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外部性の内部化

外部性は 環境経済学 で、必ずと言って良いほど登場する考え方です。 そして、「外部性の内部化」は、環境経済学(狭義)で中心になっている考え方です。

外部性と外部不経済

環境と経済を結び付けるキーワードとして、「外部性」があります。 「環境」には値段がなく、市場もないため、 市場を通さずに資源の採取や生産活動ができてしまいます。 これを「外部性」と言います。

外部性があるために発生する問題が「外部不経済」です。 外部性があるために、発生した問題のコスト(費用)を、「社会的費用」と言います。

コモンズの悲劇

コモンズとは、共有地のことです。 コモンズの悲劇は、外部不経済の例え話として環境経済学に登場します。

「ある人が、共有地で自分の牛(羊とする解説もある)を放牧していました。 その人は、牛を無制限に増やしました。 そうしたら、その土地の草が増えるスピードが、牛が食べるスピードに追い付かなくなり、 牛が草を食べ尽くしてしまいました。 最終的には、誰もそこで牛を育てられなくなってしまいました。」、というお話が、 「コモンズの悲劇」です。

コモンズは、川の水や、漁場にも当てはまります。

心理学と環境倫理

「外部性があると、なぜ、問題が発生するのか?」、という疑問に対して、 経済学的に解決しようとするのが環境経済学です。 しかし、外部性があるために起きる問題は、人間の心のあり方にも原因があります。

環境経済学の中でも、心のあり方の議論がないわけではなく、 環境倫理 で議論されているようなことが取り入れられています。 しかし、経済学者らしく、利益を軸にした考え方になりがちな感じがします。

心のあり方への別なアプローチとしては、 社会心理学 や、 環境心理学 があります。

外部性の内部化

外部性があるために、環境に対して経済学的なコントロールができないと考えると、 その解決方法のひとつとして、「外部性の内部化」が出て来ます。 「内部化ができれば、経済系の市場の原理で、環境問題をコントロールできる。」、という説があります。 内部化の方法 は、いろいろなアプローチがあります。

市場の原理

経済学には「市場の原理」という考え方があります。 これは、「神の見えざる手」とも言われます。 「価値のあるものは高い。高いものはあまり売れない。」等の原理(?)です。 この原理によって、市場のあるべき姿は自然に決まるという考え方をします。 この考え方は、政治的な力を不要とします。

市場の原理の考え方が、環境経済学に持ち込まれ、 「内部化すれば、市場の原理がうまくはたらき、 そして、市場の原理がはたらけば環境問題は自動的に解決する。」、という説があります。 この説の場合、内部化のために環境に値段を付ける段階で経済学とは違う学問が必要ですが、 いったん値段がついてしまえば、 あとは市場の原理がすべてを解決してくれることになります。



順路 次は 内部化の方法

参考文献

環境経済学の参考文献は多いため、 環境経済学の本のページ にまとめてあります。

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