ベイズの定理 の解説では、ふつう、AとBの2つの現象の確率について、関係を式で示します。
現象が3つ以上になって来ると、物事の複雑な関係を表すことができるようになります。 これは、「ベイジアンネットワーク」と呼ばれています。
人工知能 の分野で、 ディープラーニング が脚光を浴びています。 ディープラーニング は、表面に表れている複雑さを表現するのに、すぐれた技術です。 ベイジアンネットワークは、表面に表れるまでの、深さ方向の複雑さを表現するのに、すぐれた技術と言えるかもしれません。
基本形は2つあります。 基本形をいくつも組み合わせると、さらに複雑なモデルが作れます。
ベイジアンネットワークの使い方は、 「 確率計算 」、「 データの構造解析 」、「 判別 」の3つがあります。
「確率計算」は、 ベイズの定理 のよく知られた使い方を、複雑にしたものです。 残りの2つの使い方は、 多変量解析 や データマイニング と言われている手法と、似た使い方です。
「BayoLinkSで実践するベイジアンネットワーク」 本村 陽一 編著 オーム社 2023
BayoLinkSというベイジアンネットワークのソフトがタイトルに入っていますが、
内容は、ベイジアンネットワークの基礎から応用までになっています。
製造業への応用は、ヒヤリハット報告書の分析や、テーブルデータの分析になっています。
「つくりながら学ぶ! Pythonによる因果分析 因果推論・因果探索の実践入門」 小川雄太郎 著 マイナビ出版 2020
「因果探索」とは、変数間で因果関係の矢印がわからない場合に、この矢印を見つけるための方法でした。
この方法として、
LiNGAM
、ベイジアンネットワーク、
ディープラーニング
の3つを紹介しています。
ベイジアンネットワークを使うため、量的変数は
1次元クラスタリング
のページにある方法を使って質的変数に変換されています。
この本で紹介されているのはPCアルゴリズムで、
独立性の検定
を使って変数間の関係を調べる方法です。
3変数で条件付き確率(P(X,Y | Z))を、独立性の検定で調べると、矢印の向きがある程度までわかります。
最後にの残った向きのわからない部分については、変数の時間的な順序を考察して決める方法が紹介されていました。
「ベイジアンネットワークの統計的推論の数理」 田中和之 著 コロナ社 2009
ベイジアンネットワークでの確率伝搬法や統計力学との関係が詳しいです。
情報統計力学と言うそうです。
「ベイジアンネットワーク概説」 繁桝算男・植野真臣・本村陽一 著 培風館 2006
数理的な面が、易しい例題から丁寧に書かれています。
「統計数理は隠された未来をあらわにする―ベイジアンモデリングによる実世界イノベーション」 樋口知之 監修・著 東京電機大学出版局 2007
ベイズ統計学の事例集になっています。
「ベイジアンネットワーク技術」 木村陽一・岩崎弘利 著 東京電気大学出版局 2006
副題が「ユーザ・顧客のモデル化と不確実性推論」です。
ベイジアンネットワークの紹介から始まっていますが、
応用面が重視されています。
人の認知のモデル化に、力が入っています。
カーナビへの応用が最終的なゴールです。
順路 次は ベイジアンネットワークによる確率計算