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自閉症を治す

このページは、「自閉症(自閉症スペクトラム)を治す」という点について、筆者の経験に基づいてまとめたものです。

これを書いている2024年現在の、筆者の私見です。

自閉症の原因

問題解決の手順 では、対策の前に原因の特定をしようとします。

自閉症を治すのでしたら、原因が知りたくなりますが、筆者の調べた範囲では、自閉症の原因は感覚過敏ということのようです。 感覚過敏というのは、「味覚や触覚が一般的な人よりも強く感じる」、「目から入ったものから、多くの情報を取る」といったものです。

感覚過敏によって、情報が大量に来るため、常に緊張します。 また、情報量の増加を抑える行動が始まります。 例えば、見るものを限定しようとします。

そうだとすれば、「感覚過敏になってしまう原因は何か?」という話になりますが、それはまだわからないようです。

ただ、そうはいっても、感覚過敏を原因と置くと、自閉症の症状や特徴のほとんどが、感覚過敏ということで説明がつくようです。
自閉症の原因

自閉症を治すとは

根本的な原因がわからないので、根本的な治療法はないです。

「自閉症を治す」ということで、「この薬を飲めば、1週間で治ります。」や「この手術で治ります。」といった方法は、少なくとも現時点ではないです。 (なお、医学の中では、様々なものが提案されて来てはいるようですが)

療育:治療しながら、育てる

根本的な治療法はないのですが、そんな中で、ベストを尽くしていくのが、療育です。

療育として、行動を修正したり、行動の学習を支援する方法がありますが、これらよりも、もっと根本的なところへの療育が、今はあります。 (ただし、社会的な認知は、まだまだのようです。)

現時点でのベストな療育は、まず、自閉症によって起きてしまっていることの、除去や緩和です。 子供の場合、除去や緩和があると、もともと持っている学習機能が働きやすくなって、自然な成長をしやすくなるようです。

脳科学 では、脳に損傷があると、脳の他の部分が損傷した部分を補うようになることが知られています。 これと似ています。

身体を整えて行く

自閉症を持つ人は、行動が注目されがちですが、体の状態や使い方にも、特徴があるそうです。

東洋医学 には、体を良い状態に直す方法が昔からあります。 「緊張」などの、体と心が結び付いた状態を改善する方法もあります。 それを自閉症の特徴に活用すると、その人の発達を妨げている壁のようなものが取れ、 「自然に発達しない・できない」という状況を変えるアプローチになります。

東洋医学は昔からありますし、自閉症も昔からありますが、「自閉症に東洋医学を活用」という発想は、21世紀になってからのようで、 とても有望な分野です。

また、東洋医学以外でも、「身体を整える」という方法は、有望な分野です。

ABAの活用

自閉症とABA のページにあるように、自閉症に対してできることとして、ABAは有望ですが、難しさがあります。

自閉症児は、人間がもともと持っている自然な発達が、とてもしにくいのですが、 上記のように、身体を整えると、その点が変わって来るようです。 そうすると、自然な発達をしやすくなるのですが、そこまで準備できると、 ABA の知識が、非常に活きて来ます。

周囲の人にABAの知識があると、自然な発達に対して、より良い支援ができるように思います。 筆者の場合、自分の子供の行動を理解するのに、ABAの知識が役立っています。

データサイエンスの課題

データサイエンス の視点で、自閉症の分野を見ていると、いくつか課題がわかって来ました。

統計学的な研究の難しさ

子供は、もともと自然に発達する仕組みを持っています。 自閉症の子供は、その仕組みがうまく働かないので、周りの人が介入することで、発達が進みます。

一言で「自閉症」と言っても、人によって程度は違いますし、その人が持っている問題は、自閉症だけではないこともあります。 自閉症ではないけれども、単に発達が遅いだけの可能性もあります。

そのため、「この方法は、効果がある」と言いたくても、方法による効果なのか、その方法を使わなくても、同じ状態まで発達したのかの区別が難しいです。

測定の難しさ

東洋医学などの先生は、見たり、触ったりすることで、その人の状態を把握できます。

東洋医学 のページの参考文献にあるように、測定可能なことが増えてはいるようですが、不可能なことは、まだまだ多いようです。

測定して、データにできる事が増えれば、上記の統計学的な難しさの突破口になります。



参考文献

東洋医学による自閉症の改善

療育整体 勝手に発達する身体を育てよう!」  松島眞一  著 花風社 2023
発達障害のある人を観察した時に、血流が悪い、体が硬い、姿勢が悪い、という特徴があることに気付き、 整体の方法でそれを直すことで、発達障害と言われる問題が改善した経験に基づいています。
専門家でなければできない施術では、継続が難しいので、誰でも簡単にできる方法を開発されています。 縦巻き横巻きの法則も取り入れられています。
皮膚に刺激を与えることから、心と体にアプローチしています。


自閉症は漢方でよくなる 記憶・学習/意識編」  飯田誠 著 講談社 2010
自閉症の直接的な原因を緊張の高さと考え、それを緩和する薬として、大柴胡湯が効く、としています。
人によっては、大柴胡湯以外の胡湯を処方することもあります。
緊張の高さの原因としては、感覚過敏を挙げています。
・自閉症とADHDには似ているところがあり、判断を間違えた事例がよくある。 ADHDには、特効薬がある。 自閉症の薬として発表されたものを著者は片端から試したが、効果のあるものはない。 著者は、緊張を緩和する薬が自閉症に効くと考えていて、それにぴったりだったのが、大柴胡湯。 大柴胡湯は、たまたま違う目的で処方した時に、効果に気付いた。
・大柴胡湯の効果は、大人でもあり、緊張の緩和で日常生活が楽になり、問題行動が改善する。 発達の遅さを正常に近くして、発達が進むようになるのは、幼児から処方を始めた場合。
なお、筆者の子供の場合は、この薬がとても苦いため、長続きしませんでした。


人間の脳の仕組み

メカ屋のための脳科学入門 記憶・学習/意識編」 高橋宏知 著 日刊工業新聞社 2017
記憶や学習と、脳の仕組みの関係についての本です。
自閉症についての話があり、自閉症の特徴に言語の模倣が困難であることから、ミラーニューロンの異常と考えられることや、 自閉症の早期発見に心の理論を応用する話があります。


自閉症スペクトラムのある人の教育

おうち療育をはじめよう!  発達障害がある子の会話力がぐんぐん伸びる」 柳下記子 著 野波ツナ漫画 講談社 2021
マンガを使って、わかりやすく説明しています。
例えば、あいさつでは、「こんにちは」と言うことまでできたらほめるのではなく、「あいさつをしようとした」、 「相手を見ることができた」、という点もほめることができる。 (この本では、ABAには触れていませんが、ABAの強化学習を細かくすることで、確実に学習を積み上げる考える方法になっているように思いました。)
感情や、やることを、一緒に絵にしてみることで、状況を把握する能力を身に着けていく。


自閉症とことばの成り立ち 関係発達臨床からみた原初的コミュニケーションの世界」 小林隆児 著 ミネルヴァ書房 2004
自閉症によるコミュニケーションの問題の解決は、自閉症の当事者に対するものだけが検討されて来ているが、 コミュニケーションは双方によって成り立つものなので、当事者だけでは偏っているとしています。
また、大人の物の見方、言葉を使ってコミュニケーションができる人の物の見方を前提として、それを伝えることが自閉症を持つ子供への教育とする考え方が、 定着しているが、その考え方には根本的な問題があるとしています。
著者は、子供の興味や関心がどこにあるのかを大人の側が理解して、その場で適切なことばを使って行くことで、言語によるコミュニケーション能力の発達を促すあり方を提唱しています。
また、自閉症があると感覚が異なるため、何を感じ取っているのかがわかりにくいことや、発せられた言葉の内容を大人の物の考え方で理解しようとすることになることも、自閉症児とのコミュニケーションの難しさとしています。
著者は、自閉症児の興味や関心の把握の仕方や、言語教育のあり方の研究も進めています。
感覚が強いと、常に様々な情報が入って来て、安心感がない。 外界に対して警戒心を持っている。 それがコミュニケーションを積極的に行わないことにもつながる。 甘えたくても甘えられない状況になる。 自閉症があると、ひとつの物に見入ってしまう行動になるのは、安心感を得るため。
子供の行動に親が声をかけると、子供にはその行動が際立ったものになる。


図解やさしくわかる言語聴覚障害」 小嶋知幸 編著 ナツメ社 2016
大人と子供で言語障害を分け、その中でさらに原因別に分けています。
自閉症児については、言葉の質的な理解が難しいことに対して、あいまいな表現を避けることや、筋道のわかる表現を使うといった支援が説明されています。


ことばの遅れが気になるなら 接し方で子どもは変わる」 古荘純一 監修 講談社 2021
発語は、脳や体の様々な部分が関係して始まるので、口の訓練のような発語の部分だけに注目するのではなく 子供の自発的な行動が多くなるようにしたり、それに親が一緒に関わっていくことの方を重視しています。
この本は、障害の有無に関わらず、子供の発語に必要なことが全体的な内容になっています。
聴覚や自閉症などによる障害がある場合について、それぞれ専門家に相談しながらということで、少し触れられています。


ことばの発達が気になる子どもの相談室 コミュニケーションの土台をつくる関わりと支援」 村上由美 著 明石書店 2015
著者は、ご自身がことばの発達が遅いということで、親御さんがご尽力され、それもあって言語聴覚士になられたという経歴をお持ちです。
ことばは話せるものの、内容が伝わらない、内容が噛み合わない、といった場合へのアドバイスがまとまっています。




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