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2種類の対立仮説

このページは、αとβの説明でよく使われる図と、対立仮説の言葉による説明が合っていない解説が、世の中では多い事に気付き、筆者なりにまとめてみたものです。

ネイマン・ピアソン流の検定 では、帰無仮説と対立仮説の2つが出て来ます。

フィッシャー流と、ネイマン・ピアソン流の混同 の一番わかりやすいところが、これらの仮説の考え方です。 混同された結果、現在は、対立仮説の定義が、世の中で2種類あります。

「対立仮説とは、帰無仮説と論理的に逆のもの」の場合

フィッシャー流の検定をする時の、対立仮説の考え方です。

「対立仮説とは、帰無仮説と論理的に逆のもの」の場合、例えば、以下のようにして仮説を設定します。 いずれも、帰無仮説と対立仮説は、論理的に逆な関係になっています。

「対立仮説とは、帰無仮説と論理的に逆のもの」と考えている解説では、「検定では、まず、帰無仮説が正しいかどうかを調べます。 帰無仮説が否定されると、対立仮説が正しいことになります。」という解説をしていることが、とても多いようです。 (筆者がネットで、対立仮説を調べると、ほとんどがこの説明の仕方でした。)

なお、論理的に逆なものは、どんなのものでも仮説にできるほど、検定は万能ではないです。 この進め方をする場合、帰無仮説と対立仮説の関係と、選んだ検定手法が、きちんと結び付いている必要があります。

上記の例の場合、「平均値の検定を両側検定で実施」、「平均値の差の検定」がそれぞれ当てはまります。

「対立仮説とは、帰無仮説と論理的に逆のもの」に類似の場合

上記では、「対立仮説とは、帰無仮説と論理的に逆のもの」として、フィッシャー流の検定を説明しましたが、わかりやすさを優先した説明にしています。

以下のような対立仮説もあり、これは、論理的に逆でないですが、分布を2つ仮定してはいないので、ネイマン・ピアソン流とは違います。

この例の場合は、「平均値の検定を片側検定で実施」が当てはまります。

「対立仮説と、帰無仮説は、それぞれが分布」の場合

ネイマン・ピアソン流では、「対立仮説と、帰無仮説は、それぞれが分布」と考えています。

「対立仮説と、帰無仮説は、それぞれが分布」の場合、例えば、以下のようにして仮説を設定します。

帰無仮説と対立仮説の関係の違い

「対立仮説とは、帰無仮説と論理的に逆のもの」では、帰無仮説が否定されると、対立仮説が成り立ちます。

しかし、分布が2つある場合、帰無仮説が否定されたからといって、直ちに対立仮説が肯定される理論にはなっていません。

極端な例ですが、下のような場合のように、「帰無仮説と対立仮説の両方が否定される」という結論もあり得なくはないです。 ただ、一般的には、両方が否定されるような事にはならないように、対立仮説が設定されます。



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