トップページ | ひとつ上のページ | 目次ページ | このサイトについて | ENGLISH

工業製品以外の品質

品質学 は、もともと電気製品、食品、材料、といった工業製品の品質を良くするために研究されて来ています。 このサイトでも、基本的に工業製品を念頭に置いて、書かれています。

一方、現在は、工業製品以外でも「〇〇品質」というものが、いろいろあります。

工業製品以外の品質については、工業製品の品質学がそのまま当てはまらないのですが、 重要な部分は、工業製品の品質学が応用されています。
品質学の応用

ソフトウェア品質

工業製品の品質は、設計段階と製造段階の2段階で作りこまれます。 この2段階の中では、品質を良くするためにやることが異なります。

ソフトウェアの場合、コピーすればまったく同じものが作れるため、製造段階の品質学は必要ありません。

一方、設計段階の品質学がソフトウェア品質には応用されています。 デザインレビュー(DR)のような設計品質を確保するための業務の流れの方法や、 システムズエンジニアリング は、工業製品とソフトウェアで共通です。

データ品質

データ品質というのは、 データマネジメント の分野で重要な観点です。

工業製品の品質学において、特に製造段階では、データを使って製造条件を調整したり、 検査のデータが品質保証に使われるため、データ品質はもともと重要なものでした。 データが生まれるところになる測定は、きびしく管理します。

データマネジメント の分野では、システムを専門とする人が中心になっているため、データがすでにあるところから話が始まることが一般的ですが、 工業製品の品質学におけるデータ品質の考え方は、もっと上流の話になり、参考になります。

サービス品質

サービス品質は、いわゆるサービス業が提供するサービスだけでなく、工業製品を扱う会社が、製品を販売した後のアフターサービスにもあります。

サービスでは、工業製品のような「物」はないので、工業製品そのものに対しての品質学は必要ありません。

一方、工業製品を作る時の、作る側のための品質学が、サービス品質で役に立ちます。 工業製品を作る人は、 標準 (マニュアル)を使って、誰がやっても同じようにできるようにします。 これは、作業の効率化を検討する時のベースになる資料にもなります。



参考文献

ソフトウェア品質

よくわかる最新ソフトウェア開発の基本」 谷口功 著 秀和システム 2011
ソフトウェアの品質特性は、6種類。
機能性:合目的性、正確性、相互運用性、標準適合性、セキュリティ
信頼性:成熟性、障害許容性、回復性
使用性:理解性、習得性、運用性
効率性:時間効率性、資源効率性
保守性:解析性、変更性、試験性、安定性
移植性:環境適応性、規格適合性、置換性、設置性
テストは、モジュール単体からシステム全体に広げて行く。


この1冊でよくわかるソフトウェアテストの教科書 品質を決定づけるテスト工程の基本と実践」  石原一宏・田中英和 ソフトバンククリエイティブ 2012
ソフトウェアの開発や品質について、簡単に説明した後に、様々な品質テストの方法を紹介しています。 テストの結果のまとめ方もあります。


サービス品質

サービス品質革命 「顧客とともに、CSを超えて」NECフィールディングの挑戦!」 高橋安弘 著 ダイヤモンド社 2004
副題にある「CS」は、「Customer Satisfaction:顧客満足」の略です。
NECフィールディング社が、IT部品を流通させる会社として事業を展開していった過程の本です。
サービス品質を考える時のサービスは、「サービスのの機能的側面(本質的要素)」と「サービスの提供システム(外延的要素)」に分けて認識すると良い。


サービス品質の保証 業務の見える化とビジュアルマニュアル」  金子憲治 著 日本規格協会 2016
工業製品のために発展した品質保証を、サービス品質に応用してきた研究の成果がまとまっています。
サービス品質の特徴として、やりとりに人が関わっていることが大きい点と、それにも関係しますが、個人に依存する点が大きい点を挙げています。
方法論としては、主に以下の3つが紹介されています。br> ・QC工程表:プロセスを決めること
QFD(品質機能展開):おさえるべきポイントを網羅的に検討
・マニュアル:この本では、絵や写真を使ったビジュアルなマニュアル(VM:Visual Manual)が効果的として紹介しています。




順路 次は リスク学

データサイエンス教室