在庫量がある量以下になったら発注をかけるようにする 在庫管理 では、その量は「発注点」と呼ばれています。
発注したものが入荷するまで(リードタイムの期間)にも、在庫は減って行きます。
つまり、発注点とは、リードタイムの期間に減る量を、発注する時点で確保するための量である必要があります。
この量ですが、リードタイムの期間に減る量には、ばらつきがありますので、その中でも一番減り方が大きい時の量にします。 こうしておけば、欠品の心配はなります。
発注点を決めるための理論は、いろいろ考えられますが、 何らかの方法で「リードタイムの期間に減る量で、一番大きい時の量」を計算して、 それを発注点として採用するところは同じです。
発注点の計算方法に、正規分布の性質を使ったものがあります。 この理論は、ネットでもたくさん紹介されています。
リードタイムの期間の出荷量で一番多い時の量を 平均値と標準偏差を使って、推定します。
正規分布の性質を使う理論は、正規分布を仮定しますが、この仮定は、現実の出荷に合わないことがよくあります。
出荷量が正規分布にならないケースとして、出荷量が0の日の割合が多いケースがあります。
このケースでは、0ではない日の連続の仕方によって、適切な計算方法が変わって来ます。 そのため、どちらかを判断する事が難しい場合は、計算方法が決められなくなって来ます。
0の日を含むと、正規分布とは思えない分布になる事があります。
正規分布ではないのですが、出荷が数日間続くような連続性がない場合だと、この計算は、わりとうまくいきます。
ところが、「リードタイムが5日で、5日間の連続の出荷と、10日間0が連続する日を繰り返す」、という場合、連続した日の最後の方で、在庫不足になる可能性があります。 5日間連続で出荷する量を、初日に準備しておけば良いのですが、こういう事ができる理論になっていません。
0の日を含まないと、わりと正規分布に近くなることがあります。
また、0を計算に含む方法が対応できないケースに、対応できます。
ところが、連続した出荷に合わせた計算になってしまうため、出荷が数日間続くような連続性がない場合、この計算だと、在庫が多過ぎになります。
発注点の計算方法としては、正規分布を仮定する理論が有名ですが、上記のように問題も抱えています。
0の日の表れ方を気にしない方法としては、正規分布を仮定しない方法があります。
この方法は、例えば、「リードタイムの中での出荷量の合計の最大値が100」とわかっているなら、 100を発注点にする方法です。 理論上、最大値がこの値を超えない限りは、絶対に在庫不足になりません。
この方法は、とにかくリードタイム内での最大値がわかれば良いので、0の日がどのように表れていても、それを考慮できます。
「最大値が想定以上の場合は、この理論では欠品が起こるではないか!」、と言われてしまうと思います。 その通りです。
ちなみに、上記の正規分布を使う理論でも、 かんばん方式 でも、想定以上に出荷が多い場合は、欠品は起きます。
正規分布を仮定しないで発注点を決める理論は、確率の理論を使わないので、在庫が不足するケースが比較的わかりやすいのが特長です。
入荷する直前は、唯一、在庫がゼロになっていても大丈夫なタイミングです。 また、在庫を一番たくさん持っていなければいけないのは、発注するタイミングです。
発注する量と発注点の量を同じにすると、この性質を上手に使う事ができます。
現実には、 発注単位 の制約がありますので、発注量は、発注単位の整数倍の数で、かつ、発注点よりも大きくなる値の中の最小値になって来ます。
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