上の図のデータを見ると、「薬なしでも改善あり」や、「薬ありでも改善なし」のデータが、「薬あり・改善あり」よりも多いです。
そのため、「薬ありのデータだけで、効果があると説明していて間違った判断」ということに、気付けます。
仮説の検証 では、「薬あり・改善あり」と「薬なし・改善なし」に注目しがちですが、 「薬あり・改善なし」や「薬なり・改善あり」について、有無の確認が必要です。 これらを反事実と言います。
行動分析学 や 行動経済学 で言われていることですが、 人間は、「薬あり・効果あり」のデータだけがそろった途端に、「効果がある」と思ってしまいがちのようです。
また、「効果なし」のデータの割合が高かったとしても、「効果はある」と思ってしまいがちのようです。
日常的な 認知と学習 では、最初に「効果がある」というデータが出て来た場合、まず、「効果がある」という結論を出してから、その後に得たデータで修正するのが普通のようです。
一方、 仮説の検証 では、日常的な考え方のクセに気を付け、事実と反事実のデータをそろえてから判断していきます。
反事実は、前提を上手に置くことで、それに近いデータを取得する方法があります。
データがないところから分析をスタートする場合、 実験計画法 や サンプリング をすることで、反事実のデータに近いデータを得ることができます。
社会現象にように、データの取得をコントロールできない場合や、 すでにあるデータの分析からスタートする場合は、反事実の関係になっている部分を見つけて行く方法があります。
計量経済学にある、回帰不連続デザインや、差の差分析などは、反事実の関係と見なせそうなグループで層別する方法です。
事実と反事実の分析は、全体的なものと、局所的なものがあります。
順路 次は 因果効果の分析