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変化(相転移と化学反応)

物質の変化には、 物理学的な変化の相転移と、 化学的な変化の化学反応があります。
化学反応に関連しているものとして、 ここでは触媒と接着剤を取り上げています。

相転移や化学反応の シミュレーション には2つのアプローチがあります。 ひとつは、反応速度式のようなマクロな視点の理論によるものです。 そして、もうひとつはミクロな視点によるものです。 こちらは、 分子動力学法 があります。

相転移

代表的な相転移は、「固体・液体・気体」の変化です。 ある温度を境にして、物質の状態(相)が劇的に変わる現象です。
転移する境目で物質に起きていることを、「臨界現象」と言います。

転移現象は他にもあり、「ガラス転移」・「超伝導」等です。

化学反応

触媒

触媒が必要なのは、 2つの物質を混ぜた時に、すぐに化学反応を起こして、ひとつの物質になる場合ではなく、 単純に混ぜただけでは何も反応が起きない場合です。
触媒を添加することで、 普通は反応を起こさない物質でも化学反応が起きることがあります。 そのため、化学工業の世界では、適切な触媒の発見が、 莫大な収入につながる可能性を持っています。

触媒自身は、化学反応後の物質には含まれません。 あくまで反応を助けるだけです。
「触媒はエネルギー的な障壁を下げる効果があるから、反応を促進できる。」、と言われています。

接着剤

接着剤がものをくっつける方法は、2通りあるそうです。 つまり、接着剤は大きく分けて2種類あります。

化学反応の式

化学反応が起きている流体のモデル

化学反応が起きている流体の流れを シミュレーション するには、いわゆる 流体力学 に熱の変化のモデルと、化学反応のモデルを追加する必要があります。

化学工学

化学工学では、蒸留、ろ過、晶析、反応といった化学的な作業を、 効率的に、また、大規模に行う方法が研究されています。

フラスコや試験管のような規模の話ではないので、 化学工学には、安定的な操業のために、 制御の理論 もセットになっています。 また、流れ や伝熱の話もあります。



参考文献

数学でわかる身近な移動現象のはなし」 相良紘 著 日刊工業新聞社 2011
身近な例から移動現象の数理モデリングと作ったモデル式の解析的な解き方を解説しています。
・収支、入力と出力を考える。
・変化の仕方を式にする。
・移動現象は微分方程式になる。
・微分方程式をラプラス変換してから逆変換して特性方程式を求めるのが、ラプラス変換法


化学流体力学 」平野敏右・石塚悟 著  丸善 1996
環境問題やエネルギー問題への化学的アプローチに役立つことを願って書かれた本です。 火炎・発火のしくみ・触媒・反応暴走が出て来ます。 一般的な化学は、準定常状態を仮定しているので、 このようなテーマはあまり扱われません。 158ページまでが、試験管やビーカー程度の反応場の話です。 ここまでは、数式がたくさん出て来ます。 最後の10ページが、酸性雨やヒートアイランドのような、地球規模での反応場の話になっています。 この本は、「物質の流れ」と「 物質の変化 」の両方に関わる内容です。


反応系の流体力学」植田利久 著 コロナ社 2002
化学反応が起こっている流体の扱い方について、順序立てて解説しています。
この分野は、理論的に連立方程式を作っても、計算量が非常に多いために、 シミュレーション は容易ではないです。 そのため、流れに対して反応の速度がゼロとみなせる場合や、無限大とみなせる場合等、 計算が可能な形に簡略化する考え方も解説しています。
1章:単一成分の物質についての、 流体力学熱力学 の両方を合わせたモデル
2章:多成分系のモデル化
3章:化学反応のモデル化
4章:化学反応が起こっている流体のモデル(特に火炎について)
5章:乱流のモデル化
6章: カオス の理論で表せる化学反応のモデル
7章:まとめとして、装置設計の考え方。ダムケラー数を使うと、流れの速さと化学反応の速さの影響度合いが判断できる。


環境地質学入門」 鞠子正 著 古今書院 2002
地球を1つのシステムと見て、 サブシステムを地球固体システム、大気システム、水システム、エネルギーシステムとしています。 そして、それらを踏まえて地質学から気候や環境の変化を見ていきます。


化学工学

Pythonで気軽に化学・化学工学」 金子弘昌 著 丸善出版 2021
化学や化学工学を知っていて、 機械学習 を知らない人向けの本です。 タイトルから、「Pythonを教材にして、化学・化学工学を学べる本?」、「化学・化学工学ならではの話を、Pythonで扱う本?」といったことを思い浮かべたのですが、 そういう本ではなかったです。
この本は、 回帰分析サポートベクターマシン主成分分析t-SNEk近傍法決定木 といった手法の解説書になっています。 どんな手法なのかと、数式の説明があります。
化学構造をデータ分析で扱う方法について8ページあるのと、 実験計画法 の話が7ページある他は、一般的な 機械学習 の解説書と同じような内容になっています。
Pythonについては、サンプルコードをダウンロードして使うことが想定されていて、 Pythonのコードを書いて、それを説明するスタイルにはなっていないです。
化学工学のデータをデータ分析しようとすると、流れや反応による、時間的、空間的なデータになっている点を考慮する必要があったりするのですが、 そういった、化学・化学工学ならではの話は、化学構造の話くらいでした。


環境問題を解く化学工学」 川瀬義矩 著 化学工業社 2001
環境問題への化学工学からのアプローチが書かれています。 「化学工学は、環境問題の原因だけれども、環境問題の解決策にもなる。」、というスタンスの本です。
最後の章が、 化学物質リスク の話でした。


基礎化学工学」 化学工学会 編 培風館 1999
化学工学全般の教科書です。
エクセルギー が、エネルギーを有効利用していくためのキーワードのような感じで登場します。 エクセルギー関係の記事は7ページくらいあります。


入門化学工学」 小島和夫 他 著 培風館 1996
最後の章が、環境問題への対策の話になっています。


反応工学 反応装置から地球まで」 小宮山宏 著 培風館 1996
反応装置の理解も、地球環境の理解も、一冊の本で説明しています。




順路 次は エネルギー(熱力学)

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