金融の分野では、リスクは、 「予測できないもの」や「わからないもの」、と考えられています。 予測できないので、もしもの時の備えをします。これをヘッジと言います。 ヘッジのわかりやすい例が、 保険 です。
この分野のリスクは、時間的な変動が大きいため、 確率論的な 時系列解析 が重要になっています。 金融リスクの理論になっている、 「確率過程」や「ブラック・ショールズ理論」といったものも、確率論的な時系列解析です。
「ポートフォリオ」というのは、折りかばんの意味です。
株を買う状況を想定しています。
ポートフォリオ分析の目的は2つあります。
ポートフォリオ分析の考え方は、
平均(期待値・expectation)と、分散(variance)の両方を考えようというものです。
平均を利得、分散をリスクとみなします。
「分散が大きい」=「その時その時の価格が予測しにくい」=「リスクが大きい」
と考えます。
他の分野のリスクの捉え方と比べると、金融関係は少し特殊です。 もともとお金を扱っているので、 リスクをお金に換算することを考えなくて良いためと考えられます。 他の分野と対応づけるなら、 他の分野で「確率」と考えているものを、金融リスクでは「分散(発生のばらつき)」で置き換えていて、 他の分野で「影響度」と考えているものを、金融リスクでは「期待値・平均」と置き換えている、 と考えられなくもありません。
参考文献では、 変動が似ている(相関が高い)銘柄は同じリスクを持っているという性質も、 取り上げていました。 つまり、 相関性 のチェックも必要です。
ポートフォリオ分析には、オプション取引、等があり、 こういったものが入ってくると、もっと複雑になるのですが、 筆者はそんなに勉強していないです。
このサイトでは、 経営のリスク管理 も扱っているのでややこしいのですが、 金融リスクの分野でも、「リスク管理」という言葉があります。 金融リスクの分野でのリスク管理は、リスクを選ぶ方法を指すことが多いようです。
他のリスクの分野では、リスクを検討する時の尺度として、「お金」が出て来ることがあります。 リスク対策を実際に実施するかどうかの判断には、「お金」(コスト)の観点が必要になっています。
金融リスクの分野は、もともと、お金そのもののリスクを扱っている分野ですが、だいぶ雰囲気が違っています。
「実践金融データサイエンス 隠れた構造をあぶり出す6つのアプローチ」 三菱UFJトラスト投資工学研究所 編 日本経済新聞出版社 2018
株価の変動の原因分析に様々なアプローチをしています。
テキストマイニング
で企業のレポートの分析。また、多数派と少数派の分類なども。
企業間ネットワークや、マクロ経済、取引行動の分析。
「世界一やさしい金融工学の本です」 田淵直也 著 日本実業出版社 2006
半分位がマンガです。とても読みやすかったです。
金融リスクは金融工学の大きな柱とのことです。
「図解 リスクのしくみ」 石井至 著 東洋経済新報社 2002
金融リスクの現場にいた方が書いた本です。
一般的なリスクについての本ですが、金融リスクについてが詳しいです。
「理工系のための 経済学・ファイナンス理論」 縄田和満 著 東洋経済新報社 2003
この分野の数理を勉強するための入門書になっています。
「チャンスとリスクのマネジメント」 大澤幸生 他 編著 朝倉書店 2006
チャンスの方は、
テキストマイニング
でアプローチしてます。
リスクの方は、天候リスクを扱う、天候デリバティブの解説が多いです。
「意思決定の基礎」 松原望 著 朝倉書店 2001
ポートフォリオ分析が出て来ます。
「理工基礎 確率とその応用」 逆瀬川浩孝 著 サイエンス社 2004
金融リスクの簡単な入門部分があります。
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