尤度モデルは、曲線の式になります。確率を表す曲線です。
その曲線の極大点は、「もっとも起こりやすい事」という意味になります。 微分すると、極大点が求まりますが、これは「最尤推定」や「最尤法」と呼ばれます。
最尤推定は、 尤度モデル を使って、未知のパラメタの値を求める方法です。
表が出る確率をpとします。
表、裏、表、裏、裏となった場合の尤度は、以下になります。
整理すると、以下になります。
グラフで表すと滑らかな曲線です。
pで微分します。
極値は、pが0、1、0.4の時です。0.4の時は、グラフから極大値で最大値になっています。
この事から、「p = 0.4」と推定できます。
表1を1、裏を0とすると、1が2回、0が3回なので、(1+1+0+0+0)/5 = 0.4でm平均値は、0.4です。 最尤推定と、平均値が同じになることがわかります。
データが、3.5、2.2、3.3だったとします。
それらは、正規分布を仮定します。母平均がμ、母分散がσ2です。
尤度は、以下になります。
μ、σ、L(尤度)の3変数のグラフを作ると以下になります。
3変数のグラフはわかりにくいので、同じデータで2種類作っています。
上の2次元のグラフは、σが0.7の時の断面図ということになります。
σを0.7に固定して、グラフを描くと、以下のようになります。
これを整理します。
μで微分します。
極値は、μが3.0の時です。3.0の時は、グラフでも極大値・最大値になっていることがわかります。
3.5、2.2、3.3の平均値は、3.0です。 最尤推定と、平均値が同じになることがわかります。
σ2でも計算は同様ですが、最尤推定で求まる値と一致するのは、標本分散です。
上記のように、最尤推定をすると、点推定と同じ値が求まります。
「入門はじめての統計的推定と最尤法」 石村貞夫, 劉晨, 石村光資郎 著 東京図書 2010
最尤法の専門書です。正規分布と二項分布の最尤推定が、丁寧に解説されています。
「道具としてのベイズ統計」 涌井良幸 著 日本実業出版社 2009
最尤推定が簡潔に紹介されています。
「統計科学の基礎 データと確率の結びつきがよくわかる数理」 白石高章 著 日本評論社 2012
正規1標本モデルでは、σ2の最尤推定値が、標本分散であり、不偏分散(n-1で割って求める分散)ではないことの説明があります。
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