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問題解決の手順

問題解決と課題達成 の手順として、4〜10位の段階に沿って調査したり考えていくと、答えに行きつけるようになっている方法論があります。 階段を上がっていくようにして行く方法もありますし、少し複雑なものだと、 途中で分岐があったり、良い答えになるまで繰り返しがあったりするものもあります。

各段階で何をするのかは、それぞれの方法によって、うまく考えられています。

問題解決の手順と、課題達成の手順を比べると、問題解決の手順の方がわかりやすいです。 また、現実的な優先度は問題解決の方が高いことが多いと思いますし、テーマの数も問題解決の方が多いと思います。 そのため、順番としては、問題解決の手順を理解してから、課題達成の手順を理解する方が良いと思います。 課題達成の手順 は、ページを分けました。

世の中に問題解決の手順はいろいろとありますが、このページでは問題解決型QCストーリーを中心にして説明しています。 問題解決型QCストーリーは、流れがわかりやすいですし、大事なところがしっかりと入っています。

QCストーリーは、もともと日本の 小集団活動 の中で使い込まれて来た方法論です。

QCストーリーには「QC(品質管理)」とありますので、製造業の印象が付いて回る名前になっています。 しかし、問題解決として、かなり汎用的なものです。 製造業の会社の品質関係の話だけでなく、どの部門でも使えるような内容になっています。 また、製造業以外の会社でも役に立つような内容です。

問題解決型QCストーリー

問題解決型QCストーリーは、文献によって、少し言葉が違っていますが、大まかには以下の流れになっています。

「テーマの選定」という作業を文字通り実施するのは、 小集団活動 や、実務も兼ねた社内教育の中、あるいは「この手法を実務の中で試したい」といった場合です。 しかし、現実には、選べる状況ではなく、「上司からの指示」、「お客さんに報告しなければならない」、 といった理由で「やるしかない」ということの方が多いと思います。 こうした場合は、「やるしかない」と”会社が”考える理由や、テーマの価値や背景を考える段階にすると良いです。 視野が広がり、対策を考える時に役立つこともあります。

計画の段階については、 「やってみないとわからないから、計画は立てられない」ということが多いと思います。 しかし、「解決するのなら、時間はいくらでも使ってよい。」ということはないと思いますので、 「この時までに解決する必要がある」ということがあれば、まずは、そこから逆算する形で計画を立ててみると良いです。 また、 「年内」、「年度内」、「3か月以内」といったものを設定すると良いです。 会社の計画は、1年単位で大きく変え、3か月単位で見直すことが多いので、それに合わせるようにすると良いこともあります。

現状把握と要因解析の区別 のページに、現状把握と要因解析でやることをまとめました。

対策の立案 のページでは、一口に「対策」といっても、多様な切り口があることをまとめました。

標準化 は、当事者でないとなかなかイメージが難しいので、ひとつのページでまとめました。

QCストーリーの難しさ

筆者は、全社的にQCストーリーを推進している会社で、その推進部門の経験があります。 このサイトのQCストーリーの話は、その時に経験したことが元になっています。

QCストーリーの説明を読むと、「簡単」や「当たり前」と思う人がほとんどではないかと思います。 しかし、その「簡単」や「当たり前」をしないことによる失敗は、珍しいことではないです。

また、説明は「簡単」や「当たり前」に見えても、実際にこの手順を進めようとすると、論理的なつながりを裏付けを取りながら作り上げる作業は、 それなりに大変です。 大変ですが、効果はとても大きいです。

QCストーリーを使うメリット

QCストーリーを使うメリットは、下記のようなものです。

QCストーリーをきちんと作ると、以下のようになります。
「現状把握の結果、問題点はこうでした。
要因解析の結果、原因はこうでした。
対策の立案と実施として、原因に対して、こうしました。
効果の確認をしたら、このくらい効果がありました。
一時的な効果にならないようにこうしました。」

膨大な量の調査があったとしても、ここまでシンプルな説明にまとめられると、内容の妥当性の確認がとてもやりやすくなります。 まず、QCストーリーの各段階の中で、考え方の網羅性や、論理の正しさを確認できます。 次に、各段階のつながり方について、論理の正しさを確認できます。

QCストーリーで起きる困った事態

QCストーリーでは誤解が起きて、トラブルも起きます。

「QCストーリーの順番で、実際に活動を進めなければいけない」、と指導される

報告資料では、 QCストーリーは、活動の妥当性を説明するための論理の順番として使っています。 また、活動の妥当性が第3者でもわかりやすく説明するための方法として使っています。

実際の活動では、QCストーリーの順番通りには必ずしもなりません。 ところが、「QCストーリーの順番で、実際に活動を進めなければいけない」という理解をしている方もいらっしゃいます。 QCストーリーをQCサークルでプレゼンする時の慣習として、「活動のストーリー」のように説明するスタイルがあることも誤解の原因かもしれません。

筆者の知る限りでは、実際の活動は、PDCAを何回も繰り返して、このストーリーを完成させています。 QCストーリーの仮説を、何度も更新する感じです。

各段階は、完璧に調べ切ってから、次に進むようなものではないです。 完璧に調べ切ろうとすると、時間が非常にかかって、仕事としては異常なものになります。 また、テーマが旬を過ぎてしまい、やることの意味もなくなって来ます。 さらに、それだけ時間をかけたとしても、「完璧に調べ切ってから」ということはできていなくて、 次の段階に進んでから、前の段階の不備に気付いて調べ直すこともあります。

ある程度調査が終わってから、「最初にこれから調べれば良かった」という事に気付くことはありますが、 それは全体像がわかったから気付けることです。 しかし、こうしたことに対して「進め方が悪かった」と批判する方もいらっしゃいます。

「簡単なテーマ」、と誤解される

QCストーリーで資料を作ると、論理がとてもシンプルにまとまって、第3者でもわかりやすいものになります。

これの弊害として、「簡単に理解できる内容 = 簡単なテーマ」と誤解されてしまうことがあります。

この誤解を受けないためには、調査にかかった時間や、調査に必要だった作業の難しさなども、説明に添えるようにすると良いです。

重箱の隅が注目されてしまう

QCストーリーで資料を作ると、第3者でも、テーマの細部がよく見えるようになります。 すると、テーマの細部に対して、「調査が足りない」と言った指摘も出て来て、テーマが終わらなくなってしまうこともあります。

「優先順位を付けて、優先度の高いものから進め、一定の成果を出している」という点が、しっかり伝わるように説明すると、この事態は起きにくいようです。

データサイエンスの役割

QCストーリーを進める中の要所要所で データサイエンス の手法は重要な役割を担います。 下図のような感じで使われます。
データサイエンス

詳しくは、 問題解決と課題達成のためのデータサイエンス にまとめています。

問題解決型以外のQCストーリー

課題達成型QCストーリー

課題達成型QCストーリーは、 課題達成の手順 にまとめました。

施策実行型QCストーリー

問題解決型QCストーリーを進めると、現状把握の段階で、やるべきことがわかり、次の要因解析の段階がいらないことがあります。

施策実行型QCストーリーは、要因解析の段階を省略するQCストーリーです。

未然防止型QCストーリー

FMEA では、
リスクになる事象を列挙 → 点数付け → 対策 → 再評価
という流れです。

FMEAは、評価用のシートを使って、それを埋めながら順番に進めることでリスク対策をしようとします。

「リスク」というのは、問題としても、課題としても、扱いにくいものです。 QCストーリーには、問題用と課題用がありますが、リスク用として、「未然防止型QCストーリー」というものも提案されています。

リスク低減の活動は、起こったら困ることが起こらないことが成果なので、活動の成果が目に見える形にならず、評価しにくいです。 未然防止型の場合は、原因に対して、しっかりと対策ができていることを評価の対象とします。



参考文献

QCストーリーと、QCストーリーに近いもの

シックスシグマのDMAICもQCストーリーに近いですが、 シックスシグマ のページに参考文献を書いています。

品質管理」 久米均 著 岩波書店 2005
品質の改善を目的としてQCストーリーを使う時の、考え方やチェックポイントが丁寧にまとまっています。
現状把握は、「問題を起こす原因には触れず問題をありのままに見る」段階とし、 「問題を解決する手がかりは多くの場合問題自身の中にある」をその理由として説明しています。
要因解析とは、仮説を立てる段階と、検証する段階の2ステップで説明しています。


事例に学ぶQCストーリーの“本当”の使い方」 猪原正守 著 日科技連出版社 2018
著者は、QCストーリーの最初の段階の「テーマの選定」は、発表の項目であって、「本当」は、「問題や課題の認識」と「取り上げる問題の選定」としています。 ただし、著者が挙げたこれらの2つのステップの内容を確認したところ、従来の「テーマの選定」で行われていたことと内容は変わらないように見受けられました。
また、問題解決と課題達成には、「要因解析」と呼ぶか「攻めどころの明確化」と呼ぶかの違いはあるものの、実質的な違いはないと、著者は考えていて、 これも「本当」のひとつのようです。
現状把握として、「三現主義を徹底」、「データのばらつきに着目」、「時系列的な変化に着目」、「問題発生の瞬間を見る」、「データを層別」、 「プロセスを細分化」、「MECEの考え方を適用」を挙げています。


問題解決 あらゆる課題を突破するビジネスパーソン必須の仕事術」 高田貴久・岩澤智之 著 英治出版 2014
問題の特定、原因の追究、課題の設定、対策の立案、対策の実行、結果の評価と定着化、の順になっています。 この順番は、著者が業務の中で見つけて来たものとのことですが、 問題解決型QCストーリーと、ほぼ同じものになっています。 途中に「課題の設定」があり、対策を考える前に、あるべき姿を検討する段階が入っているのが、QCストーリーとの違いになっています。
◎〇△×を使ったざっくりとした定量評価はあるのですが、分析手法は、 連関図 などの、定性分析だけになっています。
世の中の問題解決の本では、解決策を出すまでの話がほぼすべてで、 実際に解決策を実行する時に何を考えれば良いのを書いてあるものは少ないのですが、この本には書いてあります。 すばやく柔軟に実行、既存の取り組みを活用、状況を共有、小さな問題解決を繰り返す、があります。


「解決策の実行」と「実行結果の確認」の前の段階まで

QCストーリーやシックスシグマのDMAICには、 手順の中に「解決策の実行」と「実行結果の確認」が含まれています。 さらに実行結果が維持するように手を打つところまで含まれています。

一方、 世の中に「問題解決の手順」は、いろいろありますが、「解決策の実行」や「実行結果の確認」が手順に含まれていないものの方が多いようです。 解決策を出すところで終了して、問題が本当に解決するのかまで含まれていないので、「問題解決の手順」になっていないです。


コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法 定番フレームワークの最新活用法から社会課題解決まで」 名和高司 著 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2018
マッキンゼーとボストンコンサルティングの両方に所属していたことのある著者が、両社の違いを比較しながら、問題解決の話をしています。 この本が扱う問題は、事業の存続がかかっているような問題です。 また、解決策というのは、事業の変化のさせ方になっています。
タイトルにある「コンサルを超える」というのは、問題解決だけではなく、その先の企業の成長になってくる機会発見まで考えていくことになっています。
問題解決の7ステップは、 問題を定義する、問題を構造化する、優先度をつける、分析方法を設定する、分析を実施する、発見内容を統合する、問題解決法を提言する 、となっています。
「問題」と言われていることそのものではなく、問題が問題と言われる理由や、背景に、本当の問題があると考える。
早い段階から仮説を立てる。仮説を前提にして物事を見て、仮説を修正していく。
フレームワークはいろいろあるけれども、現状を記述するだけで終わってしまうものは意味がない。 その後の行動につながるものに意味がある。
フレームワークで現在のポジションを知ったら、それをずらすことが戦略になる。


問題解決大全」  読書猿 著 フォレスト出版 2017
問題の認知、解決策の探求、解決策の実行、結果の吟味の4段階で問題解決のステップを考えています。 これらの各段階で役に立つ方法を紹介しています。
QCストーリーでは、結果系を「問題」として、原因系を「原因」や「要因」と呼んで区別しますが、 この本では、原因も「問題」に含まれています。
著者は、現実の問題では、結果と原因が単純な構造でつながっているわけではないこともあるので、 原因を特定して、それをなくせば問題が解決するアプローチができないことも想定しています。 このような問題の解決法としては、 悪循環がどのようなループで起きているのかを調べる、 あえて問題を起こしてみる、不完全とわかっているプランを実行しながら次のプランを練る、 問題となる状況を変えて問題ではなくしてしまう、などが挙げられています。
フェルミ推定 : 桁の大きさを推定する方法。様々な情報から上限と下限を見極めて、値がどのくらいになるのかを見積もる。


新人コンサルタントが入社時に叩き込まれる「問題解決」基礎講座」 松浦剛志・中村一浩 著 日本実業出版社 2016
問題提起、問題確認、目標設定、原因分析、解決策立案、解決策評価、という手順になっています。
時間が限られていることを意識しつつも、物事を簡潔に表現しながら、網羅的に検討することを説明しています。
対策立案を網羅的にする考え方として、オズボーンの9つのチェックリストや、SCAMPERの7つの質問リストを紹介。


ビジネスマンのための問題解決ハンドブック 知っておくべき「35」のテクニックとツール」 アントニオ・E.ワイス 著 ピアソン桐原 2012
「OBTAIN問題解決プロセス」というものを紹介しています。
Outline:到達点の明確化
Breakdown:問題の細分化
Test:仮説の検証
Analyze:分析
Imagine:解決案の創出
Notify:情報共有
、となっていて、項目は6個で基本的にこの順番ですが、B、A、Iのそれぞれは仮説を出すもので、それぞれに対してTをする形になっています。
本の内容は、それぞれの段階を詳しく説明しながら、ツールの説明をしています。 関係者とのコミュニケーションの取り方の話も多いです。


マッキンゼー流入社1年目問題解決の教科書」 大嶋祥誉 著 ソフトバンククリエイティブ 2013
マッキンゼー社の新入社員が学ぶことになる問題解決の方法をまとめています。心構えのような話が多いです。
問題解決のプロセスとしては、
問題の構造を把握
問題を分解
仮説を立てて分析
仮説を検証
解決策を導き出す
の5段階としています。


1分間問題解決 目標と現実の「ギャップ」を埋める4つのステップ」 K.ブランチャード 他 著 ダイヤモンド社 2002
全体は、小説仕立てになっています。
「GAPS戦略」という問題解決の4つのステップを提示しています。
GO FOR THE "SHOULDS."(「あるべき姿」を求めよ)
ANALYZE THE "IS."(「現状」を分析せよ)
PIN DOWN THE CAUSESA.(原因とつきとめよ)
SELECT THE RIGHT SOLUTIONS.(適切な解決策をとれ)
筆者は、「問題とは、あるべき姿と現状のギャップ」という説明をよく見聞きしますし、自分でもそのように説明しますが、 どちらかというと、現状を明らかにすることに集中しがちです。 あるべき姿を明らかにして、ギャップも明らかにする、ということはそれほど意識しません。 この本は、あるべき姿、現状、ギャップ、という3つをしっかり調べることを大事にしています。


社内外に眠るデータをどう生かすか データに意味を見出す着眼点」 蛭川速 著 宣伝会議 2018
マーケティング として、新商品の企画をするまでの流れを説明しています。 プロセスは、大きく分けて3段階です。
・現状把握:市場規模の推移、顧客・生活者の実態と意識、競合企業の状況
・仮説設定:ターゲット設定、ベンチマーク商品の成功要因分析、ニーズ仮説の抽出、アイデア発想
・企画立案:仮説検証(アンケート調査)、ビジネスモデル、コンセプトシート、売上予測
アンケート以外は、必要なデータをインターネットで検索して集める方法になっています。 ネット上の情報は、玉石混交なので、Fact(事実)を表している情報を重視すると良いそうです。 数値のデータなどになります。
統計分析から導くと良い指標として、構成比、代表値、増減率の3つを挙げています。




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