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MECEな分析

MECEというのは、「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、「もれなく、重複なく考える」という意味です。 「ミッシー」と呼ぶのが一般的のようです。 論理的推論 の一種です。

問題解決の手順 の中では、現状の把握、要因の解析、対策の立案の、それぞれの場面で役に立ちます。 MECEの考え方で、 なぜなぜ分析系統図 の作成を進めます。

定量的な仮説の探索 では、データがある前提なので、データがない原因には気付きにくいという弱点があります。 MECEは、原理原則で考えるので、データがない原因にも気付きやすいです。

以下では、MECEな分析の例として、肯定と否定による枝分かれをロジックツリーを使って表現する方法を書きました。 筆者自身が、使っている方法です。 世の中のMECEの解説では、項目をできるだけ洗い出して、それらを分類する方法全般を「MECE」と呼んでいるような場合もあります。

肯定と否定で分岐させる方法

因果推論
MECEな分析の例として、工場で材料を加工する場合について考えてみます。 この例は、厚いものを削って、薄くする加工をしています。 通常時は、10mmのものを8mmにしています。 「7mmのものができてしまった。」という情報が入り、「異常だ!」となった場合の分析例です。
因果推論

物理的な原理 として、起きる可能性のあることを洗い出します。 「いつもと同じ」と「いつもと同じではない」という、肯定と否定で枝分かれさせるのがポイントです。 こうすると、可能性の見落としが少なくなります。 「こんな事は、あり得ない」と思うことでも、一度は、書いておくのもポイントです。 実際にあり得ないことが起きていることもありますし、書いておくことで、別の可能性が出て来ることもあります。

一番最初の枝分かれが「本当の長さ」となっているのは、 データの品質 を疑っているためです。 データをいくら見ていてもわからないのですが、「データと実際は違う」という事は、工場のデータ分析では、時々あります。

例えば、「材料」のところの「いつもと同じ」については、「機械の動きがいつもと同じで、材料もいつもと同じで、それでも削り過ぎになるとしたら、何か理由はないか?」という風に考えて、もしも思い付くのなら、さらに枝分かれさせられます。 肯定と否定で分岐させる方法だと、「それでも起こるとしたら」という考え方をして、普段は考えたことがないことに目を向けやすくなります。

カテゴリで分岐させる方法

例えば、「材料」については、「A、B、Cの3社の違いがある」ということで、3つに分岐させることもできます。 場合によっては、このような分岐方法の方が良いこともあります。

ただし、「D社も実はある」等、見落としをしない注意が必要です。
「A社、B社、C社」のように、同じ観点で分類されているものなら見落としは起きにくいのですが、 「具体的な内容が決まっている方法、よくわからない方法」のような感じで、粒度が異なるものを並べて書くと、MECEがあいまいになって来ます。
因果推論

MECEな分析の検証

MECEな形で、 定性的な仮説の探索 を進めたら、次は、 仮説の検証(実証分析) になります。

実際はどうだったのかを、ひとつひとつデータで確認をします。

データがない場合

データの確認ですが、一番確実なのは、検証したいこと自体のデータです。 例えば、加工前の長さがいつもと同じだったのかの確認は、「加工前の長さ」というデータを確認するのが一番です。

ところが、実際の検証では、「加工前の長さ」というデータはないこともあります。

その場合ですが、最初にやれることは、データを測ってみることです。 「材料はこれと同じはずだから、これの長さを測れば良い。」ということがあります。

場合によっては、材料は使い切ってしまって、加工前の長さは確認できないことがあります。 そうした場合は、間接的なデータを探します。 間接的なデータとしては、「その材料は、仕入先が異なる」、「その材料は、仕入れた日が異なる」という点がないかを確認します。 長さ自体はわからないので、長さが異なる可能性があるのかを確認します。



システムの2大構造(木構造とネットワーク構造)

参考文献

はじめてのロジカルシンキング 3つのステップで考える!」 渡辺パコ 著 かんき出版 2008
ピラミッドストラクチャの作り方を中心にしているロジカルシンキングの本です。
このピラミッドストラクチャがMECEになるように作ると、説得力のあるものになる、としています。


マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書」 大嶋祥誉 著 SBクリエイティブ 2014
MECEは、ピラミッドストラクチャを作る時に、論理の抜けや飛躍を防止する方法として、紹介されています。


ロジカルシンキング見るだけノート 考え方の基本がゼロからわかる!」 北村良子 監修 宝島社 2020
MECEのフレームワークとして、3C分析、PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)、バリューチェーン、問題発見の4P、空間軸と時間軸、


超速フレームワーク マッキンゼーで叩き込まれた仕事のスピードと質を上げる最強ツール」 大嶋祥誉 著 三笠書房 2020
フレームワークのの使いこなしをコンサルタントの仕事をする上で重視しています。 フレームワークに共通した基本をMECEとしています。




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