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マーケティング

マーケティングは、単に物を売ることのためでなく、 環境経済学 や、 社会心理学 で言われているようなことを、企業が実践する時の舞台になっています。 マーケティングは、企業の本業と CSR を結び付けるポイントのひとつです。

品質は、マーケティングとの関係で、あるべき姿が決まって来ます。 そういう目で 品質学 を眺めると、一応、品質学では顧客に渡った時の品質を議論するものの、 マーケティングの理解は一般常識程度しか、していないように思います。 品質学に限らず、CSRや環境問題を企業が考えていくのなら、 社会全体でのマーケティングの研究や評価は、まだまだ足りないと言えるかもしれません。

マーケティングとは

「マーケティング」と聞くと、製品の「広告」や「売り込み」のような印象があるかもしれませんが、 それだけではありません。 マーケティングでは、 デザイン 、販売、価格設定、 流通 を、幅広く一体的に考えます。

尚、マーケティングを勉強しようとすると、一般市民を相手にした商売(BtoC)をしている、 大企業の話ばかりを学ぶことになります。 世の中の多くの企業では、もっと違うマーケティングの考え方が必要かもしれません。

顧客行動分析

マーケティングの分野では、どのようにすれば買ってくれるのか、というモデルがあります。 行動の科学 の多くは、行動のパターンが単体なことが多いですが、 顧客行動分析では、一連の段階があってから「購入」という行動につながると考えます。


参考文献

マーケティング理論

管理会計がうまくいかない本当の理由 顧客志向で売上を伸ばす新アプローチ」 金子智朗 著 日本経済新聞出版社 2011
管理会計 の問題を挙げつつ、経営全般について、いろいろとコメントしている本です。 このページの下記は、この本でマーケティングに関わる内容について。
・マーケティングとは、将来の売上のために、現在において行う仕組みを作ること。
・高度な技術で作られたものと、売れるものは違う。
優良顧客へのアプローチ −  セグメントよりも、個々の顧客をターゲットにした方が焦点がはっきりする。 自社のファンを増やすこと。市場をシェアするのではなく、顧客をシェアする時代。 特定の顧客にアプローチするという方法は、小規模事業者が小さな範囲でやっている頃は良かったが、 ITを使って大規模にされるようになったので、 顧客は様々な企業からアプローチされ、迷惑な状況になっている。
アドボカシー・マーケティング − たとえ自分の利益にならなくても、顧客の利益のために行動する。 ソリューションビジネスも、このひとつ。 業績評価で評価基準を作るとモチベーションになって、この行動を社員がするようになる。


最新マーケティング理論と戦略がよ〜くわかる本」 宮崎哲也 著 秀和システム 2006
環境分析( SWOT分析 やABC分析等)・価格戦略・流通戦略・プロモーション戦略 ・企業価値経営・消費者行動(消費者の認識と行動の関係の分析)の豊富な話題がコンパクトにまとまっています。 ABC分析とは、売上の パレート分析 です。


マーケティングのポイントがわかる本」 宮崎哲也 著 秀和システム 2007
上記の同著者の本と、だいたい似ています。 コトラー氏がマーケティング理論の最重要人物として紹介されています。
SWOT分析だと内部環境を基準にして外部環境を見てしまうということで、TOWS分析が提唱されています。


マーケティングと消費者行動」 大沢豊 編 有斐閣 1992
マーケティングの研究は、物の流れ・金の流れ・情報の流れの関係を研究するものだそうです。 自らの裁量で動かせる変数と、そうでない変数を分けることを第一歩としています。 平易な文章で体系的に書かれています。


CSRとマーケティング

コトラーのマーケティング3.0 :ソーシャル・メディア時代の新法則」 フィリップ・コトラー 他 著 恩藏直人 監訳 朝日新聞出版 2010
・1.0 :製品中心
・2.0 :消費者中心
・3.0 :人間中心
ということで、「マーケティング3.0」という段階を提唱しています。 「人間中心」というのは、商品を購入する人に消費者として関わるのではなく、 その人と共に企業が生きていく位の関わり合い方をすることを言います。 マーケティング3.0の目的は、「世界をよりよい場所にする」です。 収益性と CSR が両立するそうです。
・「企業が描くストーリーに消費者が参加する」
・「利益は後からついてくる。ミッションが先」
・「コーズ・マーケティング : 特定のコーズ(主張)を支援する」
・「貧困緩和のマーケティング(購買層としての貧困層の分析)」
グリーン製品(エコ製品)の普及の話もあるのですが、「本当にグリーンなのか?」と言った本質的なことには触れずに、 グリーン製品の促進を勧めています。
コトラー氏の主張は、「社会的責任のマーケティング 東洋経済新報社 2007」という本でも読みました。 コトラー氏のCSR経営は、社会的な問題への対応を企業が支援することを指しています。
「支援→ブランドの価値が上がる→収益が上がる」ということも、支援の効果として考えているようです。
支援も良いですが、本業そのもののCSRは視野にないようです。


消費者の行動分析

インタフェースデザインのお約束 優れたUXを実現するための101のルール」  Will Grant 著 オライリー・ジャパン 2019
Webページのデザインの時に気を付けるポイントを、ルールとしてまとめています。
第6章が「ナビゲーションとユーザージャーニー」で、ページの中でのユーザーの動きを想定したデザインのルールが紹介されています。


デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?」  垣内勇威 著 日本実業出版社 2020
ユーザーの行動の履歴や、実際にユーザーの隣に座って行う行動観察から、ユーザーの行動を理解し、 Webページのベストなデザインを提案しています。
Webの技術は日々新しいものが登場しますが、このデザインの定石は、15年くらいたっても変わるものではないそうです。


ビッグデータ分析 Excel新機能で簡単に! 」 田中正道・前野好太郎 著 日本経済新聞出版社 2014
顧客行動分析として挙げているのが、カスタマージャーニーの分析です。 カスタマージャーニーのモデルは、AISASモデルよりも新しいモデルです。 AISASは、A(Attention:注目)、I(Interest:興味・関心)、S(Serch:検索)、A(Action:行動・購入)、S(Share:共有)がソーシャルメディアと接点を持ちながら、顧客側で順番に起きることを過程します。 カスタマージャーニーのモデルでは、顧客はソーシャルメディアの中にいて、顧客とソーシャルメディアが無数の接点を持っていると考えます。 そのような複雑な関係の中での顧客の行動を分析します。 また、カスタマージャーニーとブランドのが成熟する過程の関係を分析します。 これらの分析を戦略に使おうとしています。
また、この本では、こうした分析に適したツールとして、Excelを挙げています。


The Customer Journey 「選ばれるブランド」になるマーケティングの新技法を大解説」 加藤希尊 著 宣伝会議 2016
カスタマージャーニーの具体的な内容について、様々な企業の事例を挙げながら解説しています。


デジタルマーケティングの教室」 押切孝雄 著 マイナビ出版 2021
この本は、AISAREモデルを元にして、構成されています。 AISAREモデルは、AISASモデルの最後のSが、R(Repeat:リピート)とE(Evangelist:エヴァンジェリスト)になっています。


マーケティング戦略」 和田充夫・恩藏直人・三浦俊彦 著 有斐閣 2022
1960年代:S-O-Rモデル。消費者にインプットがあった時にそれが刺激(stimulus)になって、生活体(organism)の中で動きがあり、アウトプットとして購買という反応(response)になる、というモデル
1980年代以降:何かを買って手に入れることが目的なのではなく、お金を消費することが自体が目的になっている場合が言及されるようになる。 また、「経験価値」として、購入するまでの過程ではなく、購入した後の消費者に対しても理解を深めようとする研究が始まる。


グロービスMBAマーケティング」 グロービス経営大学院 編著 ダイヤモンド社 2019
第11章が顧客経験価値とカスタマージャーニーになっていて、こうしたものが重視されて来た変化から解説されています。




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