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灰色理論

灰色理論は、情報が不完全な状態を「灰色」と表現します。 その前提で、 制御 をしたり、 意思決定 をするためのツール群が考案されています。

筆者としては、開発されたツール群が実務で役立つ場面が想像しにくいのですが、それらを構成するアイディアは、参考になると考えています。 このページは、その観点で気付いたことについて、メモとしてまとめています。

分布を確定しようとしない

灰色理論では、データが数個から10個にも満たない状況で、それらを活用とします。

そのため、標準偏差のように、データが数十個ないと確かなことがわからない指標を使わないです。 その代わり、最大値や最小値をばらつきの目安にします。

灰色理論の時系列分析

灰色理論には、1変数の時系列データについて、予測をするためのツールがあり、「GM(1,1)]と呼ばれています。

累積和に対して予測式を作る

灰色理論
上のグラフは、左側が、時系列データです。 右側が、左のデータの累積和です。 例えば、2時間の累積和は、1時間のデータに、2時間のデータを足しています。

元のデータに対して予測を考えると、「一度上がってから、下がっている。6時間後は、5時間後よりも少し低いくらい?」というように見えます。

一方、累積和は、安定的に増加しているように見えます。

灰色理論は、累積和に対して、予測式を作ります。 こうすることで、個々のサンプルのばらつきに振り回されずに、安定して表れていることについて、注目できるようにしているようです。

ちなみに、累積和を分析する時系列分析としては、 CUSUM管理図 があります。 CUSUM管理図は、累積和の変化を分析しますが、観察が中心で、予測式は作らないです。

指数関数で予測式を作る

灰色理論では、累積和に対して、微分方程式をモデルとします。 微分方程式として、説明されるのが一般的ですが、この微分方程式の解は指数関数なので、実質的には指数関数で予測式を作っています。

指数関数にすることで、累積和がカーブしている場合にも対応できるようにしているようです。

ただし、元のデータが直線的に増えている場合、直線で近似するのが一番なので、指数関数で近似すると精度は落ちます。



参考文献

灰色理論

Excelで学ぶ 時系列分析」 近藤宏 他 著 オーム社 2016
灰色理論の中でも、時系列分析にあたるGM(1,1)について、コンパクトにまとまっています。
GM(1,1)では予測精度が悪くなる例として、直線的に増加している場合を紹介しています。


理工系学生と技術者のためのわかる灰色理論と工学応用方法」 永井正武・山口大輔 著 共立出版 2004
灰色理論は、情報の中に含まれている数理規則を整理、発見することを目的とする理論、とのことでした。
灰色とは、情報が不足していて、既知の部分と、未知の部分がある状態。


灰色理論による予測と意思決定」 聚龍 原著 趙君明・北岡正敏 訳 日本理工出版会 1999
灰色理論の提唱者による本の、日本語訳ですが、原本から灰色理論とは関係ない部分は抜き、また、灰色理論の初学者向けの説明を訳者が足す形になています。
制御や意思決定の事例が、比較的わかりやすかったです。




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