共振と共鳴は、現象としては基本的に同じですが、分野によって呼び方が違っています。
2つのものが同じように振動する現象です。
共振(共鳴)は、下記のように怖い現象としての側面がありますが、 小さなエネルギーで大きな事を引き起こす時の原理になり、 不可能と思っていることを可能にする方法としての側面もあります。
どのような物でも、「固有振動数」というものを持っています。 例えば、上図のような線のような物では、長さの2分の1や、3分の1というように整数で割った周期が一番曲がりやすいですが、 これが固有振動数になります。
物は、固有振動数とほぼ同じ振動を外部から与えられると、大きく振動するようになります。 これが共振です。
この振動に構造が耐えられないと、物が壊れるため、 破壊工学 では、破壊の原因のひとつになっています。
共振は原因が目に見えず、それまでは何ともなかったのに、固有振動数に近くなった途端に急に激しく始まる現象になります。 また、どんな物でもこれが起こる可能性を持っています。 怖い現象です。
共振は、物に触れずにエネルギーを伝える方法になります。非接触の充電の技術で使われています。
また、言葉を使わずに情報を伝える方法になります。 「以心伝心」の原理のひとつかもしれません。
「基礎から学べる機械力学」 伊藤勝悦 著 森北出版 2015
外力や変位が調和振動形の形で与えられる場合に、固有振動数に近辺では、物体の変位がきわめて大きくなることが、数式でグラフで示されています。
「非平衡系の統計力学 不可逆過程の熱力学からカオスまで」 北原和夫 著 岩波書店 2021
軌道不安定性という現象は、周期的運動が共鳴現象によって不安定になってしまう現象、とのことです。
「身体運動学 行動選択の規準と運動の経済性」 W.A.スパロー 編 大修館書店 2006
運動に慣れて来ると、同じ運動が楽にできるようになることを「運動の経済性」と呼んで、この本全体のテーマになっています。
歩く動作には固有振動数があり、固有振動数で歩行している時が一番エネルギー消費が小さいという研究が紹介されています。
「アトキンス物理化学入門」 Peter Atkins 著 東京化学同人 2014
・H-CL分子単独の波動関数では、実際の分子の性質を説明できなかった理論の問題と、イオン形の波動関数との重ね合わせを含めることで解決した話があります。
この重ね合わせをこの本では「共鳴」と呼んでいます。
・また、磁気共鳴法として、核磁気共鳴、電子常磁性共鳴、電子スピン共鳴を紹介しています。
「演習で学ぶ基礎制御工学 実践編」 森泰親 著 森北出版 2021
共振値を求める問題と、共振値が与えられてからゲイン余裕と位相余裕を求める問題があります。
「生命と環境の共鳴」 高橋隆雄 編著 九州大学出版会 2004
環境倫理の本です。
この本全体の考え方が、タイトルの「生命と環境の共鳴」にまとまっている印象でした。
「現象学という思考 <自明なもの>の知へ」 田口茂 著 筑摩書房 2014
確実と思うこと、自明(あたりまえ)と思うことについて、なぜ、そのように思うのかを研究しています。
類型に当てはまる時や、他人との共鳴がある時に、「確実」や「自明」と感じるということが、この本の主旨のようでした。
「波動干渉と波動共鳴」 安田隆 著 たま出版 1996
例えば、嫌いな食べ物を見た時には、体には嫌悪感が起きます。
食べ物に限らず、好き嫌いに限らず、物や言葉を見たり、それらをイメージすると、体に反応が起きる事があります。
著者はそのようなことを起こす脳の状態を「波動」と呼んでいます。
また、波動が体にある状態は、エネルギーを持っている状態とも考えています。
自分が特別な感情を抱く物を、波動として認識すると、その波動を弱めたり、別の物にエネルギーを使うようにするアプローチができて来ます。
タイトルにある「干渉」や「共鳴」という、物理学的な波動と似た扱いができるそうです。
この本では、そのような波動を扱う技法を紹介しています。
著者自身は、
心理療法
として、それらの技法を使っているそうです。
順路
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