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平滑化したランダムウォークモデルになるARモデル

以下は、筆者の私見です。 誤解があれば、ご教示いただけると幸いです。


ARモデル時系列分析 の教科書で必ずと言って良いほど紹介されます。

このページでは、ARモデルについて、筆者が気が付いたことを説明します。 先行研究があるかもしれませんが、筆者は見かけたことがないです。

それは、「ARモデルは、ランダムウォークモデルを平滑化したもの」という点です。

仮説の検証の仕方

平均が0、標準偏差が1の乱数を、約10000個作ります。

それらを使って、ARモデルの代表的な2つのタイプで仮説を検証しています。

ひとつのタイプは、ARモデルの係数がすべて同じで、かつ、係数の合計が1になる場合です。 このページでは、このタイプを「AR(q)」と呼ぶことにします。 一般的には、「AR(v)」と書く時は、vは、項の数を表しますが、ここで使うqは、項の数だけでなく、係数の計算に使う分母も表します。

もうひとつのタイプは、 指数平滑法 です。 ここでは、指数平滑法を直近のデータほど重みを付けたARモデルとして使います。 「ES」と呼ぶことにします。
平滑化したランダムウォークモデルになるARモデル

検証の結果

AR(1)と、ES(α=0)は一致します。 これらは、ランダムウォークモデルと同じです。

ARでは、qが増えるほど、ESでは、αが増えるほど、ランダムウォークモデルよりも変動が小さく、 滑らかな変化をしています。 このページのタイトルの「平滑化」は、この様子を表現しています。

平滑化したランダムウォークモデルになるARモデル 平滑化したランダムウォークモデルになるARモデル

0の近傍になる理由

qやαが増えるほど、0の近傍を推移するようになります。 この理由は、乱数の平均が0であるためです。

qやαが増えるほど、遠い過去の乱数との平均を計算する形になるため、0に近付きます。

MAモデルとの類似点

MAモデルは、項が増えるほど、遠い過去の乱数との平均を計算する形になるため、乱数の平均が0なら、0に近付きます。 この点が、ARモデルと似ています。



ARモデルの係数の決まり方

ARモデルと一般化したランダムウォークモデルは、だいたい同じ




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