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ARモデル ほどではないのですが、MAモデルも 時系列分析 の本で紹介されることが多いモデルです。
MAモデルのMAは、「Moving Average(移動平均)」の略です。 そのため、 移動平均モデル と名前が同じになるのですが、こちらは「MAモデル」と呼んで区別することが一般的です。 このサイトでも、この呼び方で区別します。
下の例は、MAモデルの例です。
MA(20)というのは、20個まで時点を遡っていることを表します。
一見すると、 ARモデル と見た目が似ています。 明らかに違うのは、中心になる値の有無です。 ARモデルでは、中心になる値がないので、シミュレーションすると、全体的に増加傾向や、減少傾向になることも起きます。 MAモデルの場合は、この例の場合は、中心が10で、10からは離れ過ぎないようにして、増減しています。
MAモデルの前に、上の式を考えます。
この式は、「n+1番目のxは、一定値cにn+1番目の誤差が加わったもの」ということを表しています。
例えば、誤差が正規分布なら、「xは、平均値がcの正規分布」ということを表している式になります。
下の式がMAモデルの式です。
上の式との違いは、n+1番目のxの値の誤差に、n番目とn-1番目の誤差も含んでいる点です。
上の式では、n+1番目とn番目のxが近い値になりにくいのですが、下の式では、共通の値を含むので、近くなりやすくなっています。
移動平均モデル や ARモデル は、観測した値の移動平均について作られている理論です。 観測した値があって、その移動平均を計算して活用していきます。 移動平均は、計算して求める量です。
一方、MAモデルは、観測していない値の移動平均について作られている理論です。 この点が大きな違いになっています。
「観測していない値」というのは、誤差です。 式では「e」と書いている部分です。
MAモデルについて、ARモデルのように理解するのなら、係数bのある項が名前の通りの、移動平均(MA)になっています。
しかし、MAモデルを理解するには、eのある項をまとめてひとつのように考えた方が良いようです。
移動平均ではなく、「重み付けした合計値」と解釈します。
例えば、毎日入荷があって、一定期間保管してから、同数を出荷する場合、在庫量はMAモデルでbが1の場合に相当します。
そのため、これと似た現象は、MAモデルに近くなると考えられます。
ARモデルでは、係数とeの両方に、正と負の値があるので、それらによって増減が起きます。 MAモデルは、一定期間後に、「同数を出荷」という働きが、式からは見えない形で入っているところが違っています。
ARモデルの場合は、1行ずらしたデータと、2行ずらしたデータを変数として、重回帰分析をすることで、係数aが求まります。 そのため、Excelでも簡単にできます。
MAモデルの場合は、重回帰分析ではできませんが、Excelの場合は、ソルバーを使った最適化計算でできます。 具体的には、eについての、二乗平均平方根誤差(RMSE)が最小値になるように、係数b、cを最適化する計算になります。 詳細は、 ExcelでMAモデル のページにあります。
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