ビジネスモデル では、副次的に考える必要があるのが、混雑時の対策です。
混雑には、「待ち行列」という理論が昔からあります。
データサイエンス で「行列」と言えば、数字が縦横に並んだものを指すことが普通です。 これを使う理論がたくさんあります。
一方、待ち行列の「行列」というのは、日常的な意味での「行列」です。
例えば、「行列のできる店」の行列です。
待ち行列の理論というのは、数字が縦横に並んだデータを扱う理論ではなく、日常的な意味での「行列」を数学的に扱う理論です。
待ち行列の理論では、行列している人数の平均値、行列に並んでいる時間の平均値、等がわかる理論になっています。
在庫管理 で扱うのは「混雑」ではないですが、流入と流出があって、商品が在庫として倉庫に保管されている状態は、混雑と似ています。
理論的には、待ち行列の理論では、基本的に顧客の意思次第なので、来店するかどうかはコントロールできないと考えている流入の部分が、 在庫管理の理論では、どのようにコントロールするかを検討します。
待ち行列の理論では、窓口を増やす、といった方法で積極的にコントロールしようとする流出の部分は、
在庫管理の理論では、いつ買うかは顧客が決めることなので、コントロールできないと考えます。
待ち行列の理論では、顧客一人一人の来店のタイミングを分析したりしませんが、扱っているデータは、 点過程 です。
また、来店の仕方は、ポアソン過程を仮定します。
工場物理学 は、待ち行列の理論を、工場の中で製造中の製品が待機中になる現象に応用しています。
「混雑と待ち」 高橋幸雄・森村英典 著 朝倉書店 2001
世の中の様々な混雑や待ちを紹介してから、理論の話になっています。在庫管理も出て来ます
待ち行列の理論は、シンプルなものから始まって、ネットワーク構造に進みます。
時間的な変化がなければ、流入と流出(収支)だけを見ていれば良いけれども、混雑や待ちが起こるのは時間的な変化が重要なことが多く、
そういう時は変化を細かく見ると良い。
待ち行列の改善は、到着とサービスのコントロールや改善。
「オペレーションズ・リサーチ読本」 刀根薫 著 日本評論社 1991
第5章で待ち行列理論を平易に解説
「はじめての確率論」 小杉のぶ子・久保幹雄著 著 近代科学社 2011
第6章で待ち行列理論を平易に解説
「現代オペレーションズ・マネジメント IoT時代の品質・生産性向上と顧客価値創造」 圓川隆夫 著 朝倉書店 2017
TQM
、TPM、
TPS(トヨタ生産方式)
、
TOC(制約条件の理論)
を概観した後に、Factory Physics(工場の物理学)を紹介しています。
生産の中での変動を待ち行列の理論を使って、モデル化する(数式で表す)学問で、
変動に対応するための生産能力、時間、在庫、といったものの最適値が計算できるようになるようです。
「システム工学 計画・分析の方法」 池田將明・井上雅裕・陳新開 著 オーム社 2011
階層化意思決定法(AHP)、線形計画法、確率・統計解析法、待ち行列理論、シミュレーション、スケジューリングで構成されています。
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