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質的比較分析(QCA)

質的比較分析(QCA:Qualitative Comparative Analysis)は、社会学で使われている因果推論の方法です。

統計的な分析をするほどは、サンプル数がなく、一方で、個別の事例研究としては、サンプル数が多いような研究に向いている方法です。

質的比較分析によるデータの見方

QCA
質的比較分析では、例えば、上のようなデータだと、
「X1 = 1 かつ X3 = 0 ならば、Y = 1」
というルールが求まります。

Yが1になるパターンは他にもあることや、Yが0になるパターンについては、「何とも言えません」となります。

厳密な因果推論をするのなら、すべてのXの組合せのデータがないと、確実なことは言えませんが、 「手元にあるデータでは、少なくとも、こういうことは言える」という方法になっています。

ラフ集合分析との類似

質的比較分析は、 ラフ集合分析 と似た方法です。

まず、目的変数のカテゴリそれぞれについて、ルールを見つける点は同じです。

質的比較分析は、目的変数も説明変数も1と0の2値で、論理演算で絞り込みます。

ラフ集合分析では、説明変数が量的変数の場合も扱っています。

因果推論の方法として

質的比較分析は、 網羅的に 事実と反事実 を調べないです。 事実の中で、確実、または、確実に近い事実を抽出する方法です。

統計的な因果推論 では、直接の因果関係は、原因と結果の変数が1つずつあるケースを想定することが多いですが、 質的比較分析で扱うのは、複合要因が結果につながっているようなケースです。 要因がたくさんある中で、どれだけ絞り込めるのかを見ようとします。



参考文献

ブール代数アプローチとラフ集合分析によるルール抽出」 山下利之 著 Japanese Psychological Revie 2013
質的比較分析とラフ集合分析を比較した論文です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/56/1/56_86/_pdf/-char/ja


テーマ別研究動向(質的比較分析研究[QCA])」 石田淳 著 社会学評論 2010
質的比較分析の基本と応用を、10ページほどでまとめています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsr/61/1/61_1_90/_pdf


経営行動科学への質的比較分析の適用 因果非対称性,条件交絡及び等結果性への着目」 中西善信 著 経営行動科学 2023
因果の非対称性は、統計的な方法では扱いが難しいことが解説されています。
https://jaas-org.jp/uploads/files/34_3/1-%E4%B8%AD%E8%A5%BF%E5%85%88%E7%94%9F%EF%BC%88%E7%89%B9%E9%9B%86%E8%AB%96%E6%96%87%E3%83%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%89.pdf


質的比較分析〈QCA〉と関連手法入門」 ブノワ・リウー, チャールズ C.レイガン 編著 晃洋書房 2016


質的比較分析〈QCA〉 : リサーチ・デザインと実践」 パトリック・A・メロ 著 千倉書房 2023


経営事例の質的比較分析 : スモールデータで因果を探る」 田村正紀 著 白桃書房 2015




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