「企業の価値は何で決まるのか?」、という問いへの答えは、 「財務体質」、「評判」、「組織文化」というのが多いと思います。 人によって、「財務体質」だけを重視したり、「組織文化」だけを重視したり、 これらの組み合わせを考えたりと、いろいろな考え方があるようです。
このサイトでは、「企業価値の評価」と言えるものを集めてみました。 様々な立場やアプローチがあります。
だいたいのものは、企業の外部からその企業を評価する方法ですが、 SWOT分析やバランススコアカードは、企業の内部で、企業自身を評価していくものです。
社会的な流れとしては、 CSR や マーケティング3.0 という概念が大きくなって来ていますので、企業価値の内容も変わって来ます。
デミング賞、マルコムボルドリッジ国家品質賞、日本経営品質賞は、経営の質を表彰の対象にしています。 経営の質の理想が、賞の評価基準にまとめられています。 トップの考え、教育制度、従業員のやる気、顧客満足のための動き等が、評価対象になっています。 この評価基準は、 TQCとTQM の分野の組織論が元になっていますので、財務、市場シェア、営業、といった観点があまりありません。
経営の質の向上を国策として進めたのが米国で、 日本のデミング賞を参考にして、マルコムボルドリッジ国家品質賞(MB賞)という賞を作って、啓蒙を推めたそうです。 賞の評価基準を参考にして、自社の経営を良い形に変えていける仕組みにしてあります。
MB賞の後を追って、日本でも、日本経営品質賞という賞が作られたそうです。
Strength(強み)・Weakness(弱み)・Opportunity(機会)・Threat(脅威)の、 4つの軸から組織を評価する方法です。
「経済性・環境・社会性の3つのバランスを取りましょう」という提言です。 社会性とは倫理のことです。
この3つの大きな尺度を両立させなければいけないです。
ビジョナリー・カンパニーとは、時代を越えて繁栄を続ける企業のことです。
1995年にコリンズとポラスが、ビジョナリー・カンパニーの8つの条件をまとめたそうです。 その中でも最重要の条件は、 「基本理念を維持し、進歩を促す」とのことです。
アンケート結果等に基づき、企業評価をしています。 因子分析 と 回帰分析 を使って、解析しているようです。
バランススコアカード(BSC:Balance Score Card)は、業績評価方法の一種です。 管理会計 の中で出て来ます。
財務、顧客、学習と成長、内部業務プロセスの4つの視点で業績を評価します。
「企業価値の会計と管理 :価値創造経営への途」 西澤脩 著 白桃書房 2005
企業価値は、株主価値、顧客価値、ブランド価値、事業価値の4つでできているとしています。
第7章:バランススコアカードによる企業価値の総合管理
第8章:「株主価値=EVA」としています。EVAは、economic value added(経済付加価値)の略です。
第9章:「マルコムボルドリッジ国家品質賞 = 顧客価値の表彰制度」としています。
「実践 価値工学 :価値創造経営の視座 基礎編」 手島直明 著 日科技連 2010
価値工学の基本的な事を、一通り解説しています。
企業価値を、商品価値、社会価値、株主価値、人材価値に分けていて、
価値工学
は、商品価値を高める手法としています。
「ビジネス構造化経営理論」 武井淳 著 ダイヤモンド社 2010
顧客価値と株主価値のバランスを取り、長期的な全体最適を目指しています。
そのためには、構造化経営というものが良いそうです。
肝心の構造化経営の中身ですが、筆者には要点が読み取れていません。
「企業価値 = 株主価値」としている本は、とても多いです。
「管理会計がうまくいかない本当の理由 : 顧客志向で売上を伸ばす新アプローチ」 金子智朗 著 日本経済新聞出版社 2011
管理会計
の問題を挙げつつ、経営全般について、いろいろとコメントしている本です。
このページの下記は、この本で企業価値に関わる内容について。
「株主価値(企業価値)
= フリーキャッシュフロー
= 顧客が企業にもたらす将来キャッシュフローの現在価値
= 顧客価値」
この考え方によると、顧客価値の最大化は、株主価値の最大化にもなるので、会計の主流の考え方にも合う。
「企業価値とリスクキャピタル」 岩瀬泰弘 著 千倉書房 2010
リスクが多様化、複雑化しているということで生命保険事業の企業価値を解説しています。
中心になる尺度はEVAです。
EVAは、株価と連動があり、率ではなく絶対額の尺度のために重要視されています。
保険事業では、事業規模によって対応が変わるので、
率の尺度では、規模の大小がわからないので困るそうです。
「企業価値を高める資本コスト経営」 山本績 著 中央経済社 2010
「企業価値 = 株主価値 = 株式の時価」としています。
企業価値は、「ROC - COC(資本コスト率)」として考えて、
ROCを高め、COCを低くする経営が良いそうです。
「図解 企業価値入門」 渡辺康夫 著 東洋経済新報社 2006
「企業価値 = 企業が将来生み出すキャッシュフローの現在価値」としています。
「資本コスト = 割引率」として解説されています。
経済性分析
の話もあり、経済性分析(投資)と企業価値が結び付いています。
投資とは、将来のキャッシュフローを現時点のキャッシュフローと交換することだそうです。
「経営の質を高める8つの基準:日本経営品質賞のねらい」 大久保寛司 著 かんき出版 2005
日本経営品質賞の紹介本です。
「この賞の評価基準を自社の基準にすると良い。」ということのようです。
評価基準は、
経営幹部のリーダーシップ、経営における社会的責任、顧客・市場の理解と対応、
戦略の策定と展開、個人と組織の能力向上、顧客価値創造のプロセス、
情報マネジメント、活動結果の8つです。
この本は、賞の紹介の他に、著者の経営への考えも加えられています。
そのひとつに、「顧客満足のためには、部門のエゴを控えて、組織横断的に考えるようになるべき」としている点があります。
組織横断的な考えに協力するかどうかは、各自の判断に任せているようです。
「持続的変革をめざして:経営品質向上プログラムのすすめ」 大西謙編 著 晃洋書房 2006
日本経営品質賞の紹介本です。
各国の経営品質賞の比較をしています。
目的や目標を掲げ、各種の指標を定めて、その指標のパフォーマンスの向上を進める活動を、すすめているようです。
順路 次は 顧客との関わり