筆者は学生時代からの興味で、 環境学 や データサイエンス に関わるようになりました。 その一方で、社会人になってからの業務で、 品質学 に関わりました。 実際に会社で起こっていることや、社会で起こっていることを解決しようと思って、 本を調べたりして勉強して来ました。
しかし、実際に起こっていることと、本が想定していることのミスマッチは、 けっこう深刻な問題でした。
「なんで、こんな状況になっているのだろう?」、 「どうして行けば、良いのだろう?」、 と思って、行きついた答えがこのページです。
品質管理 ・ 品質工学 ・ 信頼性工学 ・ 生産工学 ・ オペレーションズ・リサーチ は、昭和の後半頃に盛んに啓蒙活動が進められました。 品質管理・品質工学・生産工学・オペレーションズリサーチは、 それぞれ、QC・QE・IE・ORの名前で、啓蒙されています。
品質管理や品質工学は、 統計学 を基礎にしています。 統計学の利点を自在に使いこなすには、大量のデータを瞬時に処理する必要があります。 品質管理や品質工学は啓蒙活動が始まった頃には、手計算の学問でした。 実施する場合は、計算が大変でしたし、大規模なものは実際問題としてできませんでした。
しかし、現在、品質管理や品質工学はコンピュータの発達に助けられ、実用的な学問になっています。 品質管理や品質工学の計算を瞬時に実行してくれるソフトは、数多く作られています。
ところで、統計学を使う品質の学問がようやく本格的に使えるようになった頃、 別の場所で、「コンピュータありきの方法」が急速に発展して来ました。 こちらは、品質学 での啓蒙活動があまりされていません。
「コンピュータありきの方法」というのは、膨大な手間と情報量になるので、 コンピュータがないと、どうにもならない方法です。
従来のモノづくりは、衣服、食料、家電、自動車、といった生活必需品が社会全体で不足している時代に、 その状況を改善するために発達して来たものです。 そのため、とにかく大量に作ることが重要でした。 そして、効率的に大量に作るために、同じ物を同じように作って行くことが徹底されました。 その次の段階として、品質の良さも重要視するようになりました。
従来の品質学は、このようなモノづくり環境で役に立つように作られたものです。 数理的な方法は、大量に作ったものの均一性が重要なことから、 平均値と標準偏差 を中心とした 統計学 が力を発揮しました。 また、従業員が同じ動きをするための、 標準化 や、方針管理等のマネジメントの方法も力を発揮しました。
生活必需品が不足している国や地域でのモノづくりでは、従来の品質学が今、必要とされているようです。 そして、目覚ましい勢いで、先進国に追い付いて来ています。
生活必需品が過多になった国や地域では、 「同じものを大量に作る」ではなく、「多様なものをすぐ作る」に変わっています。 これに合わせて、 マーケティングの分野 は、マス・マーケティングから、セグメンテーション・マーケティングに既に変わっています。
変化が多いため、必要な情報量も増えます。 コンピュータありきの方法が有効になっています。
モノづくりと 環境問題 の関係が、益々明らかになって来ています。 環境経済学 では、生産を中心とした動脈産業重視の経済ではなく、 地球環境の保全のための静脈産業のあるべき姿や、 廃棄物を考える生産のあり方が議論されています。 また、経済の「良さ」の尺度であった GDP には、疑問の目が向けられています。
モノ不足・モノ過多に関わらず、 モノづくりは、さらに変わっていく必要があります。 また、品質学も変わっていく必要があります。
今は、IT環境の発達で、データの質と量が、昔とは比較にならないほど豊富になっています。 ないデータを、 実験計画法 等で効率的に調べる必要性は、昔も今も変わりませんが、 「既にあるデータを使って、起こっていることを推測したり、ないデータを推定する。」といった方法も、今は可能です。 昔はできなかったデータ解析が、今は可能になって来ています。
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