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計量地理学

風水 のことを「地理」と呼ぶことがあるそうです。 そして、筆者が風水をいろいろ調べる中で、目に留まったのが「地理学」です。 環境問題という点では、環境地理学がありますし、 都市環境という点では、 都市地理学 なるものがあります。

筆者の場合、 小・中学校の社会科で、ずいぶん地理学を学びましたが、 高校一年を最後に、地理学からは遠のいていました。 風水をきっかけに改めて地理学に触れることになり、驚きました。 学問としての地理学は、数式も登場したりして、学生時代の地理学とは違うものでした。

地理学は、扱うテーマも手法も多彩です。 総合的な科学としての一面を持っています。

データサイエンスとしての地理学

地理学は、何より、地図や分布図による議論が多いのが特徴です。 このサイト風に言えば、そういうデータを扱う、 データサイエンス と言えます。

地理学の特徴は、人間の世界と、その場である環境を、俯瞰する点にあると思います。 人間の世界を扱う以上、その地域の思想・法制度・経済の仕組み等と無関係ではないのですが、 ある程度の距離を置いて、それらを眺めています。

計量的な地理学

地理学では、1950年代に「計量革命」なるものが起きたそうです。 数理モデルや、 統計学 を使って、計量的な分析が盛んに進められるようになったそうです。 「計量」という言い方は、今はしなくなって来ていますが、 今風に言えば、「定量化」や「モデル化」です。 筆者の手に取った本を見る限りでは、 1980年代には、どの地理学者にも無視できない存在になっており、 2000年代には、地理学では基本ツールとしての地位を得ていると言えそうです。 計量的な手法だけを取り出して、計量地理学や情報地理学と呼ばれることもあるようですが、 「計量地理学」というひとつの分野があると言うよりも、 地理学全体が、計量的なアプローチを一手法として位置付けています。

地理学は、大規模な データサイエンス の舞台になっています。 ただし、計量評価が扱えないものについての研究が軽視されることを、危惧する意見もあります。

難しさ

計量的な手法とは、簡単に言えば数学です。 計量的なアプローチでは、地理的な現象が、数式や数学用語で解説されています。

地理学で数学を使うと思っていなかった方には、キビシイ内容と思われます。 キビシイかどうかの境目は、微分積分・微分方程式・行列の計算辺りの数学について、 簡単な計算ができるかどうかになっているようです。

地図と認知地図

地理学では、地図が重要です。 都市地理学では、 環境心理学の認知地図 を取り入れて、本当の地図と認知地図の違いから、 都市の形のあり方を研究しているものがあります。 この研究は、 都市計画 の分野と重なっています。

地誌

地誌とは、地域や場所の個性の記録です。 ちなみに、 風土工学 は、地域の個性を大事にします。



参考文献

環境地理学

図説・環境地理 : 地球環境時代の地理学」 福岡義隆 著 古今書院 1992
自然の構造と、社会の構造の接点としての地理学を解説しています。 この本の内容の骨子は、簡単に時代の影響を受けるようなものではないと思うのですが、 扱っているデータは、どうしてもすぐに古くなってしまいます。 字が小さくて読みにくいながらも、 見開きの左ページが文章で、右ページが地図やグラフという構成になっていて、見通しが良いです。 この本の中でも都市の話が出て来ますが、著者は、都市環境学の本も書かれています。


地理学講座 環境と生態」 斎藤 功・野上道男・三上岳彦 編  古今書院 1990
具体例から、一般論を”少し”導く感じの流れになっています。 扱われているテーマは、気候・地形・水・植生・森林破壊・砂漠化・住まい・資源です。
ちなみに、この本は1990年の本ですが、すでに温室効果が紹介されています。 2009年現在も、地球温暖化現象に対して、堂々と異論を唱える方がいらっしゃいます。 何が正しいのかの議論はさておき、地球温暖化の議論の変遷は、歴史的な視点で面白いかもしれません。


環境地理学の視座」 朴恵淑・野中健一 著 昭和堂 2003
自然と人間の関係性を論じています。 時間的な変化を考慮している点は重要だと思います。


等身大の環境地理」 小林徹 著 学文社  1995
地球環境について、自然科学的に解説した後、国家、環境問題、農業、観光、という構成になっています。 この本は、 環境学の本 に近いです。


数理地形学

数理地形学」 水谷武司 著 古今書院 2007
著者は、防災の研究者です。 シミュレーション で、流水・波・風・氷河・重力・地殻変動・火山噴火による地形の変化を扱うための本です。。


計量地理学

地理空間分析」 杉浦芳夫 編 朝倉書店 2003
「シリーズ人文地理学」の第3巻です。 タイトルからは想像できませんでしたが、内容は難しい数学です。 空間データの解析方法が主体になっています。 Q分析カオスニューラルネットワーク 、等が出て来ます。


地域分析 データ入手・解析・評価」 村山祐司・駒木伸比古 著 古今書院 2013
地理学に、様々な多変量解析やグラフ理論の方法を適用しています。 ひとつひとつの方法の解説は少ないですが、 回帰分析パス解析因子分析クラスター分析多次元尺度構成法数量化理論Q分析 等、種類が豊富です。


変分原理の地理学的応用」 平野昌繁 著 古今書院 2003
地形上の最適な経路(最適な道路の配置、等)は、極値問題の解になっていると考えて、 変分原理による解き方を紹介しています。


地理学全般

地理学がわかる」 朝日新聞社 編 朝日新聞社 1999
地理学を、これから勉強しようとしている人向けに紹介しています。 研究者と研究テーマをセットにする構成になっています。


ジオグラフィー入門 :考える力を養う地理学は面白い」 高橋伸夫・谷内達・阿部和俊・佐藤哲夫・杉谷隆 編 古今書院 2008
重々しくない本です。




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