品質工学の用語集
品質工学
の用語は、一般的に知られている言葉を、違う意味で使っていることが多いです。
独特の思想が込められているため、名前の文字通りの意味と、内容が合わないものもあります。
このサイトでは、品質工学の用語をできるだけ使わないで説明することにしています。
一般的な品質工学の文献は、様々な用語の意味を知らないと読めないです。
このページの用語の説明は、
一般的な品質工学の文献の内容について、筆者がまとめてみたものです。
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二段階設計
: 2ステップ法ともいう。ばらつきの最適化(最小化)→特性の最適化の順で、最適な条件を見つけること。
=「パラメータ設計」
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dB(db) : 「デシベル」と読む。通信工学では、[dB]という単位がある。
品質工学では、
SN比
と感度の単位を[db]と書く。
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L18 : 混合系の直交表
のひとつ。品質工学でよく使われる。
(品質工学の利点を生かしつつも、現実に可能な実験の規模として、適度なのだと思います。)
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log : 対数を表す記号。
品質工学では、
( log A )+( log B )= ( log AB )
の性質を利用している。
常用対数(底が10の対数)を使う慣習がある。
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MTシステム :
MTシステム
は、品質工学の中で考案された
多変量解析
の手法群の総称
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MT法 : MT法
は、MTシステムの一種
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SN比 : ばらつきを評価するための尺度
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SN比(静特性) : 「分散」に近い性質
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SN比(動特性) : 「決定係数」に近い性質
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T法 : T法
は、MTシステムの一種
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X : @ 説明変数 A 原因になる変数 B 因子 ※
質的データ・量的データ
の両方に使う言葉
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Y : @ 目的変数 A 結果を表す変数 B 特性を表す量
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Y = f ( X ) : 数学では、「 X の関数として Y が表せる」ことを意味する。
「 f 」は「function(ファンクション)」で、「関数」の意味。
品質工学では、「 X と Y の因果関係」を表現する目的で使い、
数学的な関係式で X と Y の関係を表すわけではない。
(
T法
は例外)
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因子 : =説明変数
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エネルギー : @「物性値を2乗した量」 A「X = 入力エネルギー ・ Y = 出力エネルギー」 :
@Aの意味の背景は、
品質工学の「エネルギー」
にまとめました。
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エネルギー損失 : 入力値と出力値の相関が悪い(データがばらつく)こと
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オメガ変換 : オッズを常用対数にして10をかけたもの。ロジット変換と使い道が同じ
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感度 : 製品の仕様の値、等を得るための尺度
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感度(静特性) : 「平均」に近い性質
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感度(動特性) : 「傾き」に近い性質
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機能 : @はたらき A 特性 B 品質 C 物理的な性質
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機能性 :
「機能性」
は、「動特性」の思想的な側面として説明されることがある。
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機能窓 : 目的の機能が得られる値に、範囲がある特性
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基本機能 : 目的機能を実現するための自然法則。
線形性
が成り立っていると考えられるもの。
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許容差設計 : 「設計の3段階」の3段階目。損失関数
を使って、許容できるばらつきの範囲を調べること
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誤差因子 : 外乱となって、品質の目的値をばらつかせる原因になる因子
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混合系の直交表 : 混合系の直交表は、品質工学では好まれる事が多い。
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システム選択 : 「設計の3段階」の1段階目。基本機能
として採用するメカニズムを選ぶこと
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信号因子 : 動特性の実験で使う因子
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水準 : 実験条件の一種。品質工学は2〜3水準が多い。
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制御因子 : 品質の目的値を得るための因子
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静特性 : Yの目標値が、特定の値を想定している特性
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静特性の実験 : 因子が
質的データ・量的データ
のいずれでもOK
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設計の3段階 : 「設計の3段階」とは、設計の一連の流れを3段階に分けたもの。システム選択、二段階設計、許容差設計の3段階から成る。
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損失関数 : 損失関数
は、品質の評価に使う二次関数
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直交表 : 実験計画法
で使う表。データ解析と組み合わせて、実験の数を合理的に削減する。
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デジタルのSN比 : いくつか式がある。
独立性の検定
や
比率の差の検定
と同じ役割
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動特性 :
X(信号因子)によって、Y が変化する特性。
X と Y には、一対一の関係がある。
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特性 : @目的とする品質(Y)に期待している性質 AYそのもの
※ 「特性」は、人や状況によって、意味が違っています。
ここでは、@Aの意味だけを挙げました。
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ノイズ : 品質工学では、データがばらつく原因を、「
ノイズ
」と呼ぶことがある。
このサイトではノイズとは言わずに、「
外乱
」と言っている。
ちなみに、ノイズは誤差因子で積極的に評価しようとする。
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パラメータ : 因子と水準の組み合わせ
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パラメータ設計 : =「二段階設計」
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パワー : 上記の「エネルギー」と同じ意味で使われることがある
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標準SN比 : 標準SN比
は、標準状態とそうでない状態の
相関性
を調べる尺度の一種
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標準状態 : 基準になっている実験の条件がある場合の、その基準条件
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目的機能 : 品質の一種。製品仕様等で、その製品に欲しい機能性(動特性)
以上、アルファベット順・あいうえお順
順路
次は
品質工学の過去と未来