個人は、 認知と学習 を続けます。それによって、成長(拡大)、弱点の改善、環境変化への追随をしています。 これを真似した仕組みは、 人工知能(AI) に応用されています。
ところが、組織は学習が進みにくい仕組みになりがちです。 そのため、弱点はいつまでも弱点のままですし、事業環境や社会環境の変化に追随しにくいです。
組織がそうなりがちなのは、それもまた、人間の特徴のようです。
学習ができる組織になっていくための考え方や方法は、1990年代から出て来ています。
人には
多様性
があることを認めた社会にしていく事や、多様性の良さを積極的に活用していく考え方とも、
合致しているためだと思うのですが、「学習ができる組織」は「多様性」と合流して、広がりを見せています。
自分が描いているビジョンと現実のギャップを意識して、それらの背景や前提なども考えた行動を継続すること
メンタル・モデルは、チームメンバのそれぞれが暗黙のうちに持っている前提や思い込みのことです。 これを明らかにすることで、議論が進むようにします。
全体を見るためのツールとして使われます。 システム思考 を組織の動的な動きの現状把握に利用します。
チームメンバの意識の共有を図っていくこと
「組織には多様性が必要」という組織論は、新しい内容です。 このサイトでは、 多様性 のページがあります。
「学習する組織 システム思考で未来を創造する」 ピーター・M.センゲ 著 英治出版 2011
システム思考
の見方で組織を分析して、組織が学習することのネックを改善していくアプローチです。
著者がデミング博士から教わったこととして、「短期的な指標による評価」、「目に見えないものを低く評価」、「上司が好印象を持つ行動を評価」、
「経営陣が目標を設定」、「『正しい答えがある』という前提」、「相違や対立を回避」、「すべて予測してコントロールしようとする」、
「過剰に競争させる」といったマネジメントのあり方が、組織学習が進まない原因としています。
「「学習する組織」入門 自分・チーム・会社が変わる持続的成長の技術と実践」 小田理一郎 著 2017
ピーター・M.センゲ氏の「学習する組織」という本を、実践向けの入門書として作られています。
「自己マスタリー」、「システム思考」、「メンタル・モデル」、「チーム学習」、「共有ビジョン」の5つを基本にしています。
「POSITIVE DEVIANCE 学習する組織に進化する問題解決アプローチ」 リチャード・パスカル 他 著 東洋経済新報社 2021
組織を短期間で確実に改善する方法として、POSITIVE DEVIANCEを紹介しています。
DEVIANCEというのは、「逸脱」のことです。
この本の内容は、
外れや欠損の原因の解析
にあります。
「実践アクションラーニング入門 問題解決と組織学習がリーダーを育てる」 マイケル・J.マーコード 著 ダイヤモンド社 2004
問題解決と課題達成
の実務を通じて、リーダーの育成や、組織としての学びを重ねて行く活動を紹介しています。
QCサークル
やタスクフォースのような、類似の手法よりもアクションラーニングは、体系化が網羅的にできているとしています。
「組織学習の理論と実践 個人の力が仕事で活きるチームをつくれ!」 辻本篤 著 生産性出版 2014
組織学習論の歴史の説明の後に、組織学習を効果的に進めるためのノウハウがまとめられています。
QCサークル
を組織学習の優れた仕組みとして、再評価しています。
「ベンチマーキングの理論と実践 「学習する」組織と「自己変革型」社員の創造」 ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス編集部 編 ダイヤモンド社 1995
ベンチマーキングを組織が学習する有効な手段として紹介しています。
「組織論再入門 戦略実現に向けた人と組織のデザイン」 野田稔 著 ダイヤモンド社 2005
ミクロ組織論と、マクロ組織論に分かれています。
前者が個人や集団の話で、リーダーシップ、やる気、意思決定の話です。
後者が会社の構造や、会社間のあり方の話になっています。
「エンジニアリング組織論への招待 不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング」 広木大地 著 技術評論社 2018
ソフトウェアの
システムズエンジニアリング
の本です。「組織」としては、プロジェクトチームがイメージされています。
方法論としては、
アジャイル型
を中心にしていて、アジャイルで不確実性に向き合いつつ、現実的・効率的・組織的な対応をしていきます。
「動的平衡 3 チャンスは準備された心にのみ降り立つ」 福岡伸一 著 小学館 2023
生命体は、常に自分の一部を壊して更新することで、自分を維持しているということから、
会社組織についても、柔軟に作っておいて、部分については順次壊して更新していくことが一番としています。
また、生命体は、個々の部分が自律的でありながら全体を作っているとしています。
動的平衡組織論と呼ばれています。
この本は、様々なテーマについての著者の見解を集めたものになっていて、組織論以外にもいろいろあります。
副題にある、「チャンスは準備された心にのみ降り立つ」というのは、まったく別のところにある点のような事実同士がつながることで
大きな発見やビジネスになることがあるが、それが何で、いつ起きるのかはわからない。
人にできることは、いつかつながることを信じて進むこと、という話を、抗生物質の発見や、アップル社の始まりを例にして説明しています。
「現代組織論」 田尾雅夫 著 勁草書房 2012
組織における様々な事象を集めたような内容になっています。
「組織論」 桑田耕太郎・田尾雅夫 著 有斐閣 2010
会社組織を平易に解説しています。
「組織理論入門 5つのパースペクティブ」 須田木綿子・米澤旦・大平剛士 著 晃洋書房 2022
組織理論のビッグファイブを紹介しています。
・資源依存理論 : 組織は資源で成り立っている。資源を外界から安定的に得るための活動をする。
・制度理論 : 組織は外部の制度の影響を受けて、活動の仕方を決めている。
・取引費用理論(トランザクション・コスト・エコノミクス理論) : 取引の方法やコストの大きさに応じて、組織の活動が変わる。
・ネットワーク理論 : 組織や個人はネットワークに埋め込まれる形で活動している。知識の獲得や共有が起こっている。行動はネットワーク構造を考えて決める。
・ポピュレーション・エコロジー理論 : 組織の多様性や、生成・成長・消滅を、
生態系とのアナロジーで考える理論
「産業組織のエッセンス」 明城聡・大西宏一郎 著 有斐閣 2022
経済がどのようにできていて、企業がどのような戦略を立てるのか、どのように活動をしているのか、といった内容です。