フィードバック の制御をするには、出力値を測定することが必要です。 出力値が直接測定できない場合に、その値を推定することを、「状態推定」と言います。
推定値を得たいデータの時刻が t で、観測値が得られている時刻が s の時、
t > s ならば、予測問題、
t = s ならば、フィルタリング(ろ波)問題、
t < s ならば、平滑問題、
と言います。
システムの中で肝心な変数は観測できないけれども、その変数に関係する別の変数を観測できる時のモデルが、 状態空間モデルです。 状態空間モデルは、
x(n) = F(n) * x(n-1) + G(n) * v(n)
y(n) = H(n) * x(n) + w(n)
という2段階の式になっています。 システムを表しているのが1段目の式で、システムの変数と観測変数の関係を表しているのが2段目の式です。 x が肝心な変数で、y が x に関係していて観測できる変数です。 v や w は、外乱や測定誤差を表しています。 F、G、H、は、右辺と左辺の変数を関係付けるための行列です。
カルマンフィルタ(Kalman Filter)は、 状態空間モデルを、1ステップずつ順々に計算して行きます。
測定データの最新データまで計算すると、その段階までの計算結果を使って、 未測定のデータを推定して行くことができます。
カルマンフィルタは、制御のための推定の理論としてでなく、 ARモデル を解くための効率の良いアルゴリズムとしても使われているようです。
「見えないものをさぐる―それがベイズ 〜ツールによる実践ベイズ統計」 藤田一弥 著 オーム社 2015
ベイズ統計
の応用として、カルマンフィルタを説明しています。
状態方程式と観測方程式を組み合わせる事についての説明が、丁寧です。
「時系列解析入門」 北川源四郎 著 岩波書店 2005
カルマンフィルタについて、わかりやすく詳しい解説をしています。
「システム制御の基礎と応用 −メカトロニクス系制御のために」 岡田昌史 著 数理工学社 2007
「評価関数 ⇒ 最適レギュレータ ⇒ オブザーバ ⇒ カルマンフィルタ」の流れで、
カルマンフィルタを解説しています。
「確率システム入門」 大住晃 著 朝倉書店 2002
動的システムの推定について、非線形システムも含めた一般論から入ります。
「時系列解析の方法」 尾崎統・北川源四郎 編 朝倉書店 1998
時系列解析の方法として、カルマンフィルタが出て来ます。
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