終製品を作るのは中小企業。
このような構造は、大企業が最終製品を作る、自動車産業や電器産業とは大きく異なる。
・販売や企画は失敗のリスクがある。
これからは、リスクを取る仕事をする会社とそうでない会社に分かれる。
リスクを取ることだけが、もうける手段ではない。
このような分化は、従来から伝統産業にはあったが、今は伝統産業以外でも起きている。
電器産業では、EMSの会社がある。
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