リスク学は、リスクという目に見えないものを、何とかしようとする分野です。
「リスク」は、いろいろな使われ方がされている言葉です。 このサイトでは、 定量的な量としてのリスクと、 最悪の事態につながるものという意味合いのリスクの2つを扱っています。
リスクの話は、環境・安全・金融・経営、等々いろいろなところで出てきます。
リスクをキーワードに本を探してみたところ、本屋中を歩き回ることになり、
面白い体験でした。
それなりに定量評価がされているリスクを、筆者なりに分類してみたのが下記になります。
「○○リスク」というのは無数にあり、分類は難しいです。
上記の分類のそれぞれに、独特の考え方や手法がありますが、 比較的共通しているものをまとめました。
回帰分析
や、
シミュレーション
を使って、望まない方向に行くかどうかを予測したり、
統計学
を使って、「この条件は、悪いと言えるか?」を判定したりすることを、
リスク解析と呼ぶことがあります。
リスク解析は、リスクになるような状況を調べることを目的にしていて、
必ずしも、リスクそのものの定量化をしていません。
「リスク工学との出会い」 遠藤靖典・村尾修 編著 伊藤誠・掛谷英紀・岡島敬一・宮本定明 著 コロナ社 2008
脚本風でかつストーリーのある構成を使って、
リスク工学の全体像を概観できるようにしてあります。
コンパクトにいろんなことが書かれています。
リスクの本の中に
LCA
や、情報セキュリティが含まれているのですが、異彩を放っているように見えます。
アフォーダンス
も出てきます。
「リスク工学の基礎」 遠藤靖典 編著 コロナ社 2008
「リスク工学との出会い」の数理を、やや詳しく書いた本です。
実際に使う上で出てくるノウハウのような知識が、意識して書かれています。
「リスクメーターではかるリスク! ―アスベスト、水銀、・・・の危険度―」 安井至 監訳 原美永子 訳 丸善 2005
人間の健康リスクの観点で様々なリスクを数値化してみた本です。
数値の正確さ等で議論はあるんでしょうが、
いったん数値化すると異なるものを比較する面白さがあります。
「科学技術のリスク」 H.W.ルイス 著 昭和堂 1997
副題が、「原子力、電磁波、化学物質、高速交通」です。
縦書きでボリュームがあります。
洞察が深いようなのですが、筆者は、まだほとんど読んでいません。
「図解 リスクのしくみ」 石井至 著 東洋経済新報社 2002
広い意味でのリスクについて、
体系的な面と断片的な面をもちつつ解説されています。
一般的なリスクの解説書として書かれていますが、
金融リスク
が詳しいです。
著者の経歴に近いほど内容が深いようです。
「リスク学とは何か」 橘木俊詔・長谷部恭男・今田高俊・益永茂樹 編著 岩波書店 2007
「リスク学入門シリーズ」の一冊です。
「リスク学の構築に向けて」・「リスク研究の諸相」・「リスク研究事例集」・「学問のテーマとしてのリスク」
等が、筆者がこの本から読み取ったものです。
タイトルと内容が違う感じがしました。
「SPSSによるリスク解析のための統計処理」 石村貞夫・石村園子 著 東京図書 2004
SPSSとは汎用の統計ソフトです。
この本では、「望まない方向にいくこと」をリスクと呼んでいるようです。
リスクを何かの量として考えていないです。
オッズ比
・推定検定・
ロジスティック回帰分析
・
比例ハザードモデル・時系列分析・
回帰分析
・
主成分分析
・
判別分析
・
ポートフォリオ
・曲線の当てはめを、リスク解析の方法としています。
「攻めの経営を可能にする本当のリスク管理をするための本」 吉成英紀 著 日本経済新聞出版社 2017
企業が起こす不正について、リスク管理として、原因と対策を解説しています。
自ら考えて行動するための参考書として作られています。
・優先順位付けがおかしくなっている企業が多い。
・リスク管理の専門家でも、「リスク管理とは、不都合な事象を起こさないこと」のようにしか考えていない人がいる。
・道徳心だけがブレーキだとしたら、不正は止められない。
・リスク管理と目標管理は表裏一体。リスク管理が面倒なことにしかなっていない場合は、リスクの考え方が誤っている。
・既存のルールの廃止は、リスク管理のスタート。
・売上と経常利益を中心とした管理では、リスクとリターンの経営にならない。
また、いつまで経っても、顧客から適切な対価をもらえない。
・長期的な利益の源泉を少なくするようなアウトソーシングや、研究開発の活用になってしまうことがある。
「機会損失 「見えない」リスクと可能性」 清水勝彦 著 東洋経済新報社 2018
企業において、考えてばかりで実行することで起こる機会損失を中心に解説しています。
対策としては、優先順位付け、効果を測る、外部からの刺激が入りやすくする、といったことを挙げています。
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