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動特性のSN比の歴史

品質工学 の動特性の種類は、「 特性の分類 」のものが一番整理されていて、それに対応するSN比は 「 動特性のSN比 」のページのものが適切と、筆者は考えています。

一方、従来からの文献では、違う説明になっています。

動特性の種類

動特性として説明されるものは、「ゼロ点比例式」、「基準点比例式」、「1次式」の3種類です。

特性の分類 のページと比べると、以下の対応があります。

等分散・比例分散との関係

従来からの文献では、「等分散・比例分散」という言葉は出て来ませんが、 比例分散のことを、「出力が0になることが明らかな点がある」という説明をして、線形式で表現される現象には、2種類あることが意識されています。

従来からの文献の分類と、「等分散・比例分散」の対応は、以下になります。 ただし、従来からの説明の中では、「出力が0になることが明らかな点がある」という事より先には、踏み込んでいないようです。 そのため、分布がどのようになるのかは、示されていませんが、大まかには以下の対応で合っていると、筆者は考えています。

ゼロ点比例式・基準点比例式の違いは、以下になります。

傾きに比例する現象の考慮

筆者の知る限りですが 「線形式が必要なデータでは、入力によってばらつきが異なることがある」という現象を、比例式タイプと1次式タイプに分けることはされて来ましたが、 この視点は、Xに比例するかどうかを見ています。

傾きにも比例することは、「傾きを誤差分散で割る」という形で、SN比の構造の中に入っています。

ただ、どんな現象に対しても、ばらつきが傾きに比例することを前提として良いのかは、疑問です。 等分散と比例分散を区別してSN比を用意するのなら、傾きに比例する場合としない場合を区別してSN比を用意した方が、良いと思います。 そこで、筆者は、傾きに比例する場合としない場合についても、特性の区別として含めました。

SN比の使い分け

比較的古い文献の場合

比較的古い文献では、動特性を3種類に分けましたが、 基準点比例式は、ゼロ点になるように調整します。 1次式は、原点を通るように調整します。

調整後に使うSN比は同じです。

比較的新しい文献の場合

比較的新しい文献では、 エネルギー比型・変動比型のSN比 が出て来ます。

その中で、エネルギー比型・変動比型の登場前のSN比との違いの説明もありますが、「使い分け」という観点が打ち出されて来ています。

使い分けは、等分散・比例分散の違いがポイントなので、 このサイトでは、そのポイントを中心とした書き方にしました。



参考文献

基礎から学ぶ品質工学」 小野元久 編著 日本規格協会 2013
変動比型のSN比と、従来のSN比の2種類がある、という説明の仕方になっている文献です。





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