経営工学は、経営に関わるあらゆる数字を、科学的な方法論(特に応用数学)で扱おうとする分野です。 だいたいの話題では、製造業が念頭に置かれています。 経営工学は、オペレーションズ・リサーチの発展形とも言えます。
尚、経営工学とマネジメントサイエンス(経営科学)は、内容に大きな違いはないようです。
会計 の分野が典型的ですが、 経営学 で登場する”数学”は、足し算、引き算、掛け算、割り算を応用したものが多いです。 経営工学が提案する方法の中には、 微積分や行列計算を応用したものが入っています。 株価の予測の理論のように、非常に高度な数学を使うものもありますが、 多くは、微積分や行列の知識があれば利用できるようになります。
経営工学には、経営に役立つ データサイエンス がいろいろあり、このサイトで言うところの 工程管理 ・ 生産工学 ・ システム工学 といった分野とダブっています。 また、 管理会計 の話がされることもあります。
オペレーションズ・リサーチは、ORの略称でも呼ばれます。 ORは、元々軍事的な計画のために発達したものを、民用に転用した学問です。
生産管理・日程管理等の、産業にある様々な事を数理モデルに置き換えて、 解決に導こうとします。 この姿勢がオペレーションズ・リサーチが発展した原動力で、 できあがった個々の数理モデルよりも重要です。
現在のORは、初期の頃に考案された数理モデルの解き方の研究が中心になっていて、 新たなモデルの考案は進んでいないようです。
オペレーションズ・リサーチの個々の理論は、 経営工学や、 意思決定論 の中に取り込まれています。 「産業にある様々な事を数理モデルに置き換えて、解決に導く」 という点も取り込むと、もっと発展すると思います。
ORの扱う数理は大きくや2つに分けられ、決定論と確率論です。 決定論は「線形計画法」や「 PERT 」が有名です。 確率論は「待ち行列」が有名です。
線形計画法は、 数理計画法 の代表格です。
「すぐわかるマネジメント・サイエンス入門」 野口博司 著 日科技連 2007
経営戦略の理論と、それを扱う手法を紹介しています。
手法は、マトリックス図、系統図、PDPC、PERTという、
新QC7つ道具
や、
AHP
、DEA、DEMATEL等の解析手法、
製品の位置付けをまとめるためのPPM(Product Portforio Management)が紹介されています。
「マネジメントサイエンス」 仁木直人 他 編著 培風館 2005
ITの経営の中での位置付けを論じた部分が多めです。
品質管理
、
信頼性工学
、
経済性分析
にも触れています。
「経営工学概論」 秋庭雅夫 他 著 朝倉書店 1988
経営工学の分野として、経営の計画、販売管理、生産管理、品質管理、財務管理、人事・労務管理を挙げ、
経営工学の手法として、インダストリアルエンジニアリング(
生産工学
)、バリューエンジニアリング(
価値工学
)、
経済性工学
、データ解析、オペレーションズ・リサーチ、システム解析、人間工学を挙げています。
分野と手法がかみ合っていない気がします。
「経営工学概論」 山口襄 他 編 日本規格協会 1981
経営工学をいろいろと論じている本です。
「経営工学総論」 辻正重 著 ミネルヴァ書房 2010
経営戦略、技術戦略、組織構造、経営情報システム、財務諸表、生産準備といったものにひとつずつ章を当ててます。
経営工学は応用数学の雰囲気の本が多いですが、この本は実際の経営よりの内容です。
「わかりやすい経営工学 :初心者のビジネス技法36」 村杉健・岡田好史 著 理工図書 2009
IE(生産管理)、QC(品質管理)、SE(システム工学)、OR(経営科学)、
EE(経済性工学)、VEと商品企画、HE(人間工学)、BS(行動科学)の章立てで、
いろいろな手法をまとめています。
このサイトの内容では、
IE =
生産工学
QC =
SQC
SE =
システム工学
EE =
経済性分析
VE =
価値工学
、が相当します。
「競争力が持続する戦略 技術、イノベーション、知財、そして会計」 安彦元 著 日経BP 2020
知財(特許)を技術力の源泉としつつ、それを経営の中で適切に活用するために会計で管理するあり方について説明しています。
「初等ORテキスト」 OR演習部会 編 日科技連 1972
「数理モデル解析の基礎」 李明哲・伏見正則 著 ムイスリ出版 2004
線形計画法と待ち行列の解説
「21世紀のOR」 今野浩 著 日科技連 2007
ORの今昔について
順路 次は 経営に不可欠のこと