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機能性の評価

動特性 で表現できる品質を扱う場合、品質工学では、その品質の性質を「機能性」と言います。

製品の品質というのは、視点の置き方によって、いろいろあります。 「機能性」はそうした視点のひとつです。 「機能性」という品質工学の用語には、 「機能」とありますが、一般的に「高機能」や「多機能」と言う時の「機能」とは、意味が違います。

目的機能と基本機能

機能性で、かつ、製品仕様や規格等の目的で必要な品質を、「目的機能」と言います。 そして、その目的機能を実現するための自然法則を、「基本機能」と言います。

機能性と動特性の違い

品質工学の一般的な解説では、機能性と動特性の両方が線形であることを前提にしていますので、 機能性と動特性は実質的には同じものです。 同じものに対して、思想面を強調して解説する時が「機能性」で、 数理面を強調して解説する時が「動特性」になっています。

ちなみに、このサイトは「 動特性 」の本来の意義は、2次元的にデータを評価することだと考えていますので、 線形であることにはこだわった説明をしていません。

基本機能の評価

基本機能の評価は、機能性の評価の背後にある思想です。

品質工学 では、 「目的とする品質そのものではなく、 その品質を支えている基本機能を評価する方が良い。」としています。 「根っこにある基本機能の方をロバストにしておけば、 目的とする品質の ばらつき が抑えやすい。」、と考えるためです。

また、「目的とする品質は、非線形のために扱いが難しいことがあるけれど、 基本機能は 線形 で仮定できるから、評価しやすい。」 、と考えられています。 機能性の評価のために、 動特性のSN比 がありますが、これは線形現象の評価のための尺度になっています。

基本機能とは、多くの場合、「オームの法則」のような自然法則が想定されています。

自然法則の留意点

5ゲン主義との関係

「5ゲン主義」と言われるものが、 TQC の中にあります。 「品質の改善には現場、現物、現実、原理、原則の5つの”ゲン”が必要」とする考え方です。

基本機能の思想で強調されているのは、「原理」をしっかり調べる事の重要さと言えると思います。

「原理」を把握しておく事の大切さについて、 基本機能と言ったり、5ゲン主義と言ったりしていると考えれば良いと思います。

基本機能の思想の、副次効果

測定が難しかったり、差のわかりにくいものを評価対象にすると、改善を進める上での障害になります。

基本機能の評価では、「線形」を前提にして測定できるものを探します。 「線形」を前提にできる測定は、実施しやすく、測定結果の差も、わかりやすいです。

基本機能の思想において、「測定しやすいもので、品質を評価できる。」というのは、副次効果です。 「測定しやすいものを探し、それを使って、目的とする品質の改善を進める。」、 という考え方は、役に立つ裏技だと思います。



品質工学の「エネルギー」



参考文献

設計・開発・品質管理者のための基本機能ハンドブック 品質工学・タグチメソッドで品質問題撲滅」 芝野広志 著 日本規格協会 2021
基本機能の個別の研究を分類して、体系化した内容になっています。
分類すると、転写、搬送、通電、加工、保形、機能窓の6つになるそうです。



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