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環境倫理

環境倫理とは、 「"環境"をどう考えるのか?」とか、 「人間はどうすべきなのか?」、と言った疑問に対しての規範です。

環境と品質 のところで、このサイトの データサイエンス が、どういう目的で取り上げられているかを書きましたが、 「未来の人も含めた、あらゆる関係者」というような発想は、環境倫理の分野でも言われています。

環境倫理の主張

環境倫理には、よく言われる主張があります。 これらの主張を、「普遍の真理」、と思っている方もいらっしゃるようです。。。 下記のようなものです。

環境思想と環境倫理

環境思想 から環境問題にアプローチする場合、物の見方を見直すことによって、環境問題における人間の内在的な原因を改善しようとします。

この考え方の一つの帰結として、環境思想の分野では、 「合意形成のための拠り所や、合理的な行動のための理論として、 ひとつの思想を絶対視しよう。」という、強い意志を示す方もいらっしゃいます。 筆者は、それが環境倫理なのだと思います。

筆者としては、思想の多様性が重要だと思いますので、 全世界の人の規範をひとつのものに合わせるべきかどうかは、疑問です。



参考文献

環境倫理

生命と環境の共鳴」 高橋隆雄 編著 九州大学出版会 2004
ケア」を掲げているせいか、この本には、思いやりや優しさが感じられます。この本の世界は、深いです。
本のタイトルが、ほぼそのまま議論されているのが、編者が著している章で、 医療等における生命倫理と、環境倫理について述べています。
両者は、将来世代への影響を扱う点や、米国からの輸入の影響が大きい点が共通としています。
環境倫理は原生自然を重視しますが、これは米国の発想があるからで、 英国や日本は里山主体であり、原生自然と人為の自然を区別するのは、すでに困難になっている点を指摘しています。 これは、自然中心主義のような発想が、そもそも成り立たないということでもあります。
2つの倫理を統合するのが、「ケア」という概念で、ケアを中心にすることを提案しています。 ただし、ケアだけでは、「悪しきケア」が発生するかもしれないので、 「権利」という概念で補完することや、 継続的な自己評価も必要としています。
その他の章では、「知る」とか「住まう」のようなことを、根本的な概念から考えている章もあります。


環境倫理の新展開」 山内廣隆・手代木陽・岡本裕一朗・上岡克己・長島隆・木村博 著 ナカニシヤ出版 2007
無駄の少ない、鋭い視点です。 易しい内容ではないですが、何度も読んでみたい本です。
スピノザ:古代の自然観を近代に復活させようとした人。 17世紀当時ではなく、後の思想論の中で、「先人」としてもてはやされるようになった人。 (環境思想の傾向とも、合っています。)
アービッヒ:「共世界」という言葉で、自然としての人間を提言。 カントの感性界と叡智界という2つの世界の関係に注目。 人間の本性に従った生き方として、「自然との和解」を提言。


環境と倫理」 加藤尚武 編 有斐閣 1998
環境問題と倫理学・持続可能性・水俣病・環境正義・動物解放論・ 生態系 ・京都議定書・戦争と平和・宗教とのかかわり、等様々な視点から、 環境を見つめている本です。 ともすると、狭〜いものの考え方に閉じこもってしまいそうなテーマですが、 うまくアプローチしているように思います。


新潟から考える環境倫理」 栗原隆 著 新潟日報事業社 2002
環境倫理の優しい啓蒙書です。 単なる「論」ではなく、 主な事例が、新潟県で実際に起きたことになっていて、具体的です。 加藤尚武氏の主張がベースのようです。
フロンティア倫理 − 開拓者の倫理です。有り余る程、自然資源があるケースでは、問題がない倫理です。
ホイッスルブロウの倫理 − 「ホイッスル」が「笛」で、「ブロウ」は「吹く」です。 良くないことが起きそうなことを予測した時に、警告する(警笛を鳴らす)倫理です。


環境倫理学」 鬼頭秀一・福永真弓 編 東京大学出版会 2009
著者多数で、なかなかのボリュームですが、体系立っていて、統一感があります。 思想論と事例研究の両方を併せもっています。


環境倫理と風土 −日本的自然観の現代化の視座」 亀山純生 著 大月書店 2005
各種の学説に対して、批判する姿勢が強いです。
環境倫理論を、風土論と結びつけ、倫理的な理想社会を描いています。


環境倫理学ノート −比較思想的考察」 小坂国継 著 ミネルヴァ書房 2003
様々な分野(西田幾多郎氏の哲学、等)に取り組んでいる点が参考になりました。


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