現状把握で、起きていることが明確になったら、要因の解析になります。
要因解析は、統計学関係では、「
因果推論
」と呼ばれます。
要因の解析は、大きく2つに分かれていて、「仮説の設定」と「仮説の検証」があります。
要因の解析の「要因」というのは、原因の可能性のあるものです。 「原因はこうではないか?」と思われるものになります。
仮説の設定は、 定性的な仮説の探索 と、 定量的な仮説の探索 に大きく分かれます。
「原因はこうではないか?」と最初から目星がついていたとしても、可能性のあるものを、一度は洗い出すのがポイントです。 そうしておくと、目星がついていたものがハズレだった時に、次の進め方が決められます。 この洗い出しの作業が「仮説の設定」になります。
「仮説の検証」では、仮説が本当かどうかの確認になります。 全部を調べてから、次の対策の立案に進んでも良いですが、筆者の経験では、 最初から目星がついていたものや、すぐに調べられるものから順番に調べて、仮説が当たっていたら、できる対策は始めてしまうことが多いです。
問題解決が目的の時は、様々な要因の中から、問題を発生させている原因を突き詰めていきます。 要因同士にも因果関係があったりもします。 最終的には、根本的な原因はひとつに絞り込める場合が多いです。
問題にはならない因果関係というのもあります。
課題達成が目的の時は、根本的な何かを見つけるというよりも、いろいろな因果関係を見つけようとする分析になります。
AFDは、Anticipatory Failure Determinationの略です。 「事前の故障の特定」といった意味になります。
AFDの特徴は、「故障」が起きた理由を、 「なぜ、起きたのか?」、と分析しないことです。 AFDでは、まず、「どうやったら、その故障を起こせるのか?」、と考え始めます。 AFDには、この後のステップも用意されていますが、最初のステップが最大の特徴です。 このように考えると、やることが原因の調査ではなく、発明(仮説の作成)になりますので、 TRIZ や、学術的な知識が役に立つようになります。
原因に対して、「なぜ?なぜ?」と進めるアプローチは、ボトムアップ(下位から上位に進む)と言えます。 「なぜ?なぜ?」は、理由が思い付かなくて、行き詰まることがあります。 一方、AFDは、トップダウン(上位から下位に進む)のアプローチです。
AFDを、すでに起こった故障の分析に使う場合は、仮説のリストから、実際に起こった時の条件に当てはまるものを探します。 これから起こりそうな故障の予測に使う場合は、リスクの評価や発生の予防処置を進めます。
「故障・不具合対策の決め手 I-TRIZによる原因分析・リスク管理」 スヴェトラーナ・ヴィスネポルスキー 著 黒澤愼輔 訳 日刊工業新聞社 2013
AFDの提唱者の本です。
AFDをI-TRIZと呼んでいます。
AFDは、TRIZを専門とするコンサルタントが、実際の故障の問題に取り組む中で、編み出したものです。
AFDを大きく3つのステップにしています。(このステップで問題解決を進めるのは、難しくないそうです。)
ステップ1 問題の逆転 : 問題を起こす方法を考える。
故障問題の解決は、ネガティブな気分になりがちな取り組みですが、逆転によって、ポジティブな気分で進められるそうです。
発想が先細りしにくくなります。
ステップ2 不具合の仮説を作る : このステップでTRIZを使ったり、インターネットで情報収集したりします。
ステップ3 資源を特定する : 仮説のリストから、発生の条件がそろっているものを探すことによって、仮説を絞り込む。
(真の原因である可能性がもっとも高い。)
順路 次は 思い込みで対策してしまう原因