尤度比検定は、 尤度比分析 の一種です。
統計的仮説検定 の説明の仕方ですが、2000年代からは、 z検定 などの個別の方法を、順番に説明するのが一般的です。 そうした文献では、尤度比検定が出て来ません。
一方、比較的古い書籍では、尤度比検定を説明して、そこからの各論として、個別の方法を説明していることがあります。
尤度比の対数に、-2をかけた値は、サンプル数が多くなると、カイ二乗分布に近付くことが知られています。 自由度は、パラメータの数の差です。
尤度比をそのまま評価する場合、1に近ければ「差はない」と言えることはわかっていますが、例えば、「尤度比が1.1の場合は、1とみなして良いのか?」というように、何を目安にしたら良いのかがわかりません。
一方、尤度比検定がカイ二乗検定になるのなら、尤度比ではなくP値で評価できるようになります。 P値は、0から1までの間なので、評価指標として尤度比よりも便利です。
尤度比検定は、それ自体を使うだけでなく、他の手法へのハブのような役割も持っています。
平均値の検定や、平均値の差の検定などの良く知られた検定は、尤度比検定の尤度に、具体的な確率密度関数を入れることで導出されます。
帰無仮説が成り立っている場合の尤度を分母にして、データが得られている場合の尤度を分子にした比がスタートになります。 この比を整理していくと、良く知られた検定統計量が導かれます。
「数理統計学 基礎から学ぶデータ解析」 鈴木武・山田作太郎 著 内田老鶴圃 1996
尤度比検定から、各種の検定手法を導出しています。
また、それらが、サンプル数が多い時に、どのようなカイ二乗検定になるのかを説明しています。
「数理統計学の基礎」 野田一雄・宮岡悦良 著 共立出版 1992
ワルド検定やスコア検定との関係についても説明があります。
「統計科学の基礎 データと確率の結びつきがよくわかる数理」 白石高章 著 日本評論社 2012
正規1標本モデルと、2標本モデルの例があります。
「統計学」 森棟公夫 他 著 有斐閣 2015
「数理統計学」 吉田朋広 著 朝倉書店 2006
「独習 統計学 24講 すべての医療系学生・研究者に贈る」 鶴田陽和 著 朝倉書店 2013
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