全数検査では、サンプルひとつひとつについて、合否を判定できます。 全数検査での合格率は、歩留(ぶどまり:合格率:良品率:yield)と呼ばれています。
一方、 抜き取り検査 をする場合、抜き取ったサンプルが合格なら、そのロットの他のサンプルは、すべて合格です。 そのため、歩留は0%と、100%のどちらかしかありません。
しかし、抜き取り検査では、「合格」とした中に不合格品が混ざっている可能性はあります。 それでも 抜き取り検査ができる場合 にあるように、実際に抜き取り検査は行われています。
「抜き取り検査の結果で歩留の数字を求める」という発想は、抜き取り検査を実施するかどうかの検討から出て来たものです。
この方法の前提として、抜き取り検査は、「合格・不合格」のような2値データでなく、電気抵抗や、濃度、等の、何かの数字のデータが得られると想定しています。 また、抜き取り検査が n = 1 では、この方法は使えません。n = 2以上が必要です。
このページのタイトルにある「歩留」を予測するには、その前に、サンプルのデータから、全体の分布を予測する必要があります。
こういう予測は、 予測区間 を応用するとできます。
上図は、n = 3 ですが、3個のデータから求めた平均値と標準偏差が、歩留を求めるための材料になります。
予測区間は、この平均値と標準偏差を元にして、「95%の範囲」といったものを計算して行きます。
予測歩留を求めるには、「95%」という割合を先に決めてから範囲を計算するのではなく、上限値、下限値という範囲を先に決めてから、割合の方を計算します。
範囲の値、平均値、標準偏差が準備できると、分布のどの位置なのかを示す、t値が求められます。 t値が求まると、割合を求められます。
この方法では、データ数が少ないと、裾野の広い分布として推定されるため、歩留は低めに推定されます。 この性質があるため、この推定値は、品質管理の点でリスクを考慮した値として考えることができます。 データ数が少ないのに、高めに推定されると、気を付けなければいけない事に気を付けにくくなってしまうためです。
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