積分データ は、作り方がいくつかあります。
教科書等で積分を学ぶと、 積分のイメージとして、「計算したい領域を、細長い短冊の集まりとみなし、短冊の面積をひとつずつ計算して、 それらの面積を足し合わせる。」と教わると思います。 数値積分では、イメージではなく、実際に短冊の面積を計算します。
数値積分の場合は、短冊の細さで計算の細かさが変わります。
「モンテカルロ」という、カジノで有名な町があるそうで、 確率論を使って、全体を計算する方法を「モンテカルロ法」と呼ぶのは、そこから来ているそうです。
モンテカルロ法は、乱数を使った数値計算の方法です。 乱数を使って領域をサンプリングして、サンプリングの結果に確率論を使って、全体を推定します。
短冊の面積を使う数値積分を上で書きましたが、 モンテカルロ法による数値積分もあります。
例えば、10(cm)×10(cm)の正方形の紙に図形を描きます。
紙の上に、ランダムにババっと点を打ちます。(「ランダムに」というのは、乱数を使うのでも良いです。)
紙の上に100点できて、そのうち77点が図形の中に入っているとします。
そうすると、その図形の面積は、
10(cm)×10(cm)×77(点)/100(点) = 77(cm2)
と計算できます。
点の数が多いほど、計算の精度が上がります。
モンテカルロ法を使うと、複雑な図形の面積でも簡単に求められます。
「数値計算」 川上一郎 著 岩波書店 1989
入門書です。
筆者が物理学の学生だった時に、物理学者の書いたこの本を選びました。
入門書は他にもたくさんあります。
モンテカルロ法は、 統計力学 (物理学のひとつ)でもともと考えられたものだそうです。 物理出身の筆者は、最初に統計力学の勉強の中でモンテカルロ法を知りました。 現在、モンテカルロ法はいろいろな分野で使われていて、 データサイエンス 、 ベイズ統計 、 原子・分子のシミュレーション 、 意思決定論 の分野の本でも登場しています。 以下は、一番最近に見つけた本です。
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸 著 日本実業出版社 2009
ベイズ統計
の本です。
MCMC法の章があるのですが、MCMC法というのはマルコフチェーン・モンテカルロ法のことです。
簡単なモンテカルロ法では、乱数を次々に発生させて、探索していくのですが、
ランダムなだけだと効率が悪いので、ひとつ前のステップの情報も使って、次のステップを決めるのがMCMC法です。
この本では、MCMC法として、ギブス法とメトロポリス法が出て来ます。
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