ISMとDEMATELは、隣接行列を分析のスタートにする点は、一般的な ネットワークグラフ と同じです。
しかし、システムの階層を分析する方法として使えるので、 システム工学 や 意思決定論 なので、紹介される方法になっています。
隣接行列の分析方法なので、 A-A型の分析 ですし、 一対評価 のデータの分析法でもあります。
ISMとDEMATELで扱う隣接行列は、因果関係を表しています。 隣接行列で表す向きが、原因と結果の関係を表すものとして使います。 アンケート等を使って、この行列を作るためのデータを集めます。
一般的なネットワークグラフでは、因果関係以外も扱いますので、この点が、まず違っています。
一般的なネットワークグラフでは、隣接行列から直接、ネットワークグラフを作ります。 隣接行列とネットワークグラフは、見た目は違いますが、実質的に同じものです。
一方、ISMとDEMATELでは、隣接行列を可到達行列に処理してからネットワークグラフを作ります。
AがCの原因になり、BもCの原因になり、AがBの原因にもなるとします。
一般的なネットワークグラフでは、AがBとCにつながります(左図)。
一方、ISMやDEMATELでは、AからCにつながりません。
これができるので、「C、B、Aの順で階層がある」という風に、ISMやDEMATELでは分析します。
ISMは、0と1だけの行列を使います。 DEMATELは、例えば、0、1、2、3など、2値以外の行列でも分析できます。
Rに「ISM」というライブラリがあるのですが、よくわからないエラーが出るので、筆者は試せていないです。
ISMをするには、可到達行列の計算が必要ですが、可到達行列をRで求める方法は、 Rによる可到達行列 のページにあります。
「システム工学 エンジニアリングシステムの解析と計画」 赤木新介 著 共立出版 1992
ISMとDEMATELの具体的な手順が書かれています。
ほとんどの場合が、ISMが有効で、DEMATELは項目間の定量化が正しい必要があるそうです。
「都市計画数理」 谷村秀彦 他 著 朝倉書店 1986
この本は、
都市計画
のための本ですが、ISMも登場します。
「Q&A:入門意思決定論」 木下栄蔵 著 現代数学社 2004
ISM・DEMATELの初歩が、簡単な例題で学べます。
「システム工学 問題発見・解決の方法」 井上雅裕・陳新開・長谷川浩志 著 オーム社 2011
問題構造分析法のひとつとして、ISMが紹介されています。
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