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シングルケースデザイン

シングルケースデザインは、 サンプルごとの因果効果の分析 の一種です。

少ないサンプルから、因果関係を明らかにしようとします。

よくある統計的な検証

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上のグラフは、Xさんについて、対策の前後の体重を表しているとします。 2.9kg減っています。

このグラフから、「対策には効果がある」という結論が出された場合は、不十分な点があります。

これらの疑問に対して、統計的なアプローチとしてよくあるのは、下のグラフです。 Xさんだけでなく、Yさん、Zさんも示しています。 3人とも、体重が減ったことは共通しています。
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3人にすることで、1番目の「Xさんには効果があったとしても、他の人では効果が出ないのではないか?」について、疑問に答えています。 もっと多い方が良いですが、少なくとも、1人だけの結果よりは、結論の確からしさが上がっています。

また、2番目の「本当に対策の効果なのか?対策の前後で、対策以外で変わったことはないのか?」についてですが、「対策以外で変わったこと」が3人に共通していることを考えるよりは、3人に共通している対策が原因と考える方が自然です。 そのため、2番目の疑問にも答えています。

3番目の「2.9kgは、ばらつきの範囲ではないか?効果がなかったとしても、2.9kgくらいの差になることは、あるのでは?」についてですが、 対応のある検定(T検定、片側検定) をすると、P値が0.018でそれなりに小さな値なので、3番目の疑問にも答えています。

シングルケースデザインによる検証

下のグラフは、11月間にわたって、Xさんについての毎月の測定結果を示しています。 2月と3月の測定の間に対策をしています。
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対策の前後のそれぞれの期間については、データの範囲は1kgもありません。 そのため、2.9kgというのは、明確に「違いがある」と言えます。 このようにデータを取ると、3番目の「2.9kgは、ばらつきの範囲ではないか?効果がなかったとしても、2.9kgくらいの差になることは、あるのでは?」について、対策になっています。

このデータの取り方が、シングルケースデザインの特徴です。

シングルケースデザインならではの検証

シングルケースデザインとしては、下のグラフのような場合も検証できます。
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この例では、対策前の期間の中で、徐々に売上が増加しています。 3月以降の売上が高いですが、「対策をしたから売上が上がった」、「対策をしなくても売上は上がった」の2つの仮説ができます。

下のグラフの中には、「対策前の増加の仕方が、そのまま進んだらどうなるのか」という予測を、赤い点線で加えています。 すると、3月以降の売上は、対策前の増加の仕方では、考えられないような上がり方をしていることがわかります。 このことから、「対策には効果があった」と言うことができます。
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結論の一般化

シングルケースデザインでも、ひとつの研究にはなります。 しかし、シングルである限りでは、「Xさんには効果があったとしても、他の人では効果が出ないのではないか?」という疑問には答えられないです。

「他の人でも効果がある」というには、やはり複数の人の結果も必要です。

Xさんと同様に、Yさん、Zさんでもデータを取ったら、下のグラフになったとします。 この例では、データの数と、対策をしたタイミングが同じですが、同じでなければ、グラフを分けると良いです。
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回帰不連続デザインと、合成コントロール法

統計的因果推論 の中でも、経済学関係の中に、シングルケースデザインと類似のものがあります。

連続的なデータを集め、不連続になっていることを、因果関係があることの根拠とする考え方は、「回帰不連続デザイン」と呼ばれています。

対策の前後で、変化の仕方に違いがあること、また、それを複数のサンプルで確認する方法は、「合成コントロール法」と呼ばれています。



自己相関があっても、因果関係があるとは限らない

参考文献

比較的古い本では、シングルケースデザインのデータ分析は、折れ線グラフによるものが中心です。 2000年以降の本では、統計的な検定方法が含まれています。

シングルケースデザインの専門書

作業療法士のための 超実践! シングルケースデザイン 導入から統計手法まで 第2版」 丁子雄希 著 金芳堂 2025
個人についての経過観察を元にするケース研究が、仮説を提示するまでに留まることに対して、シングルケースデザインは、仮説の検証の手段になることを説明しています。
様々なデータのタイプに対して、様々な検定を紹介することに、多くのページを使っています。 効果量 もあります。


臨床家のための シングルケースデザイン 実践ガイド」 丁子雄希・山田剛史 編著 朝倉書店 2025
最初の1/3が概論、残りが、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、スポーツ、看護、臨床心理、教育の各分野での事例として構成されています。


シングルケースデザインの章がある本

応用行動分析学 ヒューマンサービスを改善する行動科学」 島宗理 著 新曜社 2019
応用行動分析学 の本です。研究方法として、シングルケースデザインの説明をしています。
・シングルケースデザインは、1サンプルでできる。 一般化は、実験の再現や、他の実験とのメタアナリシスを裏付けにする。
・折れ線グラフによる目視分析が基本。グラフの見た目の定量化で、効果量が役に立つ。


Rで学ぶ マルチレベルモデル 入門編」 尾崎幸謙・川端一光・山田剛史 編著 朝倉書店 2018
シングルケース研究のメタ分析の方法として、マルチレベルモデルを紹介しています。


ヒット商品を生む観察工学 これからのSE,開発・企画者へ」 山岡俊樹 編著 共立出版 2008
約3ページで、シングルケースデザインの事例を紹介しています。


シングルケースデザインの専門書(比較的古い)

一事例の実験デザイン ケーススタディの基本と応用」 D.H.バーロー, M.ハーセン 著 二瓶社 1993
具体的な実験事例を数多く紹介しています。


シングル・ケース研究法 新しい実験計画法とその応用」 岩本隆茂・川俣甲子夫 著 勁草書房 1990
行動分析の実験方法として、シングルケースデザインを説明しています。 様々なタイプの実験計画を紹介しています。


回帰不連続デザインと、合成コントロール法

Excelによる統計的因果推論」 杉原哲朗 著 理工図書 2025
基本的な方法から順序立てて、回帰不連続デザインと合成コントロール法の説明につなげています。



順路 次は 局所的な因果効果の分析


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