各産業間のお金の流れを示したのが、産業連関表です。 産業連関表は、国や各機関が作成しています。
この産業連関表を使って、国内の経済の状況を調べるのが、産業連関分析(Input-output model)です。
この産業連関表を使うと、ひとつの対策が、各産業にどのくらい影響するのかや、その効果を分析することができます。
産業連関表の基本的な見方の説明のために、簡略化して作ったのが上の表です。
産業Aについて、縦方向に見ると、「20、25、5」という順に数字が並んでいますが、これが、産業Aが生産するためのコストになります。 一番下の「50」というのが合計です。
産業Aの生産のためには、産業A自体から20、産業Bから25の買い物をして、付加価値として5のコストが必要であることを表しています。 付加価値というのは、人件費などです。
産業Aについて、横方向に見ると、「20、20、10」という順に数字が並んでいますが、これが、産業Aからの販売額になります。 一番右の「50」というのが合計です。 縦方向と横方向の合計値は、同じになるように作られた表になっています。
産業Aは、産業A自体に中間材料として20、産業Bに20で売っています。 最終需要が一般消費者になります。
産業連関表を見ているだけでも、経済の流れがわかります。 しかし、産業連関表は、産業間の複雑な入出力の関係を表しているので、「ここの数字が変わったら、他はどうなるのか?」ということは、表を見ていてもわかりません。
このような波及効果の分析は、以下のような式で考えていきます。
最後の式が、最終需要と生産額の関係式になっています。 これを使うと、例えば、「最終需要F1が10増えたら、生産額X1とX2は、どうなるのか?」というシミュレーションができるようになります。
環境分野の産業連関分析の参考文献は、 環境経済学の本 のページにあります。
「産業連関分析入門」 宮沢健一 編 日本経済新聞社 2002
(I - A)^(-1) = I + A + A^2 + A^3 +・・・
となっているので、レオンチェフ逆行列は、生産波及の究極的な状態を示す乗数。
「地域データ分析入門」 林宜嗣 編著 日本評論社 2021
経済波及効果の分析として、産業連関分析を紹介しています。
「経済効果入門 地域活性化・企画立案・政策評価のツール」 小長谷一之 編著 日本評論社 2012
産業連関分析の細々としたことも書かれています。
産業連関表の作り方についての説明もあります。
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