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ARモデルは、AutoRegressibe(自己回帰)の略です。 時系列分析 の文献では、必ず、と言って良いほど紹介されます。
ARモデルは、 重み付き移動平均モデル の応用です。 係数を任意に設定できるようにします。
また、 自己相関モデル(ランダムウォークモデル) と 単回帰分析 と似ていますが、このような関係で、 重回帰分析 に対応するのがARモデルです。
式は、以下のようになります。
係数aの合計が1より大きいと、発散傾向になります。 また、1より小さいと、収束傾向になります。
ARモデルは、重回帰分析と似ていることもあり、理解しやすいです。 応用や、数学的な性質の研究が豊富です。
しかし、あくまで私見ですが、社会で起こっているようなことに対しては、残念ながら、非実用的です。
実際のデータにARモデルを適用すると、係数が得られます。
例えば、

のモデルを仮定して、係数が、0.5、0.3、0.2だったとします。
詳しくは、 ARモデルの係数の決まり方 のページにありますが、 この結果に対して、「どの変数も、ある程度影響している」といったように、重回帰分析で行うような考察をすることはできないです。
係数がどれも0から1の間に入っている場合は、「ばらつきが大きい」ということがわかるだけです。
0から1の間以外の値も出て来る場合は、周期性に起因していることがありますが、どのような周期なのかと、係数の値の表れ方が一致しないので、考察が進まないです。
また、0から1の間以外の値も出て来る場合は、例えば、「3次の多項式に近い変化がある」ということがわかりますが、係数の値からこの判断ができるのは、無視できるほどばらつきが小さい必要があります。 この判定方法は、とても感度が低いので、非実用的です。 全体の様子を考察したいなら、グラフや多項式近似の方が、はるかに感度が高いです。
時系列予測モデルの比較 のページの結論として、ARモデルは現実にもありそうなデータに対しては、予測の方法として適していません。
ARモデルによる予測は、"基本的に" 移動平均モデル や 自己相関モデル(ランダムウォークモデル) と同じ能力です。 つまり、未来のデータについては、持っているデータの中で最後のサンプルの、次のステップくらいしか予測することができません。
予測の方法としてのARモデルの限界は、 SARIMAXモデル にも当てはまります。
なお、同じく、 時系列近傍法 の一種になっている 三重指数平滑法 は、トレンドも周期性も扱えるので、もう少し先の未来についても予測ができます。
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