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データドリブン経営

データドリブンは、「データ駆動」とも呼ばれます。 データを起点とした行動や、データによる判断による行動のことです。 これを、経営の基本的な姿勢とする考え方が、「データドリブン経営」です。

データドリブンと意思決定論の違い

伝統的な 意思決定論 では、合理的な意思決定を重視しています。その中で、データ分析の活用や、データによる裏付けを考えることがあります。 このあたりは、データドリブンと意思決定論は似ています。

意思決定論では、どちらかというと数理モデルの活用の話題が多いです。 また、立ち止まってじっくり考えるような静的な意思決定の場面の話が中心です。

データドリブンは、どちらかというと、業務プロセスのモデルや、ビジネスモデルの中でのデータの動きを対象としていることが多いです。 状況が変わる中での動的な意思決定が、念頭にある場合が多いです。

静的な方が先に発達していますが、どちらが優れているということではないです。

データドリブンではない経営

データドリブンではない経営として挙げられることが多いのは、KKD(経験・勘・度胸)です。

筆者としては、「もっともらしい説明による理由付け」、「象徴を使った説明」もあるように思っています。

「もっともらしい説明による理由付け」というのは、例えば、「焼き過ぎた」という品質問題が起きた時に、 「装置Aは、古い機械だから、故障が原因」としてしまう場合です。 この説明に、装置Aのすごく古そうな写真が付いていると、説得力が増します。

「象徴を使った説明」というのは、「この技術がこれから求められる」という説明に、「○○教授が言っている」、「巨大企業のA社がやっている」という説明を付ける方法です。 有名であるほど、誰でも知っているようなものであるほど、効果的です。

会計の分析が最重要

会社の経営は、お金の動きで成り立っているので、データドリブン経営で最重要なのは、 お金のデータを中心とした領域と、筆者は考えています。

会計の分析 として、 社外向けの分析は、財務諸表を提示して、もっともらしい説明を添えるスタイルが一般的です。 その説明の寄与率など、妥当性の確認はできないようになっています。

会計監査では、不正の検出を目的として、細かく深く掘り下げる分析をしていることもありますが、 会社の意思決定に使うデータとしては、数十年前からあまり変わっていないのが現状のようです。

KKDによるデータドリブンの補完

「データドリブンだから、データの裏付けがない意思決定は認めない」となって来ると、データの確認に膨大な時間がかかり、機会損失となる危険があります。

また、データには、どこかに バッドデータ が入っていたり、 ダークデータ が実は大きな影響を持っていたりします。 そのため、データに頼り過ぎると、誤った方向にドリブンされてしまう危険もあります。

「KKDは良くない」と言われますが、データの不完全性をKKDで補完するようにするのがベストのようです。

データの利活用との違い

データの利活用 」は、データドリブンと重なるところがありますが、「データを使うと、今までよりも良いですよ」、 のような弱い言い方になっています。



参考文献

データドリブン思考 データ分析・AIを実務に活かす」 河本薫 著 ダイヤモンド社 2022
会社の意思決定プロセスを、反復選択型、体制選択型、原因特定型、計画策定型、仮説試行型、経営判断型に分類して、 それぞれの型について、プロセスの整え方や、データ分析の活かし方を解説しています。


動き出すデータドリブン組織のつくりかた Tableau Blueprintに学ぶ実践的アプローチ」 山崎淳一朗 他 著 日本能率協会マネジメントセンター 2022
データの可視化を進めて、データに基づいた組織運営を実現するためのノウハウが解説されています。


データ思考入門」 荻原和樹 著 講談社 2023
データの効果的な可視化を解説しています。


データで話す組織  プロジェクトを成功に導く「課題発見、人材、データ、施策実行」4つの力」 大城信晃 他 著 技術評論社 2023
データを共通言語として組織運営を進めるには、組織の現状の把握から始め、データ分析チームの作っていく進め方を紹介してます。


DX時代のデータマネジメント大全 DX、データドリブン経営、データ利活用から理解する」 大川真輝 著 翔泳社 2023
データの利活用として、PPDACサイクルを使った問題解決におけるデータの利活用と、データマネジメントの整備を解説しています。


データドリブン経営改革」  保科学世 著 日経BP日本経済新聞出版 2022
「先進企業は、AIやデータの活用によって成功している。」、 「AIやデータの活用には、データサイエンティストの配置が必要。」、 「データサイエンティストには、適切な課題と環境を用意することが必要」といったことが解説されています。



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