現実の 原子 を仮想世界で再現するには、量子力学が必要です。 量子力学的に"正確な"シミュレーションは、 「第一原理計算( First Principle calculation または ab initio calculation)」と呼ばれています。 第一原理計算をするための方法が、密度汎関数法です。
第一原理的な計算は、物理学と化学の両方であります。 筆者は化学の方の計算の詳細を知りませんが、 明らかに違うのは、原子・分子の形態です。
物理学における「結晶」や、化学における「単一の分子」は、 それぞれの分野で物質のシミュレーションをする時の、 もっとも簡単な研究対象です。
第一原理計算は計算量が大きいため、 「簡単なもの」とは、扱う原子数が少なく、仮想空間が小さくて良いものです。 「結晶は原子数が多いのではないか?」、と思うかもしれません。 周期境界条件によって、原子が規則的に並んでいることを表現しますので、 一般的な結晶なら、そんなに原子数は多くなりません。
「電子状態を調べて、何の役に立つのか?」という疑問があるかもしれません。 その答えの一例が、 圧電素子の鉛フリー化と、第一原理計算 です。
「データサイエンスと材料研究開発 日本金属学会シンポジウム予稿」 日本金属学会 編 2017
第一原理計算と
機械学習
の組み合わせで、すぐれた物性の材料を開発する話があります。
順路 次は 圧電素子の鉛フリー化と、第一原理計算