仮説の探索の方法として、昔からあるのは、定性的な分析方法です。 物事のつながりや原理原則の関係を、ひとつずつ考えていきます。
なぜなぜ分析
は、ストレートに原因を考える方法です。
可能性があることを洗い出す方法になります。
連関図
は、原因と結果の関係が複雑になっている時に、いろいろな物事の関係を整理する時に便利です。
なぜなぜ分析や連関図では考えにくい場合は、もっといろいろな図法も使います。 それらについては、 システムの2大構造(木構造とネットワーク構造) にまとまっています。
定性的な分析は、簡単に言えば、 仮説を思い付くための方法です。
思い付くための方法なので、工場の工程の問題解決に使うなら、 その工程の関係者や経験者が使うと威力を発揮します。 何も知らない人が使うと、常識的な範囲で思い付くための方法になります。
真実と言えるような原因にたどり着けるかどうかは、分析者にかかっています。 経験豊かな人が分析したとしても、 未知の原因や、思いもよらないような原因にはたどり着けないことがあります。
しかし、現代では、誰も知らない事実を知る方法があります。 人ではなく、「データに語らせる」と言われる方法です。 代表的なものに、 データマイニング があります。 このような方法によって、 仮説の作り方 は変わって来ました。
「原因分析 構造モデルベース分析術」 飯塚悦功・金子龍三 著 日科技連 2012
問題への姿勢が網羅的です。
組織のあり方や調査の体系などをまとめたものを、「構造モデル」と呼んでいます。
問題に対する仮説が用意できて、自律性のある人がいれば、問題は解決する、という考えが根底にあるようです。
なぜなぜ分析は難しい、としてPNA(Process Network Analysis)を紹介しています。
プロセスの入出力の相互関係を見る事で原因を見つける方法です。
「科学哲学からのメッセージ 因果・実在・価値をめぐる科学との接点」 松王政浩 著 森北出版 2020
科学における、因果・実在・(テーマの)価値という点について、哲学ではどのように議論されて来たのか、という内容になっています。
「因果性」 ダグラス・クタッチ 著 岩波書店 2019
哲学者が何を因果と考えて来たのかをまとめた本になっています。
確率論や、線形・非線形といった数理の話もあります。
「哲学がわかる因果性」 スティーヴン・マンフォード、ラニ・リル・アンユム 著 岩波書店 2017
「因果性とは何か」ということについて、様々な説を紹介してから、「因果性は、他の言葉で定義できない」、「因果性の普遍的な定義はない」というところに進んでいます。
「社会科学と因果分析 ウェーバーの方法論から知の現在へ」 佐藤俊樹 著 佐藤俊樹 2019
マックス・ウェーバーの考案した、適合的因果という考え方が、現代の社会科学の方法論につながっていることを、
様々な文献調査を元にして裏付けていっています。
「時間とテクノロジー 「因果の物語」から「共時の物語」へ」 佐々木俊尚 著 光文社 2019
過去、現在、未来の3つの関係を考えること、しかも、その中に「因果関係がある」という前提を置いて考えることは、
当たり前ではなく、そういう考え方を持っていない人がいる地域が、世界を見渡すとあるそうです。
この本で紹介しているのは、「オートポイエーシス」です。
ひとつの生命について、その生命の視点で見ると、ただ生きているだけであり、
そこには目的はないことに着眼して、生命を定義しています。
因果がない、別の言い方をすれば、もっともらしい理由は考えられないけれど、しかし、偶然と考えることには無理があるほど、
絶妙なタイミングで同時に起きたりする現象があることを伝えている本でした。
順路 次は 因果関係の種類(ANDとOR)