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ロジカルシンキング

「ロジカルシンキング(Logical Thinking:論理的な思考)」は広い範囲を表す言葉ですが、世の中の解説は大きく2種類に分かれます。

ひとつは、言葉の通りに、論理的な思考の広い範囲を解説している場合で、考え方や手法がいろいろ詰め込まれています。

もうひとつは、提案につなげるためのロジカルシンキングです。 「論理的な思考」だけが内容になっているのではなく、思考の結果を受け取る相手がいる前提での、論理的思考の方法です。 相手に伝わるように、また、相手に価値のある内容になるように思考することがポイントのひとつです。 伝え方は、ピラミッド構造を使う方法が主流になっています。

ピラミッド構造による提案

提案につなげるためのロジカルシンキングでは、最終的に、ピラミッド構造で論理的な思考の結果を表します。 ロジカルシンキングの解説では、スタンダードのようにして紹介される図ですが、この図を使うこと自体に提案を成功させるための技が込められているようです。
因果推論

シンプルな提案(結論)にする

ピラミッドの頂点(上から1層目)にあるのが、課題に対しての提案(結論)です。 ひとつの課題に対して、基本的に提案はひとつで、短い文章でまとめます。 このシンプルさには、相手が受け取りやすくする効果があるようです。

結論の根拠は複数にする

ピラミッドの上から2層目は、結論の根拠を3つくらい並べます。 この3つは、違う観点(次元)にします。

まず、結論の根拠が書かれていることで、相手が結論の導き方を確認できるようにして、思考の透明性を高めます。 また、この根拠が複数になっていることと、その複数が多面的になっていることで、「深く検討されている」という印象が相手に伝わります。

根拠の根拠も書く

ピラミッドの上から3層目は、2層目のそれぞれの項目から枝分かれしたもので、根拠の根拠を書きます。 こうすることでも「深く検討されている」という印象が相手に伝わります。

ピラミッド構造を完成させる

上記のように、ピラミッド構造は、それ自体が提案を成功させるためのノウハウでできているようです。

とはいえ、いくら枠組みが良くても、中身がしっかりしていなければ、良い提案にはなりません。 この中身の作り方がロジカルシンキングになって来ます。

まず、課題設定が相手の認識とずれていると、適切な思考になりません。

課題が設定できた後は、関連する事を洗い出して、関係を整理したり、それらを MECE になるようにチェックしながら、足りない部分を補うことで、ピラミッド構造を組み立てます。



システムの2大構造(木構造とネットワーク構造)

参考文献

提案につなげるためのロジカルシンキング

はじめてのロジカルシンキング 3つのステップで考える!」 渡辺パコ 著 かんき出版 2008
ピラミッドストラクチャの作り方を中心にしている本です。
3段階になっています。
@イシューを立てる(考えたいことを決める)
Aピラミッドストラクチャをつくる(ピラミッドストラクチャをフォーマットのようにして、それに合うようにネタを集める)
B因果関係を整理する(ばらばらのネタの関係を整理して、ピラミッドストラクチャを完成させる)
ピラミッドストラクチャは、頂点に結論があり、その下の層に、根拠(結論が出る理由)が並べられ、そのさらに下の層に、根拠の根拠や背景が入ります。
このピラミッドストラクチャがMECEになるように作ると、説得力のあるものになる、としています。


マッキンゼー流入社1年目ロジカルシンキングの教科書」 大嶋祥誉 著 SBクリエイティブ 2014
この本の中では、いくつかのポイントを表現を変えて、繰り返し伝えようとしています。
筆者なりにまとめると、以下の3つのようです。
@話題になっている事について、調査や考察を進める前に、その前提となっている条件やルールを把握する。
A話題になっている事の調査は、当たり前のことや、周囲が言っていることに留まらず、自分なりに深く考えて進める。
B結論は、それを受ける側(相談者)にとって、価値のある内容にする。わかりやすく伝えることも、そのひとつ。また、結論を聞いた後で、相手が行動する時に問題が起きないように、その行動のシナリオ分析をしておくこともひとつ。
考えたことをまとめ、伝える方法として、ピラミッドストラクチャを紹介しています。 MECEは、ピラミッドストラクチャを作る時に、論理の抜けや飛躍を防止する方法として、紹介されています。


図解でわかる!ロジカルシンキング」 渡辺まどか 著 秀和システム 2019
ピラミッドストラクチャの作り方の本ですが、作る時のノウハウがまとまっています。
・事実と意見を区別する。
・問いを立てて、考える。
・箇条書きでも、単語だけでなく、簡潔な文の形で書く。
・相手が理解しやすい言葉を使う。
・隠れた前提がないか、チェックする。


「論理思考」の本」 後正武 著 PHP 2010
「論理とは、主語と述語で作られる命題」というところから始まって、帰納と演繹を駆使してピラミッド型を作ります。
・最下部に来るのは、誰もが肯定するような事
・未来のことは事実にはならない
・ことばには曖昧さがある。


ビジュアルロジカル・シンキング 第2版」 平井孝志・渡部高士 著 日経BP日本経済新聞出版本部 2022
ロジカルシンキングの基本を、ピラミッド構造とMECEとして、それぞれに20ページずつ使っています。 その他は、ノウハウや、伝え方、ロジカルシンキングの訓練法です。


広い意味でのロジカルシンキング

ロジカル・シンキングがよくわかる本」 今井信行 著  秀和システム 2018
第3章で、思考の基本技法として、伝統的思考法とツール連動思考を紹介しています。 伝統的思考法が、発散・収束思考、演繹法と帰納法で、ツール連動思考が、ヒエラルキー思考(階層思考:ピラミッドストラクチャとロジックツリー)、フレームワーク思考(枠組み思考)、マトリックス思考、プロセス思考とオプション思考です。
その他の章は、ツール全体思考のそれぞれについての章と、それぞれに共通した話の章になっています。


ロジカルシンキング見るだけノート 考え方の基本がゼロからわかる!」 北村良子 監修 宝島社 2020
ピラミッド構造の解説は、20ページ程度に留め、論理的に考えるための様々なノウハウが書かれています。


論理的な考え方の「基本」が身につく本 ロジカルシンキングの実践テクニック35」 西村克己 著 学研パブリッシング 2013
論理的な考え方のノウハウ集のような内容になっています。


入門『地頭力を鍛える』32のキーワードで学ぶ思考法」 細谷功 著 東洋経済新報社 2019
この本では、思考法全体をロジカルシンキングと呼ぶのではなく、話がつながるようにする方法をロジカルシンキングとしてます。
文字通り、「思考法」のような内容がある一方で、「AIにできないこと」、「多様性」といった、現代的なキーワードについての解説もあります。




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