マーケティング を積極的にデータ解析する分野は、「マーケティング・サイエンス」と呼ばれています。 「ビッグデータ」や、「 データマイニング 」が注目されるようになって久しいですが、これらはマーケティングの世界で一般に注目されるようになりました。
様々な分析が行われていますが、大きな成果は、POSデータの分析ではないかと思います。 「どんな人が、何を、どんな組み合わせで買っているのか?」を分析することによって、 効果的な販売ができるようになりました。 これに使うのが、 アソシエーション分析 です。
マーケティングは、「マス・マーケティング」と呼ばれる、 「みんなに宣伝して、みんなに売る。」方法から、 「セグメンテーション(区分け)・マーケティング」と呼ばれる、 買う人を狙って売る方法に変わって来たそうです。 新しい方法には、 決定木 がぴったりだったようです。
大きな成果が、もうひとつあるとすれば、 因子分析 です。 因子分析は、消費者の心理を、散布図という形で見れるようにしています。
「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」 森岡毅・今西聖貴 著 KADOKAWA 2016
買う・買わないの核心にあるのは、消費者のプレファレンス(好意度)なので、経営資源を投じるのは、プレファレンスの向上。
自分がコントロールできない(経営資源が足らない)ものに投資すれば、負ける。
デリシュレーNBDモデル(Negative Binomial Distribution:負の二項分布)で、カテゴリーの中のブランドの購入率や購入回数を検討できるモデルになっている。
定期的に購入される物や、突発的に購入される物には向かない。
ランダムに発生する物に向いている。
確率モデルを念頭におきつつ、自社ブランドの発生確率が上がるための方策を様々な方面から考えています。
その後で、マーケティングに使うデータの特徴や、組織論にも話が進みます。
「Rによるデータ駆動マーケティング」 豊田裕貴 著 オーム社 2017
回帰分析 : 売上の予測
ロジスティック回帰分析 : 買う・買わない・買う確率の予測
決定木 : セグメンテーションとターゲティング
因子分析 : 顧客の好みの分析
「最新 マーケティング・サイエンス」 朝野煕彦 著 講談社 2010
知覚空間の分析として、因子分析等で消費者の認識を分析し、
選好空間の分析として、好みの分析をした後で、セグメンテーション・マーケティングに進めます。
「例解 データマイニング入門」 内田治 著
決定木
・
回帰分析
・
テキストマイニング
が出ています。
この本の分析対象は、マーケティング関係の話ですが、
データマイニング
はマーケティングのためだけではない事も書かれていました。
「Rで学ぶデータサイエンス マーケティング・モデル」 里村卓也 著 共立出版 2010
具体的なRの操作や、理論の基本的なことも書いてある本です。
個々の操作が詳しいせいか、扱っている理論は少ないです。
ロジットモデルによる、買う買わないの分析の他、EMアルゴリズムや、ベイズ推定もあります。
市場反応モデルで、「値上げ時と値下げ時では、価格弾力性が異なる。」等の、様々な経験則が得られています。
ベイズ推定
は、MCMC法が個人の動向を分析するのに良いということで、出ています。
階層ベイズは、個人差を分析するのに向くようです
「マーケティング・経営戦略の数理」 西尾チヅル・桑嶋健一・猿渡康文 編著 朝倉書店 2009
・
社会心理学
による、消費者のエコロジー行動の解析
・時系列モデルによる、売値と基準価格の差の解析
・共分散構造分析による、広告の効果の測定
・重回帰分析による、価格(Y)と機能(X)の関係の解析(ヘドニック法)
「マーケティングで使う多変量解析がわかる本」 酒井隆・井恵都子 著 日本能率協会マネジメントセンター 2007
回帰分析
、
判別分析
、
プロビット分析、ロジスティック分析
、
コンジョイント分析
、
数量化
、
因子分析
、
コレスポンデンス分析
、
クラスター分析
、
多次元尺度構成法
、
パス解析
、
AHP
について、どんな事をして、どんな事がわかるかを、簡単にまとめています。
「Rによるマーケティング・シミュレーション」 朝野煕彦 編著 同友館 2008
コンジョイント分析は住宅のニーズの分析、ロジスティック分析は金融サービスの分析、
ベイズ法は購買のモデルとして出てきます。
ハフモデルは、集客数を売り場面積や、店までの距離の関数にしたモデルで、飲食店の立地戦略に使っています。
「ビジネスへの統計モデルアプローチ」 椿広計 著 朝倉書店 2006
回帰分析
等が出て来ます。
最終章では概念を分析する話もしています。
「90分でわかる!日本で一番やさしい「データ分析」超入門」 内田学・兼子良久 著 東洋経済新報社 2013
回帰分析
や、
コンジョイント分析
を売り上げの分析を例にして紹介しています。
「マーケティング・サイエンス入門 市場対応の科学的マネジメント」 古川一郎・守口剛・阿部誠 著 有斐閣 2003
SWOT分析
や、
プロスペクト理論
についても良く書かれています。
製品デザイン → 価格設定 → 広告 → プロモーション、という流れで解説しています。
・デシル分析 : 顧客を購買額で分類
・RFM分析 : 来店の時系列情報を考慮する。
「社内外に眠るデータをどう生かすか データに意味を見出す着眼点」 蛭川速 著 宣伝会議 2018
マーケティングの企画につなげるための、データ分析の本です。
企画のプレゼンの話もあります。発信者と受け手の認識は違うことなど。
インターネットのデータで仮説を作る。
データ分析のポイントは、変化(トレンド)を見る、差を見る、相関を見る、の3つ。
仮説はアンケートで検証する。
「マーケティングのデータ分析」 岡太彬訓・守口剛 著 朝倉書店 2010
ブランドのポジショニングや、ブランドの類似性の分析等の、ブランド戦略の話が多いです。
ブランドの類似性というのは、類似性があると、消費者が簡単に違うブランドの移動をするそうです。
「船井流・数理マーケティングの極意」 岡聡 著 同文舘出版 2007
かけ算・わり算程度の数理です。
出店の話が多いです。
都市地理学
の話もあり、クリスタラーの理論が出てきます。
「マーケティング」 茅野健 著 日本規格協会 1981
「経営工学シリーズ」の一冊のせいか、データ分析が中心の本です。
新製品の開発等では、意思決定が必要ということで、
統計的な意思決定
の理論が大きく取り上げられています。
セグメント分析はありますが、ブランドの重要性の話はありません。
「マーケティング・サイエンス」 片平秀貴 著 東京大学出版会 1987
いくつかの文献の中で参考文献として紹介されているのですが、筆者にはポイントがピンと来ていない本です。
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