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交互作用の種類

「お汁粉に塩」、「スイカに塩」といった組合せは、塩を足しているにも関わらず、「甘味が増す」と言われています。 このように、ひとつのものでは起きないことが組合せでは起きることを、 データサイエンス では「交互作用」と呼びます。 相乗効果や相殺効果は、交互作用の一種です。

交互作用の各分野における位置付け

交互作用がある現象は、原因と結果の関係が複雑になります。 因果推論 の難易度が高いので、改善や管理が難しいです。 そのため、例えば、 品質工学 では、 混合系の直交表 を使ったりして、交互作用が強い現象は扱わず、個別の変数でわかる効果を探索しようとします。

一方、大昔から、交互作用の効果を研究して来た分野としては、 東洋医学 があります。 気の遠くなるくらい長い年月と、多くの人が関わることで、医学の役に立つ交互作用の知識を蓄積して来ています。 相乗効果や相殺効果がどのように起きているかを分析しますし、漢方薬のように、複雑な組合せで起こる相乗効果を活用しているものもあります。

交互作用ではない相乗効果

交互作用の話の前に、交互作用ではない相乗効果の話です。

例えば、「Aさんは1日10個作れます。Bさんは1日10個作れます。1人だけで作ると1日10個しか作れませんが、2人で作ると1日20個作れるようになります。」 というように、足し算で表せる効果は、日常的な感覚では相乗効果の一種かもしれませんが、交互作用ではありません。

この例で交互作用があるとしたら、「2人で作ると1日40個作れるようになる」、「2人で作っても、1日10個しか作れない」、「2人で作ると、1日5個しか作れなくなる」といった場合です。20個よりも多いなら、相乗効果の交互作用があり、20個よりも少ないなら、相殺効果の交互作用があると考えられます。

論理計算による分類

一口に、交互作用といっても、種類があります。 最初の分類としては、論理計算が良いようです。

下図の0と1は、例えば、「0が対策なし、1が対策あり」と読み替えて使います。

AND条件 論理積

Interaction Interaction
AND条件というのは、2つがそろって初めて1になる性質です。

「相乗」と言われる効果です。 対策が1つでは、何も起きないけれども、2つ以上がそろうと、初めて効果が起きる性質が当てはまります。

この例が、漢方薬です。 個別の生薬をいくら調べても、効果はわからないのに、複数の生薬の組合せで、薬としての効果が出ます。

OR条件 論理和

Interaction Interaction
OR条件というのは、2つのうちの片方でもあれば、1になる性質です。

入門的な重回帰分析の式で表せる現象と似ているのですが、違いは、2つが両方とも1の場合でも、「1」なことです。 入門的な重回帰分析の式だと、1つだけだと「1」で、2つそろうと「2」になる現象が扱えるので、OR条件と異なります。

XOR条件 排他的論理和

Interaction Interaction
XOR条件というのは、2つのうちの片方でもあれば、1になる性質はORと同じなのですが、2つそろうと「0」になってしまう性質です。

「相殺」という現象が当てはまります。 実験計画法 をすると、「直交表のこの列には、交互作用が現れるので、使い方は注意」という話がありますが、 その話の時の交互作用は、XOR条件のものです。





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