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Q分析

Q分析(Q-Analysis)は、 統計学 ではなく、幾何学(トポロジー)を基礎とする分析方法とのことです。

対象としているデータは、 行の項目と列の項目のそれぞれの交点について、関係があれば1、なければ0になっている表が元データになります。 次元数の分析や形の分析は、このデータだからこそ可能になっています。 値が0と1しかない A-B型 のデータです。

ちなみに、Q分析で使うような1と0の表のデータを、統計学的に分析する方法としては、 ISM があります。

Q分析は、 ネットワーク分析 に使うことができます。 特定の分野に限定される方法ではないてすが、 関係の構造を調べる方法として、 計量地理学 で使われていることが多いようです。

次元数の分析

行の項目は横方向で、列の項目は縱方向で、1の数を数えます。 これが、それぞれの項目の次元になります。 図のデータで言えば、次元は、
(A1、A2、A3、A4)=(2、2、1、2)
(B1、B2、B3)=(2、3、2)
になります。
形の分析

次元が近いほど、近いと考えます。 Q分析は、この次元の数で、行や列の項目を分類します。

このページの例では、次元数に大きな差が出ませんが、 項目数が増えると、差の大きさが何かを表していることがあります。 いろいろなものと関連を持っているものは、次元数が大きくなりますので、 都市の規模の分析等に使われています。

形の分析

形の分析

行の各項目について、その項目と1の関係になっている列の項目を、多面体や多角形の頂点と考えます。 頂点が同じ項目は、頂点を重ねることにすると、図形がくっついた図形ができます。

行と列を入れ替えて同様の手順をすると、頂点の項目が変わった図形ができます。

この図形で、データの表を視覚的に分析する事ができます。 面白いことに、この図形は、元のデータの情報を失っていません。 統計学では、元の情報が減って行きますので、だいぶ違う解析です。

ただ、今回の例は、最大でも3次元なので簡単に図形が描けるのですが、 次元が増えると、図形を描く方法が難問になります。



参考文献

地理空間分析」 杉浦芳夫 編 朝倉書店 2003
ひとつの章を割いて、Q分析を解説しています。 次元の解析方法として、隣接性・連結性・離心率と言った尺度を紹介しています。
空間データの解析方法が主体になっていて、 Q分析・ カオスニューラルネットワーク 、等が出て来ます。


地域分析 データ入手・解析・評価」 村山祐司・駒木伸比古 著 古今書院 2013
数ページですが、「地域構造の明確化に役立つQ分析」という部分があります。 次元の小さい項目が、大きい項目に包含されるベン図を紹介しています。


都市システムの時空間収束 MDSとQ分析の方法論的比較 行動計量学 33(2) 特集 地理学における多次元尺度構成法の応用」 水野勲 著 日本行動計量学会 2006
「時空間収束」というのは、交通や通信の発達で、都市間の時間的な距離が減少した現象のことです。
この論文では、MDS( 多次元尺度構成法 )とQ分析を比較しています。 MDSは一般に多次元データを二次元の平面上に縮約しますが、その際に失われるものがあります。 MDSは量的変化を扱うのに向いていて、Q分析は質的変化を扱うのに向いているそうです。
また、MDSは短期の変化の分析に向いていて、Q分析は長期の変化の分析に向いているそうです。


特許情報のテキストマイニング 技術経営のパラダイム転換」 豊田裕貴・菰田文男 編著 ミネルヴァ書房 2011
テキストマイニング の方法のひとつとして、Q分析が出て来ます。 第3章が「テキストマイニング結果の時系列変化とQ分析」になっています。
特許に出て来る単語の関連性を、Q分析で調べています。 いろいろな単語と関連性の高い単語は、次元が高くなります。 この本では、この分析を年毎にやってみて、次元の変化を見ています。
この解析のもうひとつ面白いところは、 いろいろな単語と関連している単語と、よく出て来る単語が必ずしも一致しない点です。



順路 次は 多対多対多の分析(A-B-C型の分析)

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