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行動経済学

行動経済学では、人間が損か得かを考える時の心理を明らかにして、そこから世の中の動きまで考えます。

経済人の否定

行動経済学は、従来の経済学が前提としている、「経済人」の存在を否定するところから始まります。

経済人というのは、合理的、かつ、功利的な行動をする人のことです。 合理的とは、理路整然と選択肢を選ぶことを言い、 功利的とは、選択肢の中で、もっとも得するものを選ぶことを言います。

このような経済人を仮定する事によって、経済学がさまざまな成果を出してきた事は事実と思います。 ただ、「ギャンブル」や「寄付」等の行動については、この仮定をする限りは説明がつかないです。 それが、経済人を否定する始まりとなったようです。

行動経済学の着眼点

行動経済学が着目した人の行動のクセは、 プロスペクト理論フレーミング効果ヒューリスティクス 、バイアス、等です。

政策や マーケティング を考える時は、こうしたクセにどのように向き合うのかが、ポイントになっています。

感情

行動経済学の本によっては、
「不合理な行動 = 感情による行動」
となっています。 筆者としては、 フレーミングヒューリスティクス は、「感情」とは違うような気がしています。



参考文献

最新行動経済学入門 「心」で読み解く景気とビジネス」 真壁昭夫 著 朝日新聞出版 2011
プロスペクト理論
ヒューリスティック:パターン化、単純化、画一化
心理感情:満足の自己評価。サンクコスト(埋没費用)も影響
フレーミング効果:思い込み
せっかち度:将来より、今が大事
ナッジ:合理的行動と思いながら人々が行動するように、それとなく誘導


知識ゼロからの行動経済学入門」 川西諭 著 幻冬舎 2016
不合理な行動の原因になる人の心理を漫画付きでひとつひとつ解説。
「考える事を節約する」、「多数派に合わせる」、「後悔回避」、 「都合の良い情報だけ受け取る」、「参照基準点から損得を考える」、「変化したがらない」、「時間で重みが変わる」等。
従来の経済学で説明のつかないのは、利他的な行動。この研究にゲーム理論が使われる。
政策を考える時は、行動経済学の知識を使うと、効果的になる。 例えば、参照基準点が変わるように誘導する事によって、そのままでは賛成してもらえない事に、賛成してもらえるようにする、等。


行動経済学」 筒井義郎・山根承子 著 ナツメ社 2012
心理会計、代表性、利他性、期待効用率、プロスペクト理論、時間割引と、行動経済学の特徴的な理論を解説した後に、 経済学の中での行動経済学の位置付け、幸福を測る経済学につなぐ。 最終章は、行動経済学の知見を利用した商売。
リスクに 平均値と標準偏差 、代表性の認知に ベイズの定理 という形で、 統計学 と行動経済学の話題の関係の話もある。


行動経済学入門」 多田洋介 著 日本経済新聞社 2014
ひとつひとつが丁寧に書かれた入門書です。
行動経済学の応用分野のひとつとして、行動ファイナンスにひとつの章をあてています。


行動経済学入門」 真壁昭夫 著 ダイヤモンド社 2010
行動ファイナンス(株の動き)についての話が多いです。


セイラー教授の行動経済学入門」 リチャード・セイラー 著 ダイヤモンド社 2007
合理的思考に整合しないものを扱おうとする本、とのこと。 行動経済学の一般向けの本は、「行動」を中心に解説していますが、 この本は「経済学」を中心に解説しているような印象でした。


行動経済学 ‐世界は感情で動いている」 友野典男 著 光文社 2006


実践行動経済学 ‐健康、富、幸福への聡明な選択」 リチャード・セイラー、キャス・サンスティーン 著 遠藤真美 訳 日経BP社 2009


経済は感情で動く はじめての行動経済学」 マッテオ・モッテルリーニ 著 紀伊國屋書店 2008


認知バイアス 心に潜むふしぎな働き」 鈴木宏昭 著 講談社 2020
「合理的ではない行動が起こるのは、認知バイアスが働いているから」として、様々な認知バイアスを紹介しています。
「〇〇バイアス」の紹介もありますが、 ヒューリスティクス 、プロトタイプ、ステレオタイプ、限定合理性、直観、といった言葉も、認知バイアスとして紹介されています。


心理学寄りの行動経済学

心理学の立場から行動経済学を解説している場合は、期待効用理論に対するアレのパラドックスを解説し、 その後でプロスペクト理論が、その解決策になるという流れになっているものが多いようです。 それ以外は、パラドックス集のような感があります。


行動意思決定論 : 経済行動の心理学」 竹村和久 著 日本評論社 2009
プロスペクト理論やフレーミング効果を中心に解説されています。


意思決定と経済の心理学」 坂上貴之 編 朝倉書店 2009
引用論文が詳しいです。 何かが筆者の感覚とずれていて、筆者の中に内容が入って来ない本です。


経済心理学のすすめ」 子安増生・西村和雄 編 有斐閣 2007
賭け、保険、問題商法、経済学の教育などを題材にした章もある。


行動経済学を活用した政策

ナッジで、人を動かす 行動経済学の時代に政策はどうあるべきか」  キャス・サンスティーン 著 NTT出版 2020
政策で使うべき方法として、ナッジを紹介しています。 人々に十分思考させて、その上で選択できるものが「ナッジ」で、十分な思考はさせないのが「操作」です。


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