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以下は、様々な 管理図 の中でも、筆者がお世話になったことがあるものです。 日常的な管理で使われませんが、分析用に知っておくと良い管理図もあります。
世の中の文献で、何も付けずに「管理図」と書いている時は、Xbar-R管理図のことを指していることが多いです。 Xbar-R管理図は、とても有名です。
Xbar-R管理図(エックスバー・アール管理図)は、各グループの平均値(Xbar)と、レンジ(Range:最大値と最小値の差)についての、2つの折れ線グラフのセットです。
製造業では、「ロット」という名前のグループでまとめて生産することが多いので、ロット事の変化を見る管理図として使われます。
ばらつきの指標は「標準偏差」が一般的ですが、グループの構成数が20くらいまでの少数の場合は、標準偏差よりもレンジの方が、状況の把握に役立ちます。

Xbar-S管理図(エックスバー・エス管理図)は、レンジではなく、標準偏差(Standard deviation)を使います。
グループの構成数が多い場合は、S管理図の方が、状況を把握しやすいです。

以下のX-Rs管理図、CUSUM管理図、EWMA管理図は、個別の値ではなく、局所的な傾向の変化を把握する管理図になるため、 変化点検知 に活用できます。
Xbar-R管理図は、解説記事によっては、「X-R管理図」と書いていることがあります。 ややこしいですが、X-Rs管理図は、Xbar-R管理図とも、X-S管理図とは、まったく異なります。
X-Rs管理図は、X管理図と、Rs管理図のセットです。 X管理図は、個々のデータについての折れ線グラフです。 Rs管理図は、ひとつ前のデータとの差分の管理図です。
Rs管理図の一番の使い道は、 変化点検知 です。 上のX管理図では、2024年1月以降に、全体的に上昇しています。 Rs管理図を見ると、上昇が始まったタイミングで、1点だけ高くなっています。 変化点を明確に示すグラフになっています。
下の例のように、Rs管理図は、変化点の前後が定常的な状態でなかったとしても、変化点を明確に示せます。
EWMA管理図の「EWMA」は、「Exponentially Weighted Moving Average」の略です。 指数平滑法 を使って、局所的な平均値の変化を見ます。
下のグラフは、上のX管理図のデータについてのEWMA管理図です。
係数λは2種類にしています。
λが大きいと、元のデータと、あまり変わらないです。
CUSUM管理図の「CUSUM」は、「Cumulative Sum」で「累積和」を表しています。
累積和というのは、目標値を引いた差分について、順に足し合わせたものです。
CUSUM管理図は、系統誤差が完璧に管理されていて、普段は、偶然誤差によるランダムなばらつきしかない時に、威力を発揮します。
CUSUM管理図は、 ARモデル と、とても似ています。 ARモデルと同様に、過去のすべてのデータの累積を見ることになるため、縦軸の値が意味を持ちません。 その点が使いにくいです。
EWMA管理図でλが小さい時と、CUSUM管理図は似ています。 EWMA管理図は、局所的な平均値を表しているので、縦軸の値で状況が把握できます。
MT法 などを使って、多変量の外れ方を監視する方法が考えられますが、この方法は「多変量管理図」として知られています。
多変量管理図は、多変量の指標に D2を採用しているソフトと、 ホテリングのT2を採用しているソフトがあります。
一番手軽に、管理図を作る方法としては、 R-QCA1 が良いかと思います。 T2の管理図もできます。
このサイトには、 Rによる管理図 のページがあります。
Rのライブラリーqccでは、X管理図は作れますが、X-Rs管理図は作れないです。 また、CUSUM管理図やEWMA管理図も作れないです。
「多変量管理図」 JMPのオンラインマニュアル
https://www.jmp.com/support/help/ja/14-2/qpm-multivariate-control.shtml#
T2を指標に使うことが説明されています。
「Minitabの多変量管理図」 Minitabのオンラインマニュアル
https://support.minitab.com/ja-jp/minitab/19/help-and-how-to/quality-and-process-improvement/control-charts/supporting-topics/understanding-multivariate-control-charts/multivariate-control-charts-in-minitab/
T2を指標に使うことが説明されています。
「『RとRコマンダーではじめる多変量解析』落ち穂拾い」
http://www.ec.kansai-u.ac.jp/user/arakit/misc.html
Rでは、qccとIQCCというパッケージで、多変量管理図が作れ、T2を指標にしているようです。
「JUSE-StatWorks/V4.0 機能一覧表」 JUSE-StatWorksの資料 2008
https://www.i-juse.co.jp/statistics/xdata/statworks4-func.pdf
「D^2管理図」とありますので、マハラノビスの距離を指標に使っているようです。
順路
次は
PERT
